FFシリーズ ~迷宮探検競技~ その1
さてFFシリーズでは久々に登場となったリビングストン氏。『恐怖の神殿』以来のアランシアでの
冒険は、あの『死のワナの地下迷宮』の続編、『迷宮探検競技』です。
FFシリーズは11巻以降、ジャクソン氏とリビングストン氏は監修者に回り、馴染みのない方々の作品が増えていきました。
アランシアから離れ、どこにも属さない世界であったり、新鋭作家たちには第三の大陸である『クール』を舞台に提供し、新展開を見せるようになったり。個人的には『サムライの剣』はナンチャッテ・JAPAN!的な作品で、お気に入りでしたけどね。これは『クール』にある『八幡国』が舞台でしたが、いずれ取り上げたいのでここまでにしておきます。
さて『迷宮探検競技』ですが、始まりは前作『死のワナの地下迷宮』と同様かと思いきや、物語はいきなりの急展開。何せ、主人公である『君』は捕らえられた奴隷の一人として始まるのですから。
導入部分を読めば、小舟で海を渡っている時に暴漢の船に襲われ、そのまま拉致。漕ぎ手としてこき使われた後、ようやく到着した場所がカーナス卿が支配するブラッド・アイランド。最初から小さな島と書かれているので、江の島くらいなのかも知れませんね。
それでいて名前だけは『血の島』とか。安易なネーミング、カーナス卿のセンスを疑ってしまいますね。権威を見せつけるために、怖そうな名前をつけて、かえってすっこけるパターンにしか見えません。
そして何とこのカーナス卿こそ、『死のワナの地下迷宮』のオーナーでもあるサムカビット公の実弟でした。この辺りの関係はどうなのか? こんな時はコレ、『タイタン』を開きましょう!
言うなれば、貴族の家柄ではよくある憎悪関係にある兄弟でした。子どもの頃の教育格差が原因であろうと、そんなふうに感じる設定になっていました。
父親であるアルカット男爵が亡くなった時、全財産と全権力をまるっといただいたことで、その憎悪はマシマシ状態へと発展。そりゃそうなりますよね。これ、現実世界でも遺産相続でもめ事になるくらいですから。
その後の人生については細かく書いてありましたが、最終的にはこのブラッド・アイランドの小ボスになり、兄への復讐を日々考える小悪党へとなりさがってしまいました。転落人生、まっしぐらです。
そして今回、新たに造り変えられた迷宮に挑むべく、屈強の奴隷戦士を見つけ出して送り込み、兄が豪語する新迷宮を制覇することで、鼻を明かしてやろうと、そんな魂胆でした。自分で挑むんじゃないんかいっ!! カーナス卿って、ヘタレか!! しかも賞金は自分のものと、正に小悪党に相応しい人物そのまんまでした。
これ、元々こんな性格だからダメだったんじゃないの? 兄弟の関係や親の育て方以前に、人間性の問題のように思えました。
そんなカーナス卿がどうやってブラッド・アイランド代表を選定するか? 長くなってきましたので、それは次回をお待ちください。




