FFシリーズ ~甦る妖術使い~ その9
そして『君』とシャムとボーリーの三人は、気球に乗って空の旅をし、ともかくその謎の生き物、ガーガンティスの棲む場所に降り立ちます。
ここから先はもはや探検隊です。昭和時代に大人気だった『川口探検隊シリーズ』で流れた効果音やテロップが、頭の中で炸裂する感じです(若い人たちはわからないと思うけど)。
あの探検隊ほど、探検隊らしい探検隊は今もって見たことがありません(笑)。
でもこれって、洞窟ってことも描写されていなくて、単に『通路の入り口』を発見したことになっていました。ダンジョンってわけでもなさそうですし。
それに入っていくと、どうも何者かの手が加えられているんですよね。だって、30メートルごとにドクロの上のろうそくが、明かりを照らしている描写があるんですよ。そもそも誰が火をつけているんだ??
なんて思っていると、やがて洞窟トロールと遭遇してバトルに発展。なるほど、このトロールが火をともしていたってわけですね。あとここは洞窟っぽい挿絵や、岩の床の描写があるので、やっぱり洞窟なのかなと思います。
その洞窟内でいくつかモンスターを撃退しつつ、奥深くへ進んでいきます。それなりに困難はつきものですが、それを乗り超えてようやくのこと、求めるガーガンティスとやらのいる穴倉の最深部へとやってきました。
これ、挿絵があるので見てみると、ほぼ恐竜じゃん。FFシリーズ、恐竜好きですね~。一角獣のような長い角が生えている以外は、恐竜としか表現しようがありませんでした。
そんな恐竜相手に大苦戦しつつも、どうにかこうにかぶっ倒して、目的の角をゲット!
外に出てきた『君』たちは、再び気球を膨らませて空に舞い上がるも、地上からホブゴブリンの矢が襲い掛かってきます。しつこいくらいのトラブルですね。
FFシリーズ、全てに言えることですが、冒険者が平穏を手に入れるのは、最終パラグラフ(だいたい400が最後かな?)に到達したその時だけです。
どうにか振り切って、しばらく空の旅を雑談しながら過ごします。今回のゲームブックって、キャラの会話が多いんですよね。登場人物が多いからかもしれませんが、初期の頃に比べるとかなり物語性が色濃くなっていることもわかりました。
ところがどっこい。今度はレッドドラゴン!? いったいどれだけ難敵をぶつけてくるんだこの作者はっ!! クリアさせる気、絶対ないでしょっ!!
それでも回避する方法は用意されていますが、前半の冒険でそのイベントに当たっていないと、気球は墜落してやっぱり即死。
回避できれば、気球は墜落していくも、何とレッドドラゴンは一転して三人を助け、そのまま飛んでくれるという展開に。いきなりドラゴン・ライダーになるのか!
ドラゴンから降りた後もしばらくフィールド・アドベンチャーは続きますけれど、その途中、『野生のエルフ』の女性三人に襲われている冒険者に出くわします。『野生のエルフ』って何!? エルフに野生も何もあるのか!?
挿絵を見れば、見るからに野蛮で、パンクな頭に身体や顔に恐ろしい紋様のタトゥー。もはや未開の土地で暮らす原住民みたいな容姿をしています。
日本のライトノベルやアニメに出てくるエルフとは、全然別物のエルフにしか見えませんけれど、四十年ほど前であれば別に珍しくありません。むしろ海外から輸入された異世界ファンタジー系の種族は、どれも日本で進化して、受け入れやすい容姿に変わりましたから。
そんな出来事はあったにせよ、どうにかこうにかラザックが潜んでいるという谷へとやってきました。谷底の割れ目からは腐敗した蒸気、というかこれ、瘴気でしょうけれど、そんな毒ガスみたいな空気が漂っていました。
その割れ目が入り口なんですけれど、これ、入って大丈夫なのか!? 既に到達する前に死にそうな気がしてなりません。
けれど、行くしかないので行っちゃいましょう! いざ、ラザック討伐!