FFシリーズ ~サムライの剣~ その10
森を抜けた先は小径が続き、やがて平安川の上にかかる葉隠橋にやってきました。やっとかっ!?
この橋を渡って、処水山に向かうのですけれど、そう言えばぶっ倒した貞信公の城って、処水山の麓にあるって説明されていましたけれど、そこから随分と距離があるように思います。麓の意味合いは、標高が緩やかに増加する部分とのこと。平野と山の微妙に混ざり合うくらいの場所ですから、まあ、麓ではないとは言い切れないでしょう。
そしてこの葉隠橋を渡っていると、何やら急に辺りの様子がおかしくなってきました。『別世界に足を踏み入れた』かのようでした。
空は曇り、川面は血のように赤く染まり、頭蓋骨腕の骨、あばら骨がプカプカと浮いている様子が描かれます。これ、滅茶苦茶ホラーじゃんっ! というか、怪談じゃん!
そして『君』の目の前に現れたのは、亡霊武士(サムライではなくこのように表記されているため、亡霊武士のままでいきます)。その姿は骸骨で、両手に刀を持つまさかの二刀流! あの超有名大リーガーみたいですね。
背中に経てている旗印は骸骨の絵で、『悪死』と書かれていました。
もう、お気づきですね。表紙を飾った亡霊武士、ここでついに登場です!
何故『悪死』なのかはわかりませんが、これは『悪しき者には死を』という武士の心得なのでしょうか? だとすればこの亡霊武士は生前、正にサムライ魂の塊みたいな武士だったのかも知れません。
でも今は闇将軍イキルの傀儡そのもの。そう言えば『君』の主である長谷川喜平将軍の情報だと、亡霊武士を呼び寄せているって言っていましたっけ。つまり、こいつかっ!!
これ、2009年にホビージャパン社から出た『サムライ・ソード』の表紙でも、『悪死』だけは踏襲されていましたね。表紙、全然変わっちゃいましたけれど(他作品も同じ)。
HJ社版のゲームブックは未読ですけれど、色々と物議をかましたという話は、ネットでちょっとだけ確認しました。リビングストン氏が『死のワナの地下迷宮』のHJ版を見て、すごくがっかりしていた(というより、へこんでいるなと思った)という話を覚えています(多分サンプル本が本人に届いたのでしょう)。こうなると、改変というより改悪です(冒頭をWEB上で見たけれど、何だこの日本語訳はと思いました)。それこそ『悪死』をもって成敗です!
そもそも何で中途半端にFFシリーズを出版したのか、意図がわかりませんね。かつて1980年代後半、『ローンウルフ』シリーズという秀逸なゲームブックを出していたのに(その頃を知らない人たちが担当したのかな?)。むしろこのシリーズを再発売するべきと思いました。
話を戻しますが、ここで『悪死』の亡霊武士。結構つわもの、というよりも曲者で、『君』は苦戦させられます。一筋縄ではいきません。
こういうタイプは、パワー的に強いというよりも、テクニック的に手強いと言った方が良いのかも知れません。ゲームだったら、間違いなく中盤の山場で、苦戦を強いられることでしょう。
まさにそれと同じことが、ゲームブック上で行われているわけです。う~ん。こいつはすごいぜ!
とにもかくにも、亡霊武士力技で何とかぶっ倒すなり、なんなり、どうにかこうにか、何かの間違いでも突破しなければなりません。じゃないと物語はここでおしまいになってしまいます。
ここで『君』は朽ち果てるか、それとも乗り超えて闇将軍イキルの元へ向かうか。
アニメに例えるならば、ここが前半のクライマックス! 波乱を期待させるような展開です!
そして途中経過はともかくとして、この難関を乗り超えた『君』は、闇将軍イキルが棲む鬼軽城への冒険を続けるのでした。
・・・などと勝手に演出しちゃいましたけれど、やっぱり鬼軽城って名前、何でなのかって不思議に思います。『足軽』という言葉を知り、『足』を『鬼』に変えたのかな?
案外普段は軽い性格の鬼たちなのかも知れません。
そんな感じに色々想像しちゃいました。




