FF RPGシナリオ ~『謎かけ盗賊』~ その1
今回取り上げるのは『謎かけ盗賊』です。これはFFシリーズのゲームブックではなく、『ファイティング・ファンタジーRPG』シナリオとして、社会思想社から発売されました。
『ファイティング・ファンタジー』と言いますと、東京創元社から同名のTRPGシナリオが発売されましたが、同じ流れと考えていただいて結構です。
これはFFシリーズのルールを用いたTRPG。奥付を見ますと、『1990年2月28日』に初版第一刷の発行となっていましたので、恐らく1月のどこかで発売になったのではと思います。
このタイミングで自分が買ったのかどうかは、全く覚えていません。
また書店のカバーがついていない(基本的に今も昔も書店カバーが原則)ので、もしかしたら直接社会思想社から通販で買ったのかも知れません。
因みにこの年は平成二年にあたりまして、新しい時代が始まったものの、まだまだ昭和の香りが残っていました。
因みに3%税込みで640円でした。この辺りから文庫本が少し上がっていったように思います。
スティーブ・ジャクソン氏が監修者となり、作者はポール・メイソン氏とスティーブ・ウィリアムズ氏の共著です。多分、初登場のお二人だったかと。
FFシリーズも中盤以降はジャクソン氏及びリビングストン氏ではない作者さんが増え、二人とも少し引っ込んだポジションになりました。繁忙だったのかも知れません。
舞台はアランシア大陸です。ですがこれまでゲームブック上に登場することなく、また『タイタン』でも殆ど・・・、と言うか辛うじて地図に地名が記されている程度の最南端、『カラメール』から冒険がスタートします。
ですので、本書に記されている情報からネタバレにならない範囲で箇条書きにしておきます。
・名望家ランゴール一族が支配。
・港町で、かつ商業が盛んな土地。
・街にはカラメールの塔と呼ばれる建物があり、ブルーストーン男爵と花嫁のレディ・キャロリーナが暮らしている。
・塔のふもとに立ち並ぶ建物の連なりは、ねじくれたような建築様式で、無秩序に建てられているみたい。
最初の事件はこの塔で起こります。早速『謎かけ盗賊』が登場。屋上でブルーストーン男爵と一戦交えている状況の中、冒険者たちは強行突入します。まるで昭和の刑事ドラマみたいですね。いきなりサスペンス展開です。
更に花嫁のレディ・キャロリーナさんは椅子にしばりつけられて、頭の上にタランチュラがたっぷり入ったガラスの壺(栓はされています)を載せられて、顔面蒼白状態。見るからね、『落とさないでね? ぜ~ったい落とさないでね?』という状態です。
でも結局、このガラスの壺を落っことして、割れてしまうのですけれど、その描写がおかしいんですよね。落っことした時点では割れず、『ゆっくり』と机の方に転がっていき、『机の脚にぶち当たり、粉々に砕け散った』のです。
何かおかしな表現ですよね? ゆっくりぶち当たったのに粉々!? どれだけ打ち所悪いのか、それとも予め壺が劣化していたのか。
ここはつっこんじゃいけないところで、タランチュラとの戦闘で、彼女を助けることとなります。
ともかくその後、ようやく冒険者たちが屋上に到達すると、『謎かけ盗賊』の手によって男爵様は転落死。レディ・キャロリーナさんはいきなり未亡人になってしまいました。
この『謎かけ盗賊』が逃亡の際、冒険者たちに向かって小箱を投げつけます。その中には挑戦状が入っていて、要はブルーストーン男爵の敵を討ちたいのであれば、謎解きをしながら追いかけて来いと、そんな内容でした。
けど冷静に考えると、ブルーストーン男爵とは何の縁もありませんから、敵討ちと言われましても。
まあ、そこで止まっちゃうと話が進みませんからね。
そんなこんなで、冒険者たちは『謎かけ盗賊』に挑むことになったわけです。あっ、でもこれって、何の賞品も賞金も出ないやつじゃ?




