FFシリーズ ~サムライの剣~ その21
長々と、『サムライの剣』のネタバレ話にお付き合いいただき、ありがとうございました。
この作品、S・ジャクソン氏でもI・リビングストン氏の作品でもありません。HJ社版は何故か二人の作品に仕立て上げられていましたけれど、二人はあくまでも監修者であって、作者はJ・トムソン氏とM・スミス氏の共作です。
それでも好きな作品になったのは、やはり日本をモチーフにした世界観だったからでしょう。途中からもはや何でもありの世界観になっちゃいましたけど、それはそれで面白かったです。
基本的にジャクソン氏とリビングストン氏が描くのはアランシア大陸。ジャクソン氏はどちらかと言えばカーカバード大陸のイメージが強いですけれど。
二人以外の作者さんのために解放されたのが、第三の大陸クール。およそそんな感じではないでしょうか。
途中でも書きました通り、アランシア大陸の冒険では既に忍者や武士が登場していました。FFシリーズやソーサリー・シリーズは常に西洋風でしたから、その中に和風が混ざることがとても斬新でした。
HJ版でも『サムライの剣』は出版されていましたから、人気があったのかも知れませんね。表紙を見る限り、全くイメージが変わってしまいました。『悪死』だけはこだわりとして残っていましたけど。
内容はどうなのでしょうか? 今ではHJ版は全て絶版のようですから、他の作品も含めて気になります。
突然発売された2009年頃は、すっかりTRPGやゲームブックから離れていましたし、こうしてエッセイを書く発想などありませんでした。もし再発されるものなら、是非買い求めたいところです。
PCゲームなどの『ウィザードリィ』ですと、侍や忍者が登場するようですが、他は殆ど見かけません。むしろ西洋かぶれな日本人ですから、無いものとしているのかも知れません。
最近では『ダンジョン飯』で久々にそうした描写を見ました。若い読者さんから見れば斬新だったのかも知れませんが、我々世代からすると、そうした和風テイストが混ざるのは、むしろ懐かしい感じがありました。
この作品は人気が高いですから、これを切っ掛けに、当たり前に組み込まれて欲しいものと思います。だって侍や忍者は世界に誇る我が国の文化ですから。
最後に短いながらも訳者さんのあとがきがありまして、そこではジャクソン氏とリビングストン氏が来日した際に行われた『ライブ・ウォーロック』について、少し書かれていました。
日時は1987年4月26日、場所は東京・四谷にある主婦会館とのこと。現在の『主婦会館プラザエフ』ではないでしょうかね。会場は熱気に包まれていたことが書かれていました。
リビングストン氏の印象は英国紳士で学者肌。ジャクソン氏はお茶目でニコニコしている素敵なお兄さんとのこと。確かにその頃、『ウォーロック』誌に掲載された二人の写真を見る限り、そんな印象です。
お二人が来日したのは、これが最初で最後だったのではないでしょうか? その後ゲームブックは下火になりましたし、当時の『ウォーロック』誌は休刊になりましたし。
現在であれば当時の少年少女たちがアラフィフくらいになり、もしお二人が来日したら、そうした年代の人たちが多数やってくるように思います。
このエッセイを書くようになり、昔のゲームブックが今も根強く、静かに人気が続いていることを知りました。
長々と書いてきた『サムライの剣』もそろそろおしまいです。
今回は長く書きすぎました。今回も含めて全部で21回。正直、書きすぎです。
書いているうちに楽しくなってしまって、うまくまとめられませんでした。
こんな感じで次回以降も続きますが、よろしくお願いいたします。
次回は『魔術師タンタロンの12の難題』を取り上げます。
全16回とまたしばらく続きますが、よろしければお読みください。




