FFシリーズ ~トカゲ王の島~ その1
FFシリーズ第7巻となるのは、リビングストン氏作の『トカゲ王の島』です。因みに原題は『Island of the Lizard King』と、そのまんま直訳しただけでした。
奥付を見ますと、『1985年12月10日 初版第1刷発行』でした。私が持っているのはこれなので、その後どのような版を重ねたかはわかりません。
でもやはり1か月に1冊ペースで刊行が続いていたことが見て取れます。1985年はゲームブックのピークだったわけです(ソーサリー・シリーズもハイペースだった)。
この『トカゲ王の島』。タイトルからして、島に上陸することは確実ですね。
ならばこの島はどのような名前で、いったいどこにあるのか? それが気になるところです。
冒頭の背景を読むとおよその位置がわかります。あのポート・ブラックサンドから百キロメートル海岸線を下ったところに漁村オイスターベイがあり、その洋上にある『火山島』が今回の冒険の舞台となります。何ともわかりやすい島の名前です。
因みに背景を読むと、『ファングから南へ旅をつづけていた君』と書かれています。
ここでファング!? もしかして、前作『死のワナの地下迷宮』を制覇したチャンピオンの次の冒険なのかっ!? などと、そんな空想を狙っての一文にも感じます。
実際、微妙に続いているっぽい展開が他の作品(『運命の森』の続きは『恐怖の神殿』っぽい)にもあるので、意図的に作者が行っているのかも知れません。
敵はいわゆるリザードマンなのですが、ゲームブック上は『トカゲ男』、『タイタン』では『トカゲ兵』と表記されています(多分どちらも元は『Lizard Man』だと思います)。自分としてはどっちも微妙にしっくり来ない表現なんですよね・・・。
でも『トカゲ王の島』を取り上げるわけですから、当時の表記である『トカゲ男』を採用します。
このトカゲ男(トカゲ兵)について、『タイタン』では神話から始まって、しっかりと作りこまれている印象があります。神様がどんな経緯でトカゲ男(トカゲ兵)を作ったのかと、ちゃんと設定がありました。
文明の推移や社会、軍隊の構成などについても、結構語られているのですが、ここに記載されているものは今回の舞台となる『火山島のトカゲ王』のことではなく、南アランシアの沼地地帯にある『トカゲ兵帝国』(正式名称は不明)についてのこと。全く別の場所のことが書かれていました。
この『トカゲ兵帝国』のど真ん中に、都市『シルアー・チャ』があり、その都市にある巨大な宮殿に一番偉い人物が住んでいるとのこと。その人物は『覇王ルク・テン・チャ』。多分このトカゲ男(トカゲ兵)が頂点に君臨しているのだろうと思います。
更に読み込んでいくと、『トカゲ兵帝国』の勢力範囲は、南アランシアを中心としてかなり広範囲にわたっていることがわかります。
そして最後の方になって、ようやく『火山島』の名前が登場します。ここでは『最近陥落した』と書かれていますが、それしか記載がありません。まさに『それだけ!?』とつっこみたくなるようなレベルです(現在再発された『タイタン』はどうなっているのかは知りません)。
そうした事実から推測しますと、『火山島』は単なる地方都市!? ここに登場する『トカゲ王』って、一番偉いわけじゃないのっ!?
今になってそんな衝撃の事実に突き当たってしまいました。




