FFシリーズ ~迷宮探検競技~ その2
このブラッド・アイランドには闘技場がありまして、ここが最初の舞台です。
この日のために捕まえてきた奴隷戦士は総勢四十二人! いきなりの『死に』番ですよ。まあ、外国にはそんな概念はありませんけど。
その中から勝ち残るのは僅かに一人(他死亡)。その一人が『迷宮探検競技』に送り込まれるわけです。デスゲームのあとに更にデスゲーム!
ゲームブックで闘技場ネタとなれば、単なる戦いの繰り返しじゃないか? そう思われるかも知れませんが、心配することなかれ。そんな単純なものにしないところが、リビングストン氏です。決して裏切ることはありません。
因みに『君』がぶち込まれた牢屋には他に四人。ドワーフ、マンオーク、筋肉質の東洋人、筋骨たくましい禿の男。
この四人の男たちとともに一夜を共にします。もちろん何もありませんよ? まだ。
翌朝、ついに始まったデスゲーム第一回戦。それはまさかのマラソン耐久レース! バトルロイヤルとかじゃないんかいっ!
これは六人をひとグループにして、円形の闘技場内をグルグルと、ただひたすら走り続けます。一応最初に熱々の石炭ぶちまけられますが、あまり気にすることはありません。単純に運試し勝負みたいなものですから。
そして誰か一人が一周遅れするか、へたばるかで終了。むしろ予選会でした。
翌日の第二回戦はモンスター『骨くだき』との戦闘です。このモンスターが意外と面白い姿をしていまして、挿絵もちゃんとあるんですが、微妙に獣人っぽい姿をしています。というか、怪人ですね。
そこでの描写を借りますが、『よろいのように固い皮膚』、『醜い小さな頭部』、『盲目に近い細い両目』、『ぺしゃんこの鼻』、『横一文字の口、それを覆う巻きひげ』、『胴体はものすごくたくましく』、『両腕は長くて怪力』でした。
他には怪獣のような長い尻尾が挿絵に描かれています。
これらの表現ではわかりにくいでしょうが、印象として、いかにもFFシリーズに登場しそうな偏屈おやじの顔面をした怪獣でした。ホントにこの顔、そうにしか見えません。くだらない説教を始めそうです。
そのモンスターとの戦闘に勝つと二回戦も突破です。
ところがその夜のこと。アクシデントが発生! 同じ牢屋では『君』以外で唯一の生き残りである東洋人の男が、突然襲い掛かってきます(まあ、衛兵が焚きつけたような表現もありますけどね)。ヘアバンドの中に隠し持っていたヘアピンを武器にして。人間、その気になれば何だって凶器に変えられます。
アランシアに東洋人というのは不思議な感じですね。挿絵を見れば昔の香港映画(正にゲームブックが書かれた時代とも合っている)に出てきた悪役拳法家みたいな感じで、胸にドラゴンの入れ墨が描かれていました。
あの頃(1980年代)は日本はもちろん、東洋そのものが未開の土地みたいなイメージが、欧米にはあったんじゃないかなと思います。野蛮な感じに描かれています。
本当に生き残りがかかる状況だったら、現実世界でもこういうのはありえるのではないでしょうか?
最も恐ろしいのはモンスターではなく、人間なのですから。
さあ、次はいよいよ三回戦です。