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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「隊長が見つかったらしいぞ!」
「何!? 短い休暇がもらえないから、逃げたって言ってたけど見つかったのか。俺は賭けに負けたのかぁ」
「続報はまだ来ないのか?俺も賭けの結果を聞きたい」
原鵺が消えてから24時間後から部隊全体で隊長が消えた理由と帰ってくるのはどうやってかをただ予想するだけでなく、賭け事に利用されていた。
みんなが1番最初に考えたのは、任務か逃げたのか。
逃げた・・・・50%
任務・・・・49%
特殊な事情・・・1%
この三つに集約された。
仕事からも任務からも逃げたに賭けたもの達は、わずか2週間で“逃げた”という理由がなくなった。
『カメラなどを詳しく精査したところ、事故か事件に巻き込まれた可能性が高く、逃げた可能性は0である』という発表だった。
ここで、任務についても追って知らされた。
『確認されている者達に任務を依頼したか確認したが、誰も依頼していないと言われ、書類も精査したが、どこかに行って作業するようなことはなかった。調査中の項目も直近で全て片付けていたので、出かける用事は一切ないと確認できました』
つまり任務でも仕事が嫌で逃げ出したのではないということがはっきりしてしまった。隊長は何らかの理由で居なくなってしまったということ。この現象に思い当たる節はないかと色々な人に聞き込み調査を行ったところ複数人がある人物の名前を出した。
幾年か前にこの世界に流れ着いた異邦人、エルフ。家名など長ったらしくなるから、皆がこう彼を呼ぶ。ハイネと・・・
「それで、君は我が組織の重要ポストに居たはずの人間を神隠しの如く消し去ったわけではないのだな?」
「知りません、知りません。そこまでピンポイントでどこかに送り届けたりできるなら、迷わず本人が帰りたいと思いませんかい」
「まぁ確かにそうだな」
通信? 軍からの仕事の連絡か?それとも・・・
「・・・・・。本当に連れて帰ってきちゃったの?その辺にポイしてきてくれない」
『ひどくない?』
俺だって、みんなのように隊長のご帰還日を賭けてるんだ。今日帰られると、今月のお小遣いが・・・・。
『で、何日後に帰還した方が良いとかあるのか?わかってるんだぜ、賭けてるんだろ?大丈夫だ。まだまだそっちに着くのは調整できる。どれくらいで到着すればお前の勝ちなんだ?』
「1年後」
『・・・・・すまんが、それは無理だ。流石に長・・・・え、姉ちゃん?
待って、ごめ』
・・・どうなったんだ?通信がいきなり切れたぞ?もし今帰られると。
「副隊長!副隊長!通信が、通信が来ました!隊長ご帰還です。
帰られました!一番手は、マルコ。2番手はジャッツリ。3番は俺、御座島です。わかってますよね?あなたのお金は全て没収ですから。給料日までは1番安い塩握りのみだな、ワハハハハ」
「腹立つ。お前、それを言う為に来たのか?嫌味言うためにここに来たってのか?」
「まさか?隊長がお戻りになるんですよ。早く、あの書類の山からついに解放されるんですよ、始めましょう。
あの野郎を、今後数十年絶対逃げ出さないようにしっかり見張るから、お前はお前のやるべきことを、な」
あぁ、確かにしっかりと拘束して仕事させることが、今は最優先事項だな。俺の給料よりも残業を何とかしないと、帰れないんだから。確かに拘束して監禁?しないとな。
『あー、すまん。通信繋いだんだが、話し込んでいたから静かにいたんだが。まぁ俺がこんなに早く帰って来たから1人は握り飯、1人は大金を得た。なら俺には?
仕事を大量に用意して、しかも仕事部屋まで用意してくれると・・・・。全部が全部聞こえてはいないが、君たち?ちょっとやりすぎないよにね?聞こえてるんだよ?
それと言ったよね?ブラックなお仕事せずにダメなら仕事は1日に決められた量だけにしとけと言っただろ?
今通信つながってるんだ。機密書類以外のサインできる書類、データで渡せ。今から仕事を始める。
それと、俺の仕事半分をハイネが、俺のもつ仕事の四分の一はここにいるメンツで分けるから大丈夫だ。』
「つまり隊長は、全体の四分の1の仕事をすると言うことですか?ダメですよ!あなたが仕事しないなんて許されるわけには」
「副隊長。うるさい、さっさと書類送ろう。
俺に裏切り者の目をしない。今すぐこの仕事の山を、ね?さっきもデータカードのタワーが倒れたんだ。1人生き埋めで四人怪我したんだよ。いいかげん仕事しようよ俺、そろそろ寝たいんだよ」
あぁ、いい加減に黙れよ!わかったから、すぐに仕事データを送ればいいんだな。
「わかった、このデータは全て確認済みだから、サインしてください
それと、ハイネとかいうエルフにはこのデータと同じ量をこなしてもらう。もちろん寿命が長いことも効いているからこき使っても大丈夫だと言うこともな。それなら貴様も一緒に隊長と仕事部屋に監禁してやる。こうすれば隊長が逃げようとも、お前さんが隊長を止めてくれるよね?いっしょに逃げたら、どうなるか、わかってるよ、ね?」
『は、はい
隊長、言われてますよ』
『お前ら、そっちを頼む。ワープせずにそのままの速度で迎えよ。仕事が倍増する未来しか見えないからな。
ハイネ、早く始めろ。終わりはないと思え』
えー、マジかよ。せっかく帰ってきたのに、いきなり仕事漬けの日々が始まるのかよ。少しは減らしておけよな、お前ら。
あぁ、これで俺のその年の休暇が全て飛んだんだよな。あれだけは、いまだに思い出しても殺意が漏れるな。