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ウホッ、いい男

ガヤガヤガヤ


「あ~~~~、だる~い、月曜日って嫌い~」

「あんた毎週同じ事言ってるじゃん」

「なんか良い事ないかな~」

「あれ、そういや担任の三浦の代わりって今日来んだっけ?」


学院にも慣れて、二学期が始まる暑い季節、いつもと同じような毎日が始まると思っていた私達にとんでもない衝撃が訪れるなんて、この時の私達は誰一人予想もしてなかった。


カララ


「ハ~イ皆んな、席についてぇ!産休の三浦先生の代わりに来た先生をご紹介しま~す♡」


ザワッ


「児島ちゃん、女?男?」

「児島ちゃん浮かれてるし男じゃね」

「マジ、男なの!若い!」


いつものジャージ姿とは違うスーツをビシッと着込んで、化粧もバッチリ、そんな気合い入れまくりの学年主任 児島鈴子こじますずこ27歳独身の姿で察した1-A生徒達のざわめきが大きくなる。女子校らしい獲物おとこを獲りにく戦闘体制だ、挑む覚悟を瞬時に整える。


「ハ~イ、静かにして、じゃあ武田先生お入りください~♪」


ガララッ


コツコツコツ


「「「「「「…………」」」」」」


ドアが開いた瞬間、世界が変わった。


スラリとした長い足が伸びて来て教壇への歩みを刻む、背筋の伸びた姿勢に清潔感のある白いワイシャツが爽やかな風を纏って教室へ流れ込んで来たように感じた。

年の頃は大学を卒業したばかりなのか非常に若若しい、短めに揃えられた黒髪が清潔感があって好印象を与える、前を見つめる黒い瞳は角度によって時々金色に輝いているように見えた。

黒髪黒目と日本人なのにどこか異国風な不思議な雰囲気が漂っている、これはちょっとお年頃の女子共には刺激が強いんじゃないかな。


女子生徒達は時が止まったかのようにボォーと見つめる。はい、そこ口空いてるよ閉じて。


「ちょ、カッコよくね…」


「レベち」


「なんか、こう雰囲気が、教室の空気が急に美味くなったような」


「ドラマの撮影とかじゃないよね」


「え、日本人だよね…」


「ラッキー、もう三浦このまま辞めちゃっていいわ」


「むしろ戻って来んな!」




教壇の前に立つと私達生徒に向かって軽く一礼、いや~、本当にスタイル良いな、凄く様になってる。


「本日より産休の三浦先生に代わって1-Aの皆様の担任を務める事になりました、武田 じんです」


「「「「ウキャアーーーーーーーーーーーーーーーーーッ!!」」」」」


新人教師の生声に感情が爆発した、おそらく校舎中に響き渡っただろう。




流石にこれには仁も吃驚した、元の世界では女子校なんてものは存在していなかったのだから。


(うるさ、防音結界を展開、えっ、男は?学校って女子しかいない場所だっけ?)





「ハイハ~イ!仁センセェ、彼女はいますか!」


「お歳は?」


「年下に興味は?」


「趣味は何ですか」


「児島ちゃんと私達だったらどっちがいいですか!」


「こら!桐生さん、どさくさにまぎれて何を聞いてるんですか!わ、私ですよね武田先生?」


教壇の前に立つ仁先生は私達の質問の嵐に、ちょっと圧倒されたのか右足を半歩下げる、そしてコホンと咳払いをひとつすると静かに口を開いた。


「そうですね、特定のお付き合いしている異性は現在いません、年齢は今年25歳と言う事になりました、年下に興味とはどう言う意味でしょうか? 趣味は読書です、児島さんも君達も今日お会いしたばかりなので現段階でどっちと言われても困ります」


「「「「「うおおぉーーーーーーーーーっ」」」」」


仁先生は私達の質問に真面目にスラスラ答えると、もう一度私達に向かって深々と頭を下げた。


「では、ふつつかものですが、皆様よろしくお願いします!」


「「「「「おねがいしま~す!!」」」」



真面目か!しかし、これは……。

おそらくだが、今クラスの連中の8割は頭の中で教師と生徒の妄想恋愛ドラマが始まっているだろう、かく言う私の中でも初回30分延長で放送が始まった。


男に飢えた女子校に若くてかっこいい男性教師、なんか面白くなってきたぞぉー。


私達の青春は今始まったばかりだ。


お読みいただきありがとうございます。

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