~トンネルズ&トロールズ ルールブック~ その2
既に1987年はゲームブックが下火に向かっていた時代だと思われます。逆境の中、起死回生を図るわけではなかったと思いますが、逆風だったのではないでしょうか?
この時期はゲームブックからTRPGへ移行する谷間の時期であると考えています。平成になって『ソードワールドRPG』が産声を上げるまでは、業界的にも苦労のあった時代ではないでしょうか?
あくまでも当時をリアルに過ごした私の推測なので、話半分に聞いておいてください。
さて『T&T』がゲームブックではなく、TRPGの一端であった理由は、手の込んだキャラクター造りにあったのだと感じます。中学一年生だった当時の私は、ルールブックを開くなり、わかりやすい造りのゲームブックに比べると、細かくて複雑に感じました。
それでも読み込んでちゃんと覚えたんですよね。今だったら面倒くさくて放り投げてしまいそうですけれど、その頃は頭も柔らかかったですし、何よりも楽しみで仕方が無かったからでしょう。好きなものって、ちゃんと覚えるんですよね。
能力は全部で六種類。体力度、知性度、幸運度、耐久度、器用度、魅力度、速度です。TRPGに精通されている方なら、言葉だけで意味はおよそ掴めることと思います。
能力の決め方はとても単純で、サイコロ三つを振った合計が能力値の基準となります。こういうのって、わかりやすくて良いですね。冒険者の職業によって大きな差も出てきませんし、正に運だけの勝負です。
確率的に1の目が3つ出るというのはかなり低いですし、同じく6の目が3つ出るというのもかなり低いです。
平均値から多少の前後はあるでしょうけれど、一長一短、まあまあ遊びで使用できるキャラクターが出来上がるのではないでしょうか?
我々だって、一人一人個人差はありますし、得意・不得意は誰だってあるわけです。
因みにこの話を書いているときに気づきましたが、七つある能力値のうち『速度』の説明がルールブックから抜けていました。当時もこの数値をどうするのか悩んだかも知れませんが、ソロ・アドベンチャーの方にはちゃんと書かれていました。
当時の『D&D』を経験された方ならわかると思いますが、能力値決めに関しては、理不尽極まりないと思いました。スタートはもちろんレベル1ですけれど、体力点が1なんてなってしまうと、冒険が始まる前から崖っぷちですからね。
そう言えば今のバージョンって、能力値を決める際はどんな感じになっているのでしょうか? 変わったのでしょうかね?
当時の『T&T』ルールブックには人間の他にドワーフ、エルフ、フェアリー、ホビット、レプラコーンが用意されていました。サイコロを三つ振ることは変わりありませんが、種族によってそれぞれの能力値にかけ算を施します。これについてはまた後述します。
因みに人間が基準となって、全て×1(つまりサイコロを三つ振った数字がそのまんま)。
他の種族は分数だったり、整数だったりと、能力値の増減が行われます。
ソロ・アドベンチャーだと人間が最も無難だと思いますけれど、パーティによるプレイだったら、種族による能力値のばらつきがあった方が、ずっと面白くなりそうですね。協力しあって冒険を達成する。
今のネットゲームであろうと、古い時代のTRPGであろうと、その精神は変わりません。
当時の私は人間を好んで使いました。これって、どのTRPGを行っても、最後まで変わりませんでしたね。
他の種族が嫌いだったわけじゃないですけれど、自分のイメージが合わなかったのもあります。
やっぱり自分が作ったキャラには、自分をそのまま投影したいと思っていましたので。




