TRPG流浪の時代 #08 【あの頃、T&Tが好きだった】
中学二年生になってから、『ロードス島戦記』や『Ys』などの小説は読んだものの、TRPG関係については主だった動きはありませんでした。
後にグループ活動を行うことになる友人たちとは、とっくに知り合っていましたが、まだTRPGを行うまでには至っていませんでした。多分、まだ興味を持っていなかったのだと思います。
もっぱら、冒険ファンタジー小説の話などをして過ごしていました。
個人的にはウォーロックは読み続けていましたし、まだゲームブックも買い続けていました。その頃は惰性に近かったのかも知れませんけれど、こうしてお話しする機会が出来たのですから、それで良かったのだろうと思います。今は時間が取れませんが、いつかまた、ゲームブックの世界に冒険に行きたいと思います。
その頃は『T&T(トンネルズ&トロールズ・第5版)』に興味を持っていました。最初の方に少しこれについての記載がありますが、ここで改めて記してみたいと思います。かぶっている部分もありますが、ご了承ください。
このT&Tも日本版ウォーロックと同じ社会思想社から発売されました。当時はブックタイプで、最初のルールブックは680円(消費税は導入されていません)と値段もお手軽でした。
基本となるルールブックの他、ソロ・アドベンチャー用のシナリオ(中身はゲームブックそのもの)や、パーティ用のシナリオを手に入れて、空想に耽っていました。
ソロ・アドベンチャーは結構楽しめましたし、中でもバトルのみの『カザンの闘技場』がお気に入りでした。単純にただひたすら戦うだけなんですけれど、何故かそれが楽しかったのです。
因みにルールブックを買わなくても、何か一冊ソロ・アドベンチャーを買えば、最低限遊べるだけのルールは掲載されていました。その点は親切だったと思います。むしろそれだけで十分でした。
キャラクターは戦士、魔術師、盗賊、魔法戦士の4つでしたが、武器や魔法のバリエーション、その他の装備が豊富であったり、能力値の細かさ(体力度・知性度・幸運度・耐久度・器用度・魅力度・速度)も特徴的でした。
また種族もそろっていました。人間の他、定番のドワーフにエルフに加えてフェアリー、ホビット、レプラコーンなどが最初のルールブックでは説明されていました。ホビットの名称が使えるということは、使用権を取得していたのでしょうね。
後に発売されます『モンスター! モンスター!』(何故か表紙は日本人のイラストレータさんのものに変っていた)という追加ルール本では、様々な種族のキャラクターをプレイすることが出来るようになりました。自分がモンスターになって、人間たちを殲滅するゲームを行うことも可能だったのです。
またD&Dと違って、一般的な六面ダイスだけでことが足りましたし、魔術師だからと言って、必ずしも体力的に弱いということでもありませんでした。
でも、こうして改めて見てみると、ルールブックが細かすぎるかなと。それが流行らなかった当時の一因でもあったのではと、今では考えています。
お話の中に登場した『カザンの闘技場』ですが、調べてみると2017年に、T&T完全版シリーズの一つとして再発されていましたね。中身は確認していないので、どうなのかはわかりませんが、文庫本ではなく、ちょっと大判な感じかなと。
再発されたT&Tシリーズですが、当時遊んだソロ・アドベンチャーなどのほかに、日本では発売することの無かったその後の作品も発売されているようでした。
当時の日本語版に比べれば、造りもよくなっているでしょうし、豪華さも感じられます。
けれど、やっぱり自分にとっては、全て当時手に入れたT&Tの方が、ずっと宝物なのです。経年劣化の跡が目立つようになりましたけれど、それでもやっぱり、こっちなんです。思い出が染み込んでいるものですからね(これは他のTRPGやゲームブックにも言えることです)。
こんなことを感じるようになったのは、それだけ年齢を重ねてしまったからでしょう。
きっと若い人たちも、あと三十年ぐらい生きてみれば、私の今の感覚がわかると思います。