~ファイティング・ファンタジー ~ その1
さて今回取り上げるのは、オリジナル版TRPG、『ファイティング・ファンタジー』です。小学校の時にゲームブックのはまった同級生の誰かが持ってきて、何人かとワイワイやっていたのを覚えています。
けれどその時はいわゆるTRPGのことを知りませんでした。『D&D』を知るのももう少し後でしたから、それこそ『何をしているんだろう?』という状態で、全く興味もありませんでした。
作者はもちろんスティーブ・ジャクソン氏。
日本版の発売は1985年12月13日、初版発行。私が持っているのは第4版で1986年3月6日の日付になっていました。この時代ですと、この日付より多少前倒しで発売されたと思われますが、わずかな間に4版まで増刷されていることが伺い知れます。
これは『ソーサリー』の影響があることは明らかですね。このシリーズ作品は1985年に大ブームになりましたし、どちらかと言えば社会思想社から発売された『FFシリーズ』よりも影響力が高かったように思います。
もっとも、『ファイティング・ファンタジー』はTRPGと知らず、そのままの勢いで買ってしまった当時の小学生たちも、少なからずいたのではないかと思われますが。
そう言えば2025年は日本版『ソーサリー』が発売されてから、ジャスト40周年のアニバーサリーですね。さすがに東京創元社で何かやるとは思えませんけれど、40年が経過するなんて、あっという間でした。時間の流れは、思っているよりも激流のように早いのです。みなさんも同じように感じているのではないでしょうか?
この『ファイティング・ファンタジー』はゲームブックと違い、TRPGとなっています。基本的なルールは『ソーサリー』や『FFシリーズ』と同じです。
後にこれは現在主流の『AFF2e』へとつながっていく最初の一歩となるべきTRPGですが、どちらかと言えばTRPGの雰囲気をこれまでのシステムを用いて、どんなものであるのかを体験するための紹介作品のように感じました。なのでこの一冊だけで完結している印象がとても強いのです。
一応社会思想社より後にシナリオとして『謎かけ盗賊』が発売されていますが、つながりが薄い感じがします。これもそのうち、再発売されるのでしょうかね・・・。
実際に冒頭からゲームブックとTRPGの違いについての概要が書かれています。ゲームブックには限られた選択肢しかなく、『君』が進むべき運命の道筋はかなり限定的です。
一方TRPGには縛りはなく、あらゆる可能性がそこにあります。もちろんゲームを破綻させないことが大前提になりますが、ある程度の融通は可能です。つまりはアドリブです。
ゲームブックとTRPGの最もわかりやすい大きな違いはそれだと思われます。
そうしたことも含めて、初めて手に取って触れる人たちにとっても、抵抗なく受け入れることが出来るようにわかりやすい説明がなされていました。
その後はゲームマスターとプレイヤーについての概要が書かれていますが、要は基本的な心得ですね。
やはりゲームを行う上では、秩序を保つための心得は必要です。悪乗りしたり、暴走したりするのは、もはやゲームではありませんから。




