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白い巨塔

この国は腐ってる。競争社会。それがこの国の社会だ。誰がこんな国を望んだのだろう?勝てば幸せだが、負ければ地獄。二度と這い上がることは出来ない。

 俺は負け組としてこの国に生を受けた。なんの為に生まれて来たのだろう?早く死にたい。でも、死ねない。身体が嫌がる。

 俺は地獄を見た。黒い渦だった。ゴオォォという轟音が鳴り響いていた。この世を表しているようだった。

 この国は競争社会。強いものが弱いものを喰らう社会。この国にはたくさんの生き物がいる。そして生き物の中で一番小さな生物がいる。その生物を巨人という。いろんな生物に喰らわれる。そしてその生物を喰らう生物がいる。さらにその生物を喰らう生物がいる。そうやって続いていくと、人間にたどり着く。人間より強い生物はいない。なので人間は人間どうしで喰らう。

 古来、生物には第六感なるものがあった。それは、同種を喰らわないという一種のリミッターであった。しかし、人間は理性によってそれを失ってしまった。人間は人間どうしで喰らい合う存在になってしまった。この国はまさにそれを顕著に表している。

 俺はこの国に喰われる存在として生まれてきた。喰らう側の存在に喰われる存在の気持ちなどわかるわけがない。俺は、喰らう事は合っても喰われる事はない人間を駆逐しなくてはいけない。

そのためには白い巨塔が必要なのだ。

 この国には十人十色という言葉がある。喰らうだけの存在が、自分を肯定化するために作り出した言葉だ。喰らう存在がいて、喰らわれる存在がいるから人生はおもしろい、という意味だ。

笑わせる。こんな言葉が存在するこの国は終わっている。この国を救わなくてはいけない。そのためには白い巨塔が必要なのだ。喰らうだけの存在である人間にリミッターをかける事が出来る唯一の生物ではない存在。俺はその事を悟った。

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