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TRPG冒険狂時代   作者: @篩獅師(ふるいしし/shi_shi)
第5章 もっと広い冒険舞台へ!

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~トンネルズ&トロールズ ルールブック~ その7

 TRPGのだいご味、それは魔法です。異世界冒険ファンタジーにおいて、絶対的にそれなんですよ。だって我々の住む現実世界では、魔法を使うことは出来ませんから。

 だからこそ、誰もがみんな、魔法使いに憧れるのでしょう。いまだに『魔法少女』が登場する作品が人気なのも、証明だと思います。


 『T&T』の魔法は派手さはなく、魔法っぽい魔法だと思います。

 もし今の時代の異世界ファンタジーに出てくる魔法と比べるなら、原始的な魔法になることでしょう。

 でも強力で派手さを追及するような今の魔法設定には、違和感しか感じないので、この時代に紹介された魔法の方が、魔法らしく感じます。


 魔法を使えるのは魔術師、盗賊(教えてくれる魔術師がいれば)、魔法戦士であることは、先に述べました。

 ですがここでは一般的な魔術師の話として書いていきます。

 

 魔術師は幼い頃から魔術師組合いわゆるギルドですねに所属して、魔法の鍛錬を積みます。

 冒険者となって冒険に出るレベル1の段階では、既に基本的な魔法を身につけた状態になっています。これは基本仕様です。

 身に着けているのは10の魔法で、当時の表現のまま紹介すると、『魔力感知』、『閉じよ』、『鬼火』、『開け』、『そこにあり』、『これでもくらえ!』、『死の刃』、『パニック』、『教え』、『ごまかしの杖』となります。

 これがレベル1の魔法になりますが、知性度10、器用度8を必要とします。言い換えれば、魔術師になるための最低ラインで、ここをクリアしていないと魔術師キャラクターは作れないわけです。

 

 魔法の内容は名称からおよそ想像できると思いますけれど、『これでもくらえ!』はエネルギー・ボルトのような魔法とされていました(ルールブックではそこまで記されていない)。知性度を武器として、かけたものの知性度と同じだけのダメージを相手に与えます。

 当時のルールブックの表紙では、宝の山の中、襲い掛かるトロールに向かって、魔法戦士が指先から放つ閃光が描かれているのですが、これが『これでもくらえ!』に当たると、どこか(多分『ウォーロック』では?)で読みました。

 原文は『Take that you fiend!』のようで、『fiend』は『悪霊』や『悪魔』を意味する単語です。日本語訳にすると、『悪魔に取り憑かれろ!』というニュアンスでしょうか。

 これを『これでもくらえ!』と訳したのは秀逸だと思います。


 当時の『T&T』の魔法は、能力値が残っている限り、一日に何回も使えます。当時の『D&D』はレベル1だと一日一つ。使ったら翌日にならないとまた使えない不遇なキャラでした。今もそうなのでしょうか?(今のものは知らないし、触れるつもりはないので、その辺りは各自でお願いします)。

 ある程度最初からそれなりの魔法が使えることで、プレイヤーたちを楽しませる趣向があったのかも知れませんね。

 もし日常生活にこの世界の魔法があったとしたら、レベル1の魔法だけでも十分なくらいじゃないでしょうか。そんなことを感じてしまいました。


 レベル2以降の魔法を得るためには、自分も経験値を重ねて知性度と器用度を上げ、更にその都度魔術師ギルドに結構なお金を払って、教えてもらわなければなりません。

 そう考えると、魔術師はそれなりにお金が必要になるキャラクターです。しっかり冒険をして、がっぽり稼ぐ必要があるのです。


 一応魔法のレベルは20で終わっていますが、魔術師のレベルが17になると、オリジナルの魔法を開発することが出来ることになっていました。

 最近の異世界ファンタジーでは、当たり前に自作魔法も登場しますが、この『T&T』の世界において魔法なんて元々は全部が自作だったはず。

 作れると言っても、どんな魔法が良いのでしょうかね。ゲームを壊さないくらいの魔法じゃなければ意味がありません。チート能力になる魔法はアウトなのです。


 大人気コミックの『葬送のフリーレン』では、はっきり言って、どうでも良いような魔法が時々混ざってきますね。あれ、大好きです。魔法って本来、こういうどうでも良い効果から始まったんじゃないかなって、そんなことを思いました。

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