第1話 不幸なクスマ
月が夜空に高く懸かっている。
一羽のひよこが夜、草原を独り散歩している。月光がその影を長く伸ばしていた。
そのひよこの名はクスマ。
よく見ると、このひよこが少しおかしいことに気づくだろう。
なぜかって?
彼の頭には、植物が一本生えているのだ!
─ (•ө•) ─
この星は我々の知る地球ではない。
それは『緑星』と呼ばれる惑星だ。
この世界は人類が支配しているのではなく、
ひよこによって支配されている。
この世界は非常に奇妙で、文化も地球とは大きく異なっている。
そして古来より、この世界には超自然的な力が存在した。
その超自然的な力は『超凡能力』とも呼ばれている。
しかし、この能力はひよこ自身が持つ力ではない。
その力は、ひよこの共生植物によって引き出されるものなのだ。
ひよこが大人になる頃、
発芽の機会が訪れる。
発芽といっても、ひよこ自身が発芽するわけではない。
ひよこの頭にある苗が芽吹くのだ。
そして、その不思議な苗はひよこ自身が凝聚して作り出したもので、
そうして、ひよこの頭の植物が彼に様々な能力を授けるのだ。
一週間前。
クスマがベッドで瞑想していると、突然、頭に痛みが走った。
驚いた彼は、慌てて目を閉じ、自らの体の状態を探った。
クスマが深く考える間もなく、全身の魔力が頭へと集中し始めた。
魔力は高速で回転しながら、頭頂に集まっていく。
やがてそれは、不思議な魔力の渦を形成した。
その時クスマは理解した。これは頭の苗が発芽する現象なのだと。
クスマが魔力を注ぎ続けること二時間。
ついに、魔力の渦が最大に達した時、彼はまるで星からの祝福を聞いたかのように感じ、
興奮を抑えきれなかった。
「俺の……俺の植物がついに来た。子供の頃から、俺はずっと村で一番優秀なひよこだった。そして今、ついに発芽の時が来たんだ。俺の努力が裏切られるはずがない。今こそ奇跡の時だ。今日から俺は、村で一番優秀なひよこになる。ガハハハハ!いや、村だけじゃない、国で一番優秀になってやる、ガハハハハ!」
そして、魔法の渦が頭頂から飛び出し、一株の植物を形成した。
彼は休む間もなく、急いで鏡を手に取り、
頭に芽生えたばかりの植物を見た。
「あああああ!!!!なんだこれは一体!?」
その瞬間、クスマは意識を失い、白目を剥き、
口から泡を吹いて痙攣した、両親に発見されるまでそのままだった……。
─ (•ө•) ─
「ひよこが覚醒する植物はランダムだから、小さくて弱い植物が、必ずしも上限が低いとは限らない」
クスマはそう自分に言い聞かせるように、慰めていた……。
なぜなら、
彼が発芽させた植物は、なんと『もやし』だったからだ!!!
「あああ……なんで『もやし』なんだ……?もやしはひ弱だし、ひよこ娘にもモテない」
クスマは頭のもやしに触れながら、悲しげな顔で言った。「……寒い……。本当にここで、能力を覚醒させる機会なんて見つかるのか?」
ひよこ達は各段階で能力を覚醒させようとする時、頭の植物を使って『緑星の意志』と交信する。
そして緑星は彼らに占いを行い、最後には、曖昧な、あるいは明確な予言を授ける。
「俺の予言は、かなり明確だったはずなのに……。だがなぜだ、もうずっと草原を歩いているのに、何も起こらない…… 」
緑星の意志がクスマに与えた予言は、
『明日の夜、汝に最も近しい草原にて、破壊と再生』
その時突然、夜空が真っ赤に染まり、驚いたクスマはすぐに顔を上げた。
彼が見たのは、『夜空を照らす一つの炎の隕石』だった。
隕石はまさに彼の頭上めがけて落下してくる。
視界を覆い尽くすほどの巨大な隕石に、彼は絶叫した。
「予言で破壊されるものって、俺のことだったのかああああああああ!!!」
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