FFシリーズ ~フリーウェイの戦士~ その11
この『フリーウェイの戦士』ですが、FFシリーズ、リビングストン氏の作品では唯一のSF作品。この作品を除くと、その前後に発表された作品や、近年の新刊『危難の港』(『ファイティング・ファンタジー・コレクション~レジェンドの復活』に収録)も含めて、アランシア大陸の冒険に特化していました。
冒険ファンタジー以外にも、SF、ホラー、ヒーローと幅広い世界の物語を創作したジャクソン氏とは対照的です。
なぜこのとき、リビングストン氏は『フリーウェイの戦士』を執筆されたのでしょうか? 残念ながら訳者や当時のゲームブック関係者による解説やあとがきがないので、何もヒントが残されていません。
なので筆者の推測になってしまいますことをご了承ください。
どう見ても舞台は北米大陸のどこかであり、イギリスではありません。イギリスも島国ですから舞台としては小さすぎますし、欧州全体だとまたイメージがつかないのかも。
そう考えると、やはり映画などの影響があったのではないかと推測されます。1980年代のヒット作であれば、イギリスで上映されていてもおかしくはありません(同じ英語だしね)。
この作品の奥付を見ますと、『1986年12月25日 初版第1刷発行』となっており、私が持っているのは『1986年12月28日 初版第2刷発行』。
まだこの頃はゲームブックの勢いが多少残っていたのでしょう。
現在この『フリーウェイの戦士』は、日本版の再発はされていないようですね。ここ数年で続いている大型本セットの中にも収録されていません。
ジャクソン氏ですと、『地獄の館』と『サイボーグを倒せ』は収録されていますが、『さまよえる宇宙船』は未収録。
どちらも大型本セットに組み込むにしては、ちょっと中途半端なのかも知れません。
もしセットに盛り込むとしたら、他のFFシリーズの中から他作者の三作品ほどを厳選して、一緒に販売するような形になるのでしょうか。それくらいしか思いつきません。
今回のレビューで書かれなかった点として、日本車のトヨタが襲い掛かってくる場面があります。しかもここでのトヨタ、機関銃がついています!
この時代、日本は工業立国で世界の最先端を行っていましたし、日本車の評価は高かったはず。現在(2024年)とは違う円安で、輸出イケイケ状態でしたから、貿易摩擦が生まれるくらい儲かっていたのでしょうね。
トヨタを悪者の車にしたというのは、ひょっとしたらそうした背景があったのかも知れません。
あとこの『フリーウェイの戦士』はパラグラフが380までしかありません。通常は400なのですが、20も少ないのは珍しいです。
ざっと、最後は駆け足で補足事項を書いてきましたが、今回で終了となります。
当初は『サイボーグを倒せ』と同じく7回前後でまとめたかったのですが、思いのほか長くなってしまいました。
これまでとは全く違う世界観とは言え、しっかりと物語を組み立て、プレイヤーを飽きさせることないリビングストン氏の創作能力が、ここでもまた大いに発揮された作品だったと思います。
次回もまたよろしくお願いいたします。




