FFシリーズ ~迷宮探検競技~ その4
ようやくここからが『迷宮探検競技』本編です。それまでは単なるウォーミングアップでした。
ですがリビングストン氏、初期の頃に比べると一つの物語の中に複数のプチ物語をぶっこむことが増えてきたと思います。この傾向が始まるのは、『雪の魔女の洞窟』からです。
このエッセイを書くようになり、読み返しが増えたことで、今更ながらそんなことに気付くようになりました。
さて今回の参加者は『君』の他に四人。『黒いスパイク付きのよろいをまとったカオスの王者』、『戦闘装束に身を固めた東洋の武将』、『エルフの王子』、『ドワーフの貴族』。
これらを総称して『顔ぶれもきらびやか』と書かれていましたけど、明らかにキャラが濃い感じのが少なくとも二人いるなと。『カオスの王者』って何? 『東洋の武将』って??
もはや『エルフの王子』と『ドワーフの貴族』と『君』が、すっかりかすんでしまいました。
そう言えば前回大会でも『忍者』が登場しましたね。当時、小中学生だった私は日本的なキャラが登場することに、逆にワクワク感を感じました。
ゲームブックが書かれた1980年代までの日本は、恐らく世界の中では経済大国であったにしても、まだまだ細かい部分では知られていない時代だったと思います。今ではインターネットを通じて簡単に情報が手に入りますが、その頃はまだまだ未知の国。逆に日本から見ての外国もそんなところがありましたね(『パンダ』、『エリマキトカゲ』、『コアラ』、『ウーパールーパー』で、日本中が信じられないくらいの大騒ぎになったくらいです)。
その頃は外国人旅行客はとても珍しかったですし、街中で外国人を見ることじたいがレアな経験でしたから。
それに『忍者』や『侍』はどこにいるものなのかと、本当に尋ねる外国人旅行客がいたとか、どうとか、そんな話もありました。
話を戻します。
主催者であるサムカビット公、『一年がかりで改造』し、『必殺効果は完璧』と豪語していました。
もはや金持ちの道楽じゃないのかとさえ、思ってしまう発言です。
それでいて、中でどんな展開が繰り広げられているのか、観客はもちろんのこと、このサムカビット公さえも見ることが出来ません。これ、確か『死のワナの地下迷宮』でも同じようなことを言った気がするのですが、ほぼ設計ミスじゃん。
令和の時代ですと、ダンジョンからの配信をネタにした物語があるようですが、この頃は誰もそんな発想はありませんからね。
中にいる挑戦者たちの様子がどうなっているのかわからないのに、何で盛り上がっているんだろう? 今に思うと、とても不思議なイベントだなと思いました。
ともあれ、『君』は二番目に迷宮内へレッツゴー! しかも装備は一振りの剣と腰に付けた皮袋だけ。最低限の服装はしているでしょうが、他は何もありません。
また当然のことながら、ただ単にゴールまで生きてたどり着けば良いというものではなく、何らかの条件を満たした上でのゴールと考えるべきです。そんな説明はどこにも書いていませんが、簡単に生きて帰さないのがアランシアでの掟。
サムカビット公の意図をきちんと理解しておかないと、最後の最後で奈落の底に落とされてしまいます。
さて、ゴール条件は何でしょうかね? 探検を続けていくと、何故か『同じもの』がちょこちょこと見つかっていきます。それがヒントです。




