【閑話休題 ~30年目の『トロール牙峠戦争』を手にして その2~】
ですが残念ながら1992年に『ウォーロック』は休刊。社会思想社もその後倒産し、この作品の話は全く情報がつかめないまま、時間だけが過ぎていきました。私も社会人になってからは、TRPGなどからも離れてしまいましたので、余計にわからなくなっていたのです。
そのまま気付いたら30年が経過していました。当時十代の若者だった私も、すっかりアラフィフのおじさんになっていました。
そんな状態であっただけに、この発売は正に奇跡的な出来事と言っても過言ではありません。
そしてあの時の自分にとってみれば、これこそが欠けていた最後のピースだったのです。
それがついに、私の手元にやってきました。ようやく最後のピースが埋まってくれたのです。
この原稿を書いている(2022年11月末)時点ではまだ届いたばかりで、読み始めるのはもう少し先になりそうなのですが、期待しかありません。十代に戻ったような気持ちの高まりを感じています。
FFシリーズやソーサリーシリーズは、現在日本で竜くしている異世界冒険ファンタジーとは、全く違う雰囲気の世界観です。あの『指輪物語』ともまた違った空気を持っています。
そもそも根本的にダークなのです。イラストもまがまがしさを感じさせてくれます。登場人物も殆どがいわゆる『陰キャ』ですから、明るく楽しい要素など全くありません。
善と悪の概念よりも、生と死の概念が支配する世界観なのだと感じています。
ですがこれこそが自分が最も好む異世界ファンタジーの世界観なのです。現在のライトノベルには恐らくここまでのダークさを生み出した作品は見当たらないのではと。若い作家さんたちですと、こうした古い時代の世界観に触れることは中々ありませんから、イメージがわかないのではと感じています。
現在の異世界ファンタジーは、基本的に平和で楽しい世界なのです。言うなれば童話の世界に近い印象があります。
もちろんそれは悪いことではありませんし、自分も好きなので、そうした作品にも触れています。
ですがやはり一番最初に触れた異世界冒険ファンタジーの世界観こそが、今も自分の中では一番なのです。仮に異世界転生するならば、『タイタン』のような世界が面白いと感じています。
さて、ようやく手に入れたものの、まだ読んでいません。パラパラとめくって、挿絵の確認とか、そんな程度です。
まだ他に読む本がたくさんありまして、そこまで到達していないのが現状です。学生時代までだったら、ありあまる時間を使って、直ぐに読み終わったのですけど、そうも行かない年齢になってしまいました。
それくらい30年という時間の流れは大きかったのだと感じます。
読み終わったらまた感想文でも書こうと思っています。