~魔術師タンタロンの12の難題~ その4
さてここからが本番。『ガランタリア国横断 タンタロンクイズ』の始まりです! いや、クイズじゃないですけれどね。
それでもここで冒険者のみんなに問います。『罰ゲームは怖くないかーっ!?』 冒険者向けの罰ゲームって? ダンジョンに設置されたトラップの動作確認とか、モンスターの排便・排尿のお掃除とか、呪物の効果を試すとか、色々ありそうです。
などと、いきなり脱線してしまいましたが、気を取り直して最初の難題の話に行きましょう。
最初の難題。『獄につながれること四か月 アイケンのダンスタブル卿を救え』です。
物語の背景に書かれた説明を引用しますが、『勇猛果敢なダンスタブル卿はボーダー河をさかのぼる途中で賊の手に捕われ、スティン城に幽閉される身の上』となっていました。
ページをめくって、改めて第一問の詳細を読むと、『シグネットのクランス卿と一緒』だったことがわかりますが、肝心の何のために河をさかのぼっていたか、そこが書いていません。何かの討伐に向かっていたのでしょうか? それともただのバカンス的な冒険?
それに『賊』って? そこも不明ですが、山賊みたいなものでしょうか? さすがに熟練の騎士さんも、多勢に無勢だったのでしょう。因みに同行者のクランス卿さんのことは書かれていないので、名誉の戦死を遂げたものと推測されます。なんまんだぶです。
幽閉されている場所がスティン城とわかっているので、取り敢えずそこまでレッツゴー! ボーダー河に向かう船を見つけて、『君』は乗り込みました。船長はシャンカーマンさんで、貨物船でした。
何故かこの船長さんが情報を持っていて、捕まった経緯とか、幽閉されている場所とか、侵入経路とか、色々と教えてくれます。どこでどうやって仕入れた情報でしょうか? 昔のRPGですと、何故かそこいらの一般人が、結構重要なことを知っていることがありましたけれど、そうした謎なキャラの匂いを感じました。
お陰で幽閉された場所を見つけ出しましたが、実は城ではなく砦っ!? まあ、この時代の翻訳ではそうした細かい違いが出ることもありますが、そこはスルーしておきましょう。
取り敢えず忍者のごとく忍び込み、ダンスタブル卿が幽閉されている拷問部屋を発見。
ですが扉を開けてびっくり、見てびっくり。彼はロープで吊るされ、その下は燃え盛る炎の灼熱地獄状態。ほぼ全裸に近い状態の彼にとって、半ば火あぶりの刑、実施中でした。
更にそのロープは複雑に組み合った滑車を経由して、一つのレバーにつながっていました。
そこで問題。『どちらの方向にレバーを倒せばよいか?』です。
つまりレバーを右または左に倒せば滑車は回り出します。彼の身体が上がってくるか、それとも奈落の底か。
単純に二者択一ですが、イラストを見ながら頭の中で滑車を動かし、慎重に決めなければいけません。レバーは右が『1』、左が『5』の数字となっていました。
これが最初の難題でした。
けどこれって、四か月もずっとこんな状態だったなら、彼の食事はどうしたのでしょうかね? 排便と排尿は? 垂れ流し? お風呂はなかったにせよ、ずっと炎を炊いていますから、汗をかいて汗臭くなっているでしょう。
更にこうして幽閉したものの、身代金も要求せず、ただ放置状態。
生かさず、殺さず、こんな状態を四か月も続けているなんて、無駄なコストでしかありません。
う~ん、賊がやることにしては、何の利益にもなりませんよね。むしろ賊としては三流ではないでしょうか?
結局賊が何者の集団であったかは不明のまま。人間だったのか、それともモンスターだったのか、最後までわかりませんでした。




