16話
また女性の啜り泣く声が聞こえる。
この部屋の中だ…。
ドアは半開き。音を立てずに中へ入っていく。
音源に近づいていく。
体育座りで俯いている。啜り泣く声はその子のようだ。
武器を持っている。先ほどと同じような人だろうか…。
カチャ。
後ろから微かに音が聞こえる。
「動くな」
両手をあげ、立ち上がる。
「まさか罠にひっかかるやつがいるとはな」
シグ「罠?」
「あの女の子ホログラム」
次第に電子的になっていき、消えていく。
「引っかかるやつがいるとは思わなかったが」
シグ「まさかこんな罠があるとは思わなかったからな…」
「確かにこのゲームは再現度が高い。だが、このゲームは15歳以下はできない仕様だ」
シグ「それを知っていれば確かに引っかからないか…」
「それじゃいい教訓を得て消えろ」
バンと音がして目の前が真っ暗になる。
眼を開くと元に戻っていた。
シグ「罠の種類なんて知らんて…」
ノア「確かに…」
シグ「あ…やられたのか」
ノア「同じ罠に引っかかったよ…」
シグ「罠の仕様知ってた?」
ノア「知らなかった。罠を取得した時に一応説明があるみたい」
シグ「罠取ったことないからなぁ」
ノア「今、エマと相手一人の勝負になってるからこれは見ものかもしれない」
シグ「へぇ…あの人にやられたのか」
ノア「ちなみに僕もあの人にやれた」
シグ「え?女性?」
ノア「声だけ変えているみたいだね」
シグ「そんなことできるの?」
ノア「一応課金要素であるみたいだね。身バレ防止なのかな」
シグ「知り合いに会いたく無い人なのかな」