FFシリーズ ~死のワナの地下迷宮~ その1
今回取り上げるのはFFシリーズ第6巻として発売されました『死のワナの地下迷宮』です。タイトルからしてダンジョン・アドベンチャーであることは明白です。
原題は『Deathtrap Dungeon』。直訳すると正にその通りですけれど、『罠』ではなく『ワナ』としたところが、翻訳者のセンスを感じます。日本語って、同じ意味でも文字の使い方や言葉の使い方で大きく変わりますね。敢えてカタカナ表記にしたことで、危険度が強調されていると思います。
因みに近年再発された版では、『罠』と漢字表記に改められていますが、このエッセイで使用する名称などは全て当時のままとしております。決して間違っているわけではないことを、ここにお断りしておきます。
舞台はファングという街。本書の『背景』および当時の『タイタン』の情報から箇条書きにすると、以下の通りになります。
・ポート・ブラックサンド(つまり前回までのお話にあった『盗賊都市』です)から船に乗船し、コク川の河口から四日ほどいかだに乗って上流に向かうと到着。
・北に広がる氷指山脈の南の境界がコク川
・ファングはチアンマイ国の首都。
・交易都市。
・サムカビット公が治め、毎年『迷宮探検競技』を開催している。
大雑把に書くとこんな感じです。
今回の目的はこの『迷宮探検競技』に参加し、制覇して賞金金貨一万枚を手に入れることでした。
単純に金貨一枚が一万円とすると、一億円と言ったところでしょうか?
プロローグに当たります『背景』には、この迷宮が作られた経緯などが書かれているのですが、いわゆる『街おこし事業』ですね。サムカビット公自らが緻密に設計し、街の背後にある丘深くに大迷宮を作らせて、そこにワナや仕掛け、凶悪なモンスターを解き放ちました。
そして命知らずの冒険者たちに対して、ゴールできるものならやってみろと、そんなイベントを開催したわけです。
けれど生還者はこれまでゼロ。まさにサムカビット公、『どや~!』って感じでしょうね。
そのようにして毎年競技が開催されるうち、挑戦者や見物人の数が膨れ上がっていきました。お陰で街はぼろもうけ。毎年開催時期(五月と設定されていました)になると、ウハウハ状態でになりました。
だいぶ自分の言葉で要約しましたが、こんな感じです。もっと詳しく知りたい方は、実際に本書を手に入れるか、新旧どちらかの『タイタン』を手に入れて、調べてみてください。
あと忘れていましたが、今回もまた奥付を見ますと、『1985年11月20日 初版第1刷』となっています。前巻の『盗賊都市』がその一か月前ですから、この時期、かなりのハイペースで刊行が進んでいたことが伺えます。
因みに私が持っているのは『1987年2月10日 初版第11刷』です。やはり巻が進むごとに増刷のペースダウンは否めません(それでも多い方だと思います)。