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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「このゼルセタルにおいて大将はいても元帥はいません。あまり揶揄わないように。あなた自身の立場がないですから。お引き取りを」
と言われたらしい。
正直に言えば先の大戦時の功績からついた名誉階級ではあるものの、実際に効力がある階級なのに、自分の価値基準で判断して揉めたと言う事だった。
とりあえず、報告は完了したので交渉にあたる人物とは引き継ぎも完了した。
で、もうこれ以上何も言わずに今回通信を担当した士官の上官にあたる人物に報告書等を提出しさっさとこの宙域を離れることにした。
後に判明したことだが、この時艦長以下俺たちを下に見る発言をしたものは正式な軍の養成所を出たわけではなく、お偉方の息子だったことで軍の採用官が当たり障りのない部署に入れたと証言した。そしてお偉方からも圧力が掛かっていたので配置せざるを得なかったらしいが、報告せずにそのままにしたことが問題視されて、降格処分。お偉方と称される人物には、脅迫罪と賄賂をしていた罪で起訴。その後の裁判は軍事法廷にまで波及する大ごとに発展する事態となり、一時期ゼルセルタの本部周辺がピリついた雰囲気になっていたらしい。
そんな事とは梅雨知らずにルンルン気分で次の星に向かいながら、バーカウンターに用意されている酒を飲みながら、艦長の愚痴を聞きつつ窓の外に映る偽りの景色を眺めながら、スモーキーな樽から蒸留された酒を飲む。
・・・艦長の愚痴さえなければ、綺麗な星の海で飲む格別な一杯なのにもうお腹いっぱい。
「はいねー、聞いてくれよー。アリサちゃんがさー、一切反応してくれなくてさー」
「はいはい、そうかそうかー、君の妄想の中の人物を俺に言われても困るよー」
全く、知らない人物の名前を言ってこられても、誰?
【艦長の彼女さん】
!?
「まじ?」
【本気で。少し前から交際はしていたようですが、艦がドック入りしてから、彼女も別の道に進ませようとかそういうのではなく、彼の母君から一緒に組もうと提案されて今一緒に別の場所でスキルアップしています。ただ、彼女はどうやら現在担当している業務が楽しいらしく、最初こそメッセージを送っていたようなのですが、最近はあまり返信されておらず、一方的にメッセージを送りつけているだけのようですね。
悲しいので話題にこそ出しませんが、私は見ていて、楽しい】
わぁお。コンピューターのAiからもそう言われてしまうくらい、ウジウジしているのだそうだ。いいかげんめんどくさいから、俺に振ってきたのだろう。全てはコンピューターのAiクロではどう使用もないからという何とも正当な回答をくれた。
ただ、人生相談も含めてだが、俺に彼女が居たことは・・・・無い。むしろ時間旅行並みに色々な世界に行き来したことのある世界にいるのだ。現状、彼女=年齢の俺に意見を求めるんじゃない!
「俺が、悲しくなっちゃうだろ」
「なんだ?ハイネって真面目な好青年だから彼女居たことありそうなのに、居ないの?もしかしてそっち?」
「ふざけんなよ!俺は女の子が好きなの。だけど俺が好きになる子みんな、彼氏持ちか夫持ちなの。俺に親切にしてくれるのに、気があるように見せて実は、持ってるものは持ってるの。俺は、そんな子たちを見ながら、血涙流してるの。
それを見る彼氏とか旦那は、暖かく肩を叩いて慰めてくれるけどさぁ、お前らの行為自体が人を傷つけてるっていいかげん気づいてほしい。ほんとに、俺にも彼女が欲しい。なんで、何で?何なんだよ!いったい」
「努力はしてるだろうけど、努力の方向を間違えたら誰もきてくれないぞ」
「頑張って、料理も掃除も裁縫も、お金も稼げる好青年だよ?エルフだからずっと死ぬまで看取ってあげるのに」
「メンヘラとかヤンデレとか雰囲気で察せられて、逃げられてるんじゃね?俺はお前のそのおかしな性格からまず治せと言いたい」
【私も同意見ですね。まずその腐った発言と考え方を改めましょう。何が、死ぬまで看取るんですか?気持ち悪がられるのも当然ですね】
「ねぇ、そこまで言わなくてもよくない?」
ねぇ?ねぇ?
【ちょうどいい頃合いですね。お二人はそろそろお部屋に戻ってお休みください。
こちらはこれから深夜営業で航行させていただきますので、それでは、おやすみなさい】
カウンターから酒を没収されて、椅子は固定式のベルトが飛び出し俺と艦長を縛り上げると、部屋までのデスレースの様相で部屋まで連行され押し込められた。
だが、俺だってやることくらいある。公開日誌だ。
おい、そこ!誰が、公開するんだ?後悔日誌?違う!航海日誌。艦に乗るものの務め、日誌に今日あったことを一応書き込む。本来の業務は艦長だが、暇なのと2人で実際に作業する時、次回何するのか、前回何していたのかを事細かく書き込んでおけば、何かあった時のための助けになると言い負かされて書かされてる。
クロさんがいる限り、業務日誌という仕事はなくて良いと思うのは、果たして俺だけなんだろうか?




