FF RPGシナリオ ~『謎かけ盗賊』~ その4
上陸後は一転して、熱帯ジャングルでの冒険に変わります。何だか『トカゲ王の島』を彷彿させるような展開ですが、あちらに比べてこちらは東南アジアっぽい雰囲気ですね。
ただ実際に内容を読んでいきますと、もちろん全く同じではありませんが、『トカゲ王の島』を参考にしているんじゃなかろうかと。ジャングルの冒険はあれくらいしかありませんしね。
冒険はのっけから、よその探検隊のメンバーが次々と、ジャングルの中から人間砲弾のごとく飛んできて、そのまま海にぼっちゃん。鮫に食われるというサスペンスな場面が展開されます。
助けに行ってみると、変異トカゲ兵が探検隊の最後の一人を、海に向かって発射しようとしているところ(ヤシの木をしならせて、その反動で飛ばす)。冒険者たちはこの最後の一人を助けることとなります。
この変異トカゲ兵というのは、どこか歪んでいたり、ねじくれていたり。要は奇形なんですけれど、イラストを見る限り普通のトカゲ兵ですね。
そう言えばゲームブック中も、『変異オーク』とか出てきましたっけ(確か『恐怖の神殿』だったと思う)。モンスターとは言え、今では身体的な奇形を表現するのは差別的でアウトかも知れません(だって戦闘で痛めつけるわけですから)。
この助けた探検家はワックスリー・スピードと名乗ります。しかも自分から『超一流の探検家であり、宝探し家』とか名乗っちゃったりして。じゃあ、何で捕まったんだよとつっこみたくなりますが、まあ、それは今は置いておきましょう。
色々とはしょりますが、彼の案内で、今度はジャングルの奥にある『運命の神殿』に隠された『運命の振り子』を探しに行くことになります。
もうこの先は、昭和の探検隊、『川口探検隊シリーズ』のノリで行す。大トゲクモに襲われるわ、大うつぼかずらという食肉植物に襲われるわ、首狩り族も登場するわ。
そういや実際の『川口探検隊シリーズ』にも、首狩り族は登場しましたっけ。捕まったけど、解放されたという展開がありましたが、面白かったからそれで良いんです。昭和のテレビは何でもありでした。子どもにとっては『演出』ではなく、全てが『真実』だったのです。
だから自分にとってこの『川口探検隊』こそが、どんな冒険家にも負けない理想の探検隊であると、今でも感じています。
話を戻しますが、ジャングルの奥地のある『運命の神殿』に、探検家ワックスリー・スピードは入れません。くたびれて動けないというのです。超一流の探検家じゃなかったのかよ!? ヘタレかっ!
そんなこともあって、彼を門番代わりに置いて、神殿の中の冒険へ。神殿と言っても、簡単に説明すれば神殿の形をした巨大な生き物の体内です。そのどこかに『運命の振り子』が隠されていました。
体内と言っても危険生物が色々と住み着いていて、ダンジョンよりもドロドロした光景が見られます。こんな気持ちの悪いところ、冒険するのは嫌ですね~。
でも視聴者にはハラハラドキドキの危険なシーンを見せなければいけません! テレビ画面にくぎ付けになる演出が必要なのです。
そしてようやくのこと、持ち帰ってきたのですが、ところがそれをワックスリー・スピードに速攻で奪われてしまいます。ネタバレになりますが、実は彼自身が『謎かけ盗賊』でした。つまりは利用されたわけです。ギリギリの大冒険からようやく脱出した者の、今度は歯ぎしりギリギリですね。
因みにゲームマスター用の説明では、どうして神殿の中に入れないか、その理由も明かされています。彼の信仰上の問題です。このパターン、異世界でもあるんだ。
というこは、変異トカゲ兵に縛られ、すっ飛ばされそうになっていた彼は、実は迫真の演技っ!? 個性派俳優かよっ!!
そして変異トカゲ兵に指示を出し、冒険者たちがやってくる頃合いを見計らって用意。近くに撮影隊が待機していたら、『アクション!』という声が響きそうです。
まさにこの演出、『川口探検隊シリーズ』かっ!! まさか今になってこんなつっこみをするとは思いもしませんでした。




