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TRPG冒険狂時代   作者: @篩獅師(ふるいしし/shi_shi)
第1章 ゲームブックの時代(2025年修正版)

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ゲームブックの時代 #03【ゲームブックの2大シリーズ】(2025年修正版)

 東京創元社より『ソーサリー・シリーズ』の日本版発売が始まったのが、1985年(昭和60年)7月頃のようです。これは奥付からの判断ですので、実際は6月頃かも知れません。確かその当時は何故か奥付より半月ほど早く発売するのが慣例だったと記憶しています。

 今ではおよそイコールの日付に発売していることが多いと思われます。


 さてこの『ソーサリー・シリーズ』ですが、その前年である1984年(昭和59年)、奥付では1984年12月30日に、FFファイティング・ファンタジーの第一巻である『火吹山の魔法使い』(英:スティーブ・ジャクソン氏+イアン・リビングストン氏唯一の共作)が社会思想社より発売されました。

 話によれば、前半がリビングストン氏、後半がジャクソン氏とのこと。日本版『ウォーロック』が発行された際、創刊号と第二号に分けて、『火吹き山の魔法使い』が掲載されました。ひょっとしたらこの時の分け方が、そのままそれぞれの作品だったのかも知れません。

 なお実際の発売日はどうやら1984年12月6日であることが、後に見つけた資料からわかりました。これについてはいずれ、『火吹山の魔法使い』を取り上げる際に記そうと思います。


 この作品の後、『バルサスの要塞』(英:スティーブ・ジャクソン氏)、『運命の森』(イアン・リビングストン氏)と続いていきます(何故か第4巻はSFの『さまよえる宇宙船』(英:スティーブ・ジャクソン氏)でしたが、第五巻からまた元の世界観に戻りました)。


 『火吹き山の魔法使い』は退院した後で買いました。ソーサリーと基本的なルールは同じ(魔法が無いくらい)でしたが、物語としては基本中の基本、ダンジョンを攻略して、悪い魔法使いから宝物を手に入れるというものでした。

 つまり言い換えれば略奪。何が正義で、何が悪なのかはっきりとしない世界観でしたから、気にすることもないのでしょうね。強いて言えば、『強い者が正義!』でした。

 そしてこの魔法使いの名前は『ザゴール』。FFシリーズを代表する主人公級の悪役の一人です。


 このプレイした当時、まだ小学生だった私はこの魔法使いの名前を見つけることが出来ませんでした。名前を知ったのは設定資料集の『タイタン』でした。

 このエッセイを書くために読み返してみると、しれっと名前が登場していることに気づきました。

 ザゴールについては『タイタン』にはかなり細かい設定が記されていて、実は悪の勢力における重要キャラの一人だったりします。


 因みに印象的な表紙に登場する魔法使いのおじいさん(と召喚された竜)は、無関係です。誰なのかは、未だに不明(因みに『バルサスの要塞』の表紙でニタリと笑うシルエットも無関係)。

 『ファイティング・ファンタジー・コレクション』の一環で再発売された際は、表紙がザゴールに変更されていましたが、竜を召喚しているところだけは踏襲されていました。


 一方のソーサリーは奪われた『王たちの冠』と呼ばれる宝物を取り戻すために、奪い去ったマンパン砦の魔王の下へと向かいます。こちらもファンタジーRPGの王道ですけれど、キャンペーンもの(時系列順に連続しているものの意味合い)ですから、よりRPG要素が濃かったと思います。

 例えるなら長編の冒険小説ですね。『指輪物語』の影響が強くあったのではないでしょうか。


 調べてみると、『ソーサリー・シリーズ』は2000年代に一度、他社から再発されているようですね。ただし若干タイトルが変更されていました(『七匹の大蛇』は同じでしたが)が、恐らく原題に近いものじゃないかと思います。表紙も異なっていましたから、中の挿絵も当時と違うものなのでしょう。

 翻訳されたかたも社会思想社版とは違っていましたが、その当時のFFシリーズの翻訳を手がけていたかたでもありました。

 なお、この『ソーサリー・シリーズ』も現在『ファイティング・ファンタジー・コレクション』で再発売(2024年)されました。そこではオリジナルの表紙ですが、やはり『七匹の大蛇』を除いてタイトルが微妙に変更されています。


 この『マンパンの魔王』についても、『タイタン』に記されています。他にも主人公級のボスキャラが何人も記されていました。

 ホント、『いったいこの世界、何人のボスキャラがいるんだ?』と、つっこみたくなります。

 このボスキャラたちが一堂に会して、それこそトーナメント戦でチャンピオン決定戦をやってほしいくらいですね。

 そうなったらとても盛り上がりそうです。


 今回取り上げた『火吹山の魔法使い』ですが、これもボロボロになるまで遊びました。セロテープで補修したあとも残っています。まさに危険な冒険における名誉の負傷です。

 当時、恐らく解き方を覚えてしまったことでしょう。それでもやはり何度も楽しんでしまうのは、それだけ純粋な子ども心を持っていたんだろうなと思います。悪は何度でも打倒したいっ! そう思って当然の年頃でした。

 

 1987年、FFシリーズの生みの親であるスティーブ・ジャクソン氏とイアン・リビングストン氏が来日された際、この表紙を使った記念テレホン・カードが社会思想社から販売されました。あのザゴールじゃない謎のおじいさんが、まさかの記念品となってしまったのですっ!


 多分切手を1,000円分くらい送る(恐らく半分が送料・手数料で、使えるのは500円分)と、購入できたと思います。私もお小遣いから切手分だけ送って、このテレカを手に入れました。

 そして・・・今もちゃんと持っています。まさか40年近く(2025年現在)も失くさずに持ち続けていられるとは思いませんでした。しかもこうして取り上げることになるとはっ!

 もはやお宝コレクションの一つです。


 今はスマホの時代ですけれど、当時はまだまだ固定電話や公衆電話ばかり。テレホンカードは贈り物や記念品の定番でした。むしろ高価な贈り物でした。

 今の子どもたち、使い方を知っているのかな? 当時はプッシュホンもありましたけれど、まだまだダイヤルを回す黒電話や赤電話が多く残っていました。


 また当時の一部の通販(今のようなネット通販ではない)では、代金として指定された金額の切手を送って購入することも可能でした。今に思えばどうやって換金するのかわかりませんけれど(郵便局に持って行ったのかな?)。

 今ではもう、この購入方法は一切見かけなくなりました。これもまさに『昭和』の文化の一つですね。


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