TRPG流浪の時代 #14 【手に入らないルールブック】
ところが、ここからがまた時間がかかりました。当然のことならが、1989年(平成元年)当時は現在のようにネット通販で簡単に手に入る時代ではありません(パソコン通信があったくらいですかね)。
また系列書店間での在庫のやり取りなども、恐らくあまり無かったんじゃないかなと。注文を受けた書店から取次に連絡が入り、取次から送ってもらうシステムになっていると、あとになって知りました(ただし、正確なルートはわかりません)。
一部推測が入りますが、どうやら当時は取次内で在庫を探し、見つかり次第書店に送られてくるようでした。取次も各地域にあったようですが、注文した書店と取引がある取次に在庫がない(見つけられない)と、そこでおしまいになることもあったのだろうと思います。
例えば雑誌のバックナンバーなど、出版社側は『在庫有り』と雑誌でお知らせしているにも関わらず、取次が『在庫なし』であれば、そこで話はおしまいにされてしまうのです。
書店側もよその取次さんを当たってくれるわけでもないようで、『ありませんでした』という電話連絡を入れてくるだけでした。
後に『ドラゴンマガジン』を読み始め、バックナンバーを注文した際にそんなことがありました。一度は売り切れと返事を受けたものの、雑誌にはまだ在庫があることになっていましたので、少ししてからもう一度注文しました。その際には『雑誌に書かれている』と主張したと思います。
それからしばらくして、ようやく手元に届きました。もしかしたら取次から出版社の方に問い合わせしてくれたのかも知れません(ある意味、クレームを入れたようなものだから、動いてくれたのかも?)。
またある本を注文した際、しばらくして入荷していたにも関わらず、それが書店の本棚に並んで販売されていたこともありました。たまたまそれを見つけたので、注文の控え見せて話をして購入したこともありました。
現在ではこんなことはまずありえないとは思いますけれど、当時は少なからずいい加減な部分があったのです。
因みにCDやレコードの注文も同様でしたけれど、稀に廃盤でもレコード問屋に在庫が残っていることがありました。
さて話を戻しますが、注文したものの書店からいっこうに連絡が来ませんでした。一か月が経ち、二か月が経ち、それでも何の連絡もありませんでした。
当時中学生だった私は大人しく待つしかありませんでした。
普通に書店に尋ねればいいだけなんですけれど、当時の私はそういうことがとても苦手だったのです。内気というのとは違って、対人恐怖症みたいなものでしょうね。
本の注文さえドキドキしながらやっと頼んだくらいでした。それだけでストレスが溜まりましたね。
そう思うと、今の時代のネット通販はホントに便利です。
またその間、ソードワールドRPGを紹介してくれた友人たちとは、大きな動きありませんでした。中学三年生で受験生でしたから、ゲームどころではなかったのです。
それでも一応注文した控えは失くさないように大切に保管していましたが、途中からどうでも良くなっていました。
欲しいものが手に入らないというのは、何だかやきもきしますね。
現在であれば、ネット通販で簡単に手に入るというのに、当時は買い逃したら、中々手に入れづらくなる時代でした。
この注文した書店は、場所は若干かわりましたけれど、今もその地域にあります。
当時に比べて周囲の人口も増えたので、お客さんの入りも多い感じですが、たまに覗く私にとっては、何か客層が変わって落ち着かないなと感じるようになりました。三十年以上の間に、まさかの高級住宅地になってしまいましたからね。
店舗も大きくなり、ジャンルは多くなりましたけれど、最近の売れ筋ばかり置いているから、面白味が全くなくなりました。
金持ちさん相手の商売に変わってしまった感は否めません。




