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プロローグ
虚空の闇の中。独り私は泣いていた。
寂しかった…怖かった…憎かった…
しかし…それも時と共に薄れていく。
何に縋ればいい?何を恐れている?何を怨んでいる?
激情は熱を散らしてゆく。
もう、どうでも良かった。
始まりへ帰るのを、只呆然と過ごす日々。
それを打ち破ったのは、眩い光だった。
地下につくられた小さな部屋に一筋の光が射す。
その片隅で膝を抱え蹲る少女が一人。
少女にとってそれは、もはやあり得ない光景で何が起きているのかも理解出来なかった。
「誰かいるの?」
声がした。まだ幼い声だった。
少女はゆっくりと顔を上げると、眩しそうに目を細める。
光に霞む視界にボンヤリと浮かぶ人影。
「…あ…あ…うぁ…」
呻きながら、光の中心に手を伸ばす。
「…あっ……だ…れ?」
掠れた声で訊く。すると、人影は部屋のに飛び降り少女に近づいてきた。
「僕の名前は昴…。お姉ちゃんは?」
「…私は…私は…」
少女は頭の中で反芻しながらその先の言葉を探す。
(誰…だろう?)