第4話
第4話
「よし、大分クロソウもとれたしそろそろ帰るか」
「くぅぅ~~~~。さすがに疲れましたね」
「おもにワン公のせいでな」
「うぐっ。異議ありです!!」
「ほう?クロソウを踏んだのは誰だったかな?大きなクロソウを見つけたら茎だけ折って根が取れなかったのは?
クロソウの群生地を見つけて確認もせずに突っ込んでジャイアントスパイダーの巣に絡めたられたのは?
そこまでは素人だからで許容できるが、採集に夢中になりすぎて迷子になるたぁどいうことだ?」
反論してきたので一つ一つ指を折って数えていたらアイシャは涙目になっていた。
「ううっ…そこまで言わなくても…」
「こんなんで死にやがったら寝覚めが悪いからな。次はこんなことにならないように厳しくしてやってんだよ。…ったく」
涙目なアイシャの頭に手をのせた。
「次は気を付けろよ。」
「っ!?…はい。」
わかってくれたようなので手を退ける。全く…
「でもでも、先生だって余計なもの取ってたじゃないですか。あれは何なんですか?」
どうやらアイシャは俺が余計な草を取っていたから採集に時間がかかったのだといいたいらしい。
「これは、俺の夕食だ」
「え?夕食?」
「これも教えておくか。これはな…」
取った草を入れてあるかごから右巻きに渦巻きのように丸まっている草を取り出す。
「クルルソウって言ってどこでも生えてるんだが、これがまた別段うまいというわけじゃない。
しかし食べると疲れが取れやすくなるんだ。どこにでも生えていることとその効能からクロソウと同じ
冒険者3大野草の一つになっている草だ」
「ほえ~~~~すごいんですね」
「気を付けるべき点はこれとよく似た毒草があることだ。それはクルリソウと言ってクルルソウと違って左巻きになっている。
同じような草を見つけたら巻き方に注意しろよ。」
「わかりました~」
森から帰る帰り道でもいろいろ採集をしていたら日が暮れてきた。街に戻った時には危うく門が閉められるところでろくに確認もできなかったな。
「いや~あぶねえあぶねえ。危うく野宿になるところだった。何の道具も持って行ってないのに。」
「ほんとですね~私も野宿は嫌だったですよ。」
店に帰って冷や汗をぬぐった。
「よしっそんじゃとってきたもん全部出せ」
「な、何でですか!?そりゃあ目的のクロソウは渡しますけどそれ以外は渡さないですよ!!私の夕飯のおかずです!!」
「だから言ってんだよ。素人が素人目でとってきたもんの中には必ず毒草が混じってるってのが常識だからな。確認するまでが採集だ」
「う~…わかったですよ。でも私は毒草なんて取ってきてませんよ。私を舐めないでください」
「わかったわかった。ほれ、さっさと出せ」
アイシャは若干不満げに取ってきたものをテーブルに出した。ふむ…。
「これとこれ、あとそれも毒草だ」
「え―――!?それもっ、これもっですか!?ならこれはどうですか?クルルソウですよねっ?」
差し出された草をよく見ると左巻きだった。
「残念、クルリソウだ。間違っても食うなよ」
「そんなぁ」
結局半分くらいが毒草だった。
「そんなへこむなって。素人なんだからしょうがねえさ」
へこんでいるアイシャの頭にポンと手を置きながらフォローする。
「先生はどうして間違えないんですか?」
アイシャはその姿勢のまま上目づかいで聞いてきた。その言葉は俺のトラウマを刺激した。
「あ…ゴホン。昔話をしてやろう」
あの思い出したくもないトラウマが思い出される。
「あるところに一人の若い薬師がいてな。まあ俺なんだが、そいつが森に野草を採取しに行った時の話だ。そいつは採取の帰りにクルルソウを見つけたんだ。
んで、うまいと聞いていたから食べてみようとクルルソウを取ったんだ。その中にクルリソウが混じっていることに気づかず…」
「それで…どうなったですか?」
「三日三晩、俺はトイレから出られなくなった。」
「ひぃっ…」
「その時から俺は野草を絶対に間違えないようにさらに集中して採取することにしたのさ。おかげで今になってはほとんど間違えなしよ」
話し終わってアイシャを見ると、うつむいて何かを考えているようだった。
アイシャは数秒考えると顔を上げて言った。
「同じ体験を私もしたら見分ける力がつきますか?」
思わずズッコケた。どっからその結論を導き出したんだよ。
「…やめとけ」
結局、採取の時間を増やして経験を積ませることになった。




