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 あぁ、これで俺のその年の休暇が全て飛んだんだよな。あれだけは、いまだに思い出しても殺意が漏れるな。



 あの年の予定は全て丸つぶれだった。確かに彼を迎えに行ったメンバーに選出されて喜びはしたけど、若干不安な気持ちもあった。それが見事に的中した時だった。アレはいまだに胃がキリキリと痛むくらい苦い思い出だった。


 今更聞く者たちにとって、良い思い出だと言えるのは今を生きている者だけだ。彼は今回この世界に戻って生活を楽しんでいた。休暇をしっかりと申請したのも、以前のことを思えばこそ理解できる対応だった。



 そんな彼が、まさかの記憶喪失。

 そして俺の病気も悪さをして、違う時代に弾き飛ばされ一応エルフの人たちに名前を思い出される程度の活躍をしていたらしい。それでも俺は彼の動向を監視とまではいかないが、一緒に居るよう言い使っていたのに・・・・。帰ったら辞表は大丈夫だけど給料とか休暇がまた消し飛ぶんだろうか?それとも始末書くらいで済むのかな?


 そして彼は今や立派なゼルセルタ航空宇宙軍に所属する軍人としても世間でも浸透している。彼を連れて帰るにはまた口実が必要になってきた。俺の胃はまたキリキリと言いだしそうなので、今は現実逃避をして彼の記憶を取り戻す手段を最優先事項に行動しよう。

 彼の記憶が消し飛んだのではなく封印されていればまだ帰ってからでもやりようはあった。

 それ以外の手段でも記憶をある程度セーブして置ける謎便利な仕様のパスワードがあったらしいんだが、俺がそれを聞く前に彼の前から消えてしまったからな。



 どうやって聞き出せばいいのやら。



 ん?通信、メールか誰からだ?


 クリス:

 久しぶりね。やっと周りに居ない状況であなたと接触できるようになったから連絡するわね?


 ハイネ:

 久しぶり?ということはやはり君も以前俺に会ったことがあったんだな?すまないが君との接触前後の記憶は無いんだ。すまない。だが、理解してもらいたいことがある。誰も気づ付けるつもりはないし、君が以前の俺を知っているのなら、教えてほしい。隊長の経歴を手配して君たちの家族という偽りの関係性を用意したのは、誰だ?


 クリス:

 私たちエルフには彼に恩義がある。あなたの記憶が正しいと思いたいけど、覚えてるとこはどこまで?


 ハイネ:

 艦がドックに入ってゆっくりしているから昔を思い出していたが、記憶を思い出したのは直近だ。思い出した瞬間、今まで何をやっていたかも一緒に覚えていたのでやってしまったことへの罪の意識も一緒に味わった。もし隊長が逃げれていなければ、俺は・・・・


 クリス:

 理解したわ。あなたはそれ以上せめてはいけない。ある程度思い出せたなら、それで構わない。わたしや夫、そして息子は詳しい経歴を知らない。それどころか関係ないシチュー君にも協力してもらっているから、軍の私物化だと騒がれると私たちにも被害が及ぶ可能性もあった。

 だけどそれだけのことをサラッと行えたのは私の父である、バリグスト・フォール・ヴォルフ・ラングストンと私から見て祖父や曾祖父が絡んでいると思うわ。あなたの話や戦争の話を統合しても戦争が終了してから約千八百年が経過しているはず。そんな人は今でも生きている人種は居るけど、彼を覚えているかと聞かれればわからないは。私はそんな人たちからの紹介と命令に従って行動していたから。


 それでも、あの子を自分の二番目の子供として受け入れて数年は一緒に生活していたのよ?愛着もあるし子供として私たちはしっかりと責任も取れる位認めているわ。そんな彼が、ある時事故で記憶が無くなったと聞かされた。

 あなたはその現状を聞かされればすぐに行動に移せたかもしれない。でも、実際は違う。


 私たちはあの場に本来ならいなければいけないところを、事故で遭難して彼のそばに居れなかった。

 私たちは親失格よ。


 ハイネ:

 そんなことは無い。断じてない。絶対あり得ない。自分を責めるな。

 君たち家族が彼に与えたのは同情でも感謝でもなく、愛情を持って家族として接したという事実のみだ。

 君たちを誰かが責めるのなら、俺は君たちを守るために行動する。それは俺が必ず約束する。


 クリス:

 ありがとう。


 ハイネ:

 だからこそ聞きたい。俺が居なくなった後に彼と共に行動していた人物は、居たか?


 クリス:

 先ほども言ったけど、私の父。バリグスト・フォール・ヴォルフ・ラングストン。彼が智也君と私たちを結んだきっかけの人物よ。だからもし何か知っているのなら、彼に聞いた方がいいのだけど・・・・。


 ハイネ:

 歯切れが悪いな?どうした?


 クリス:

 以前災害が惑星規模で起こった時あたりから連絡が取れなくなってしまって。もちろん祖父たちには確認を入れたんだけど、父はこういうときフラッとよく居なくなって、世界中の様々なことを記録する歴史家のような者になって様々な場所を旅行するのが趣味らしいの。今現状彼を探せるものが誰もいないせいで、居所が分からないの。 

 ごめんなさい。こちらの身内が本当に・・・


 ハイネ:

 そういうことなら大丈夫だ。俺たちはエルフだ。気長に待つことにするよ。それに、彼も実年齢以上の長生きなのも知っているからな。

 気にするな。ありがとう。





 それにしても、重要な手掛かりが手には入ったが、どうするか・・・・。とりあえず、バリグストという男を探したいと相談してみるとこから始めてみるか。


 きっと彼なら何か知ってるはずだ。

 絶対。





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