~魔術師タンタロンの12の難題~ その3
取り敢えず戦は一区切りとなったものの、その間に国内の問題はゆきだるま式に増えていました。まさに『ゆきだる魔術師タンタロン』です。
問題の内容は事細かに物語の背景に書かれているのですが、長すぎるので割愛します。この期に取り上げる各難題がそれに当たるので、そこで理解してください。
更に今度はタンタロン自身の後継者を見つけ出さなければならないと、新たな問題も浮き彫りになりました。問題が重なるときは重なるものなのです。
更にこのタンタロンのおじいさん、どうやら独身のようです。魔術に没頭して、恋愛と無縁だったのかも。隠し子の一人や二人、お手の物って訳じゃなかったわけですね。
仮にまだある程度若いうちに王様になっていれば、お妃さまだって複数人めとれたでしょうし、ヤル気もたっぷりで、子どもだって何人か生まれたことでしょう。
ですが既にご老人。裏表紙の紹介文にも『生涯もやがて終わりに近づこうとしていた』と書かれているだけに、推定八十歳はくだらないのではないでしょうか? この世界の魔術師だと、魔力によってやや長命で、百歳くらいかも知れません。
いずれにせよやはり足腰は弱っているでしょうし、今更お妃さまをめとったところで、元気に立ち上がることも、魔力を持ってしてもかなりの至難かと。立ち上がるって、ナニが? そこはご想像にお任せします。
そこでじいさんは考えました。だてに長く生きてはいないわけですよ。国内の諸問題を全て解決した者に対して、『タンタロンの褒章を求めることができる』ことにしちゃいました。
これで全てが解決・・・って、褒章? 褒章ってことは王位とかじゃないの?? つまり達成者は『褒めてつかわす』ってこと??
改めてプロローグ部分を読み返すと、『タンタロンは宮廷に新たな血を、英知を、人を、そして未知の息吹を導入しようと考えた』とあります。そのために『最も賢明かつ知性にあふれ勇気に満ちた心』を持つ者を探すことにしました。ある意味、タンタロンおじいさんの終活です。
おやおやおや? これだけ読むと必ずしも王様になれるということではないのでしょうか??
宮廷に『就職』は出来そうですけれど、次の王様を確約するような言葉は一つもありませんね。
考えられることとしては、若い後継者候補を入れるということじゃないでしょうか? 宮廷も高齢化が進んでいそうですし、ご老人がいつまでも居座っていたら、国そのものが衰退してしまいます。
発展のためにはやはり若い人たちに席を譲るべきなのです。
あれ? これって現実でも起こっているやつじゃん。すごく身近なところで。選挙をしても何も変わらない国のことです。
それからおふれを出したのち、レンドル宮殿(という名前でした)に何百人と冒険者が集まりました。冒険者って、むしろ肉体派が多いから、賢さってあまりイメージが沸かないんだけどな。
この時タンタロンから与えられたのは全部で『12の難題』。各々の難題の解答は、全て数字でなされることも明かされました。何だそれ?(まあ、ゲーム性を考えると、そうなんですけど)
そして『12の難題』を正しく時、その答えの合計の答えが正解ならば、ミッションクリアとなります。
ここで何故、作者さんが難題の数をきりの良い『10』ではなく、『12』にしたのかは謎ですが、世の中には『十二進数』という考え方が意外と多くありますから、発想としては珍しくありません。むしろちょっとだけ難題数が多い方が面白いと考えて、『10』よりも『12』にしたのかも?
これが『8』とか、『16』だったら、盛り上がりに欠けたり、面倒くさくそうです。
だいぶ端折って書きましたが、導入部分の流れとしてはこんなところでした。
実際には、どんな問題が発生しているのか、概要は示されていますけれど、それはそれぞれの難題を取り上げる際にわかることですので外しました。
今回、およそ三十七年ぶりくらいに改めて導入部分を読み返しましたけれど、プロローグの内容は全く覚えていませんでした。そもそも本書を開くのだって、恐らくそれくらいの年月が経っていると思います。
表紙のカバーは多少色あせて破損していますが、中身はあまり傷んでおらず、色彩も鮮やかなままでした。当時、良い紙と良いインクが使われていたのでしょうね(だから当時としては高い値段がついていた)。
それにしても小学校六年生の終わり頃に購入した本を、よく五十歳になっても所有していたなと、我ながら感心します。ゲームブックなど含めても、大人になる前に処分した人が多かったのではないでしょうか。
そしてこうして『小説家になろう』にて取り上げて、更に読まれているなんて。当時は想像も出来ませんでした(当たり前だけど)。
さて次回からは『12の難題』について、一つずつ紐解いていきたいと思います。
まさに『難題』って『何だい?』ってやつです。




