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薬師の日常  作者: やっさん
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第7話

第7話



「よし、そうと決まればさっそく薬づくりの練習をするぞ」

「今からですか!?」

開店の準備を何とか終わらせ、一休みした後に言った。

さて、何を作らせるか…いきなり丸薬は難易度が高いし、かといってポーションは簡単すぎる。

あれは究極的には液体を混ぜるだけだからな。分量さえ間違えなければ問題ない。

そうなると…そうだ、あれにしよう。あれならちょうどいいからな、難易度的にも店的にも。

「あの~いきなり薬を作るのは怖いと言いますか、もう少し見習いをやってたいかな~なんて…」

「善は急げだ。よし、お前に作らせるものを決めたぞ。軟膏だ」

「軟膏ってあの、冒険者の人が良く買っていくあれですか?」

「その通りだ。…そうだこの際だから薬の種類も教えておくか。薬は主に三種類に分かれる。

それぞれポーション、軟膏、それに丸薬だ。ポーションは液体でいろいろな薬草を煮込んだりして作る。

軟膏はクリーム状になっている。これの作り方はあとで教える。そして最後が丸薬だ。

これはポーションにいろいろなものを入れて飲みやすいように丸く固めたものだ。これはいろいろと作業が複雑なので

素人にはできない。作り方を教えるのは当分先のことだろう。つーことで、長々と話してても埒が明かねえ。

実際にやってみるぞ」

そういって工房に移る。

「必要なのはクロソウとカタマソウだ。これを同じ量使う」

説明しながらふとアイシャのほうを見ると何やら真剣にメモを取っていた。その姿を見てふと悪戯心が芽生えた。

「まずはクロソウを煮詰めていくんだが…ここで問題だ。クロソウを煮詰めるときは刻んだ葉を使えばいいか、

それとも刻んだ根を使えばいいか。どっちだ?」

真剣にメモを取っている中でいきなり質問されたのだから大変だ。アイシャはわふっ!?と声を上げ必死にメモの前のページを

たどっている。どうやら以前もメモを取っていたらしい。

「え~っと、え~っと…これだ!!クロソウを扱うときは生のまま使うのであれば葉を、煮詰めるなどするときは根を使えば

より効果が高い薬を作ることができます」

「おお正解だ。よくやった」

ガシガシとアイシャの頭を撫でる。乱暴にされているのになんだかうれしそうだなこいつ。

「よし続きだ。クロソウの根を刻んで煮る。この時焦げ付かないようにゆっくりかき回しておくのが品質を高めるポイントだ。

煮込んでいくと徐々にクロソウの成分が溶け出して緑色の液体になる。これにいろいろとこまごましたものを入れて濾した後に冷ますと

ポーションになる。今回はこのまま何もせずに冷ます。ここまでわかったな?」

「う~~何とか……それにしてもポーションってそうやって作るんですね」

「んじゃ、続けるぞ。今度は別の鍋に水を張りカタマソウを煮込んでいくこれもクロソウと同じように注意すればいい。

そうすると色は変わらないがどんどん粘ついてくる。かき混ぜている手が重くなるからその変化はすぐにわかるはずだ。

そうしたら濾して粘ついた液体だけにする。ここからはスピード勝負だ。冷めてくるとどんどん粘つきが強まって次第に

固まっていくから、そうなる前にさっき作ったクロソウのエキスを入れていく。クロソウのエキスは一気に入れないで

少しずつかき混ぜながら入れるように。そうしないと軟膏が均一にならないからな。ここまでくればあとはゆっくりかき混ぜるだけだ

そうすれば軟膏の完成だ。わかったな?」

「はいっ!」

そういって作った軟膏はすごかった。

「そこはそうじゃない!」「手が止まってるぞ!」「ちんたらやってんじゃねえ!固まっちまうだろうか!!」

こんな罵声が飛び交う中作られたのだ。高い品質を持っているはずがない。

「う~~~」

アイシャは悔しそうにしてたが泣いてはいなかった。

「お、えらいえらい。そうだ今泣いちゃあいけねえよ。確かに今回は失敗だった。でもこれが初めてなんだ気にするこたぁねえ」

「師匠!また工房借りてもいいですか?」

なんだかうれしくなってきた。今更になって弟子がいいものだと思いなおした。というわけではない。ただついこの前までは

すぐに泣いてずいぶん困らされたのだが今は泣くのではなく口をへの字にして、それでも絶対にあきらめないと目が輝いていた。

「おう、頑張れがんばれ」

だからだろう、こいつに俺の持つ知識をすべて上げたいと思ったのは。

「絶対に成功させて師匠に追いつくですよ!!」

アイシャの元気な声は商店街に響き渡って行った。






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