FFシリーズ ~モンスター誕生~ その2
そしてこの『モンスター誕生』では、満を持してザラダン・マーの登場です。というか、当時はここで初めて存在を知りました。
何故なら『モンスター誕生』の初版第1刷発行が1988年3月30日(昭和63年です)。因みにお値段は680円(まだ消費税導入前)でした。
原題は『Creature of Havoc』。直訳すれば、『大破壊生命体』。う~ん、タイトルとしてはしょぼくなりますね。
一方、ザラダン・マーの記述がある『タイタン』の初版第1刷発行は1990年1月31日(平成2年です)。2年のタイムラグがあるので、日本での初登場は『モンスター誕生』になります。
いきなり登場して、誰だこの人? そんな感じだったと思います。
『タイタン』によりますと、このザラダン・マーはザゴール、及びバルサス・ダイアと共に同じ魔術師の師匠ヴォルゲラ・ダークストームのもとで黒魔術を学んだ兄弟弟子。しかも三人が十七歳になったとき(三人とも同い年なのか?)、共謀して師匠を殺害してしまうのです。とんでもない思春期ですね。
それに共謀したところで、絶対に三人、仲良しこよしじゃありません。ここはあくまでも利害の一致なのです。
もし仲良しこよしであったなら、『トロール牙峠戦争』なんて、あとで起こらなかったはずです。
殺害後はそれぞれの道を進んだことが書かれていますが、ザラダン・マーについてのみ、実は記述が殆どありません。最初からバルサスは別行動で離れ、ザラダンはザゴールと共に北に向かったのち、東の月岩山地に向かったという記述と、「エルフの村への放火」と「森人の居住地での大虐殺」のみ。
意外とやってること、小悪党だなっ!? その程度の悪事しか書かれていないのです。
これだけでとても謎めいていますが、ひょっとしたら『タイタン』が発売されるタイミングでは、まだ煮詰まっていなかっただけなのかも知れません。
『タイタン』も『モンスター誕生』も、本国イギリスでは1986年の発売となっています。もし『タイタン』の方が先であるならば、これから発売するゲームブックに対して、謎めいた部分を残しておきたいと考えてもおかしくありません。
謎めているからこそ、『モンスター誕生』をプレイしたくなるわけです。ザラダン・マーって、いったいどんなやつで、どれほど邪悪なんだろうかと。




