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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
【呼びましたか?】
・・・来たよ。
「なんでこんなメチャクチャな事になってるんだよ?この艦の現状、は知らないんだよね」
【事情は先ほどサーバーを読み込み、建造データは入手完了しております。そのエンジンは今からおよそ400年ほど前に確立した本削り工程処理という方法で作られました。当時一時的に流行り、主に民間の大型輸送船で使用されて居たことに着目し、壊れにくいことに定評があったことでエンジンルームに採用されたそうですが、370年ほど前にエンジンのアップグレードをしようとした一部の業者からの提言でこの本削り工程というものは一気に廃れました。
整備のしやすさはあれど改造や解体には不向きだという声が出て居たこともあり、使えない勿体無い技術としてその後50年ほど揶揄されましたが現在の記録には一切情報が見られないことから誰も存在すら知らないようですね。
現状最も優秀なのは組み立て式のものを直接入れるのが最良でしょう。
このエンジンルームは物理的に部屋ごと切り離すしか方法がありませんし】
「そ、それは歴史的に発展して廃れた技術だから、貴重ではあるんだけど・・・」
まぁ確かに技術的な事を言えば、今の研究者や開発者からしたら得られる情報量は沢山あってもいいだろうが。
「この部屋から出すの自体、時間かかりそうなんだがそこのところどんな感じでできそうなんだ?」
亡霊ことハイネは、皆が思っている言いにくい質問を率先して聞いてくれる。場が少しだけ重苦しさを感じる間があり、誰かがポツリと言葉を漏らした。独り言が口に出るタイプの人間だったようだ。
「ならいっそのことAIに任せて俺たちは俺達で別作業すればいいのでは?」
その独り言は、普段であれば聞こえないほど小声ではあった。だが今回の独り言は場が誰も喋らない現状、声を出せば例え小さくても聞こえたのだ。
皆がどうやってエンジンを持ってきたかは不明だが、この戦艦に相応しい巨艦を動かせるだけの心臓が直ぐに用意できるのは、さすが世界一の工房だな。
「オーライ、オーライ」
「もうちょうい右、右だってば!」
「ちょっと待て!ココネジ外れてないぞ!」
さぁて、今現在部屋に直接埋め込まれたエンジンの解体の真っ最中。部屋に埋め込む事で効率性と生産性をUPさせる事を目的にしたが、廃れた理由今なら分かる。
動力伝達経路の遮断を実行したとこまでは良かったが物理的に固定されているものは簡単には排除出来ない。もちろんAIのクロも一緒に固定解除と部屋の解体を一緒にやっている。
【無理だな。文字通り部屋の周りも部分的に解体しないと出せないな。意気揚々と飛び出したはいいがこんなトラップのようなものがあるとは】
「ぐぬぬぬ。それは言わないでいただきたい。当時は最先端技術として注目を集めただけでなく、色んな船舶に使われていた。
その後陰りが見えたのは、数年後という何とも皮肉な結果だった」
“過去の影響、未来の影響”
工房に古くから用意されているすべての開発製品には1ページ使用して開発段階から製造・増産、進化・衰退までを記録する工房の歴史が記されているらしい。
そこに書かれている垂直固定型動力エンジンプラズマリジンパーシバルエンジンと呼ばれる固定型動力エンジンの振動を極力抑えるため一塊のエンジンに最も適した金属を用意する。
その上で削り出しのみで形を作る工程から、必ず船内で製造することが求められるが、絶対の信頼性を元にコスト面とも折り合いをつけており、部屋全体に固定ではなく、部屋自体がエンジンルームとして機能する・・・。
「ちょっと待てよ!エンジンルームにが動かない理由、わかったぞ!その部屋は何処を切っても外れない。
外すには周りの部屋ごと取り出さないと確実性が無い」
コレは後に分かった事だが、やはり記述書を読み理解した上で説明すると、部屋にある系基盤の外側やエンジンの配線などどうしても外部から必要な機材がいるもの以外は金属の塊を削り取って作ったので動かせないしバージョンアップも出来ない単一の物になってしまったようだ。
今オレが理解した内容を照らし合わせて、周りの部屋ごと動力炉そのものを根こそぎ剥がしきった。
やはり思った通り部屋だと思って居た場所も含めて周りの部屋もその一塊に含まれて居たようだった。
最初になぜ部屋が動いたのか、右だの左だのと動かせた原因は、ある程度ゆとりを持たせるため部屋自体にも工夫が込められて居た。ちょっとした揺れにはエンジンルームと他の部屋との揺れを同一で感じないようにするための構造が通っていた。
「なんて無駄にいやらしい技術を使ってくるんだろうね!こんな事をされたら余分な部屋ごと抜き取るしか無いじゃ無いか!」
まぁ実際に抜き取ってしまったから、この後の処理が大変かとも思ったが・・・




