~魔術師タンタロンの12の難題~ その2
舞台はガランタリア王国。場所としては『旧世界』と呼ばれる大陸に存在しています。細かくはカーカバード地方の奥、モーリステシア(『ソーサリー』に掲載された当時の地図では『モーリスタティア』)を超えた先にある国になります。
その大雑把な地図は、表紙と裏表紙を開いた見開きに鉛筆画のような形で記載されていました。右下の方に『モーリスタティア(モーリステシア)』の文字があり、これが『ソーサリー』との接点になります。
因みに作者であるスティーブ・ジャクソン氏の似顔絵が、この見開きに登場しています。
1990年版『タイタン』に『ガランタリア』という固有名詞がわずかに登場しますが、殆ど語られていません。わずかな情報を引用いたしますが、『快活な農夫と富裕市民が住む概して平和な国だが、国境にはいまだに騒乱を引き起こす者たちが潜んでいる』とのこと。平和なのか、平和じゃないのか、ちょっとわかりにくいですね。
本書にある冒険導入部を読んでみますと、『四つの王国の戦争はようやく終わった』とあります。四つの王国の名前は、ガランタリア王国以外、特に書かれていませんが、途中で『ブライス国』という名前が出てくるので、その一つと思われます。
ですが『ソーサリー』の冒頭にヒントが隠されています。1985年当時の表記を用いますが、ここには『ラドルストーン』、『レンドルランド』、『ギャランタリア(ガランタリア)』、『ブライス』の名前が続けて登場していました。
そして『フェンフリー』の改革王シャランナが発見した『王たちの冠』を、それぞれの国に四年ごとの持ち回りで貸し出すことで、『王たちの冠』の持つ魔力の恩恵を受け、平和国家として栄えて行きました。その結果、戦や争いごとが殆ど見られなくなったと、そのように記されています。
ただし本書の方を見る限り、『王たちの冠』についての言及はなく、戦争が終わって平和条約は結ばれたものの、まだまだ危うい状況でした。
これらの設定から考えるに、『王たちの冠』を賜る前の話になるのではないでしょうか? この直後に『冠』の持ち回りが始まったのかも?
あくまでも推測なので、実際はどうなのかはわかりません。
今回の舞台となるガランタリア王国。王様だったコンスタインと王妃様は、実は戦のさなかにお亡くなりになっているとのこと。しかも後継者はいない。
つまり戦のせいで子作りに励む余裕などなかったわけです。
そこで新たに選ばれたのが、賢者であり宮廷魔術師のタンタロンでした。むしろお神輿のように担ぎ出された感じです。
しかもイラストを見る限り、間違いなくおじいさん。年齢のことは一切書かれていませんが、かなりのご高齢であることが推測されます。
もちろんこの時点ではまだまだ四つ巴の戦状態です。ガランタリアの運命をこの老魔術師に託しましたが、『天才的な策士でもあったので、その戦術が戦いの流れを大きく変えることになった』と記されていました。
王位について二年後、実質ガランタリアが優勢となり、残りの三国は休戦に応じる形で戦は終結。
和平条約締結となったものの、ブライス国はガランタリアに従うことをよしとしていないことが明らかになっていました。つまり火種はくすぶった状態で、いつまた戦が起こるかわからない状態なのです。
まあ、戦争などというものは、どこの世界であっても、いざとなれば条約など勝手に破棄して攻め込んできますからね。
いつの時代も常にこうした危機が背中合わせになっているのは、我が国だって同じだと思います。




