FFシリーズ ~サムライの剣~ その15
バラの生垣の後ろから、唐突に現れたのは幻術師の正装をした男。誠実そうに微笑んで、『君』を歓迎してくれました。こういうのが一番怪しいのですよね。
要約するに、『泉の水を飲めば八幡国に帰れる』が、『そのためにはこの道を避けてはならない』と。つまり戦って勝利することを要求されますが、勝てば見返りも大きなものになることも伝えられました。
それだけ伝えると、幻術師はドロンと消えてしまいました。そう言えば今の若い人たち、『ドロン』という表現を知らなくて驚きました。
さあ、困りましたね。ここは重要なところですから、慎重に考えなくてはいけないのはわかります。ですがヒントも何もないので、もはや勘に頼るしかないのです。運試し、関係ありません。
ここで幾つか像の挿絵が登場しますので、その印象でも。
まず『銀の武士の像』。日本刀を持ち、兜こそクワガタが付いていますが、上半身はほぼ裸で、どことなく古代ローマ帝国の武具みたいなものが混ざっています。何だこれ? どう見ても武士じゃないだろう?
次に『悪鬼とそれに跪く尼僧の像』。悪鬼は言わば日本の鬼というよりも、強そうなオークかな? 尼僧の方は仏教における尼僧とはかけ離れていて、古い時代の中国か朝鮮半島っぽい女性の服装に見えました。
最後に『蠅の王ハンムラビの像』。ハンムラビの名前の由来はわかりません(古代メソポタミアの王様の名前からか?)が、まあ、ぶっちゃけ蠅です。大きな蠅です。でも銀蠅みたいなものではなく、羽はトンボみたいになっていました。
ようやく泉にたどり着きました。『真っ白な巨岩をつたって、水が小さな滝のように大理石の池に流れ落ちている』とのこと。
え? これって泉とは言わないのでは?
疑問に思って『泉』の意味を調べてみると、地中から涌き出る水のこと。じゃあ、ただの『池』じゃんっ!
またしてもおかしなところを見つけてしまいました。『サムライの剣』、矛盾を怖がらないところが、かえって恐ろしい作品かも知れません。
ともあれ、この泉(池だけど)の水、そのまま口をつけて飲むか、それとも側にある銀製の水差しと杯を使って、水差しに水を入れるか。
日本の伝説では、『黄泉の国』の食べ物を食べてしまうと、帰れなくなってしまうとされています。そう言えば『泉』にはこの黄泉の国の意味もあるそうです。
ということは、飲料水ではあるものの、口にするのは色々と不味いのではないでしょうか? そこまで考えて、このゲームブックの展開が練られたかどうかはわかりませんが、ここは欲張らずに水差しに入れてお持ち帰りしましょう。
水差しから一滴だけ飲んでみると、『君』の身体中に知識が蔓延するような感覚になります。『神になったような気分』とも書かれていますけど、まさかこれ、やばい薬なの? グビグビ飲んでいたら絶対頭がおかしくなりそうな展開じゃん!
その後、元の世界に戻った『君』は、処水山のふもとにいることがわかりました。やっとここまで到達したのかっ!! この物語、とにかく長いですね。