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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。

 

「少ない人数ですが、現在そこまで予算がないのでこの人数でやります。


 今のところ消防士たちが乗る宇宙船と警察官が乗る船は民間船を改造しただけです。

 それを1から彼らのための専用艦として作っていきたいのですが、なにぶん初めて尽くしですから、一つづつそれもオブサーバーを呼んで開発していこうと思います。


 時間を作ってくれそうな人達は少なかったのでまずは雛形となるガワをまずは作りませんか?」


 そう提案したのち、親方は思案顔で腕を組んで悩み始め、経理課のチーちゃんは予算配分を計算し始めた。


 それを見回して今後の取れる対策と案を私も考えてみる事にした。






 で、さらに3年が経過した。


「ウッハウハだな!」


 ココまで成長するとは思わなかった。

 あの時軍からの命令で、開発部門を設立したがまさかココまでの逸材が居てくれたおかげで、民間からの発注は2割に留まり殆どの宇宙航行用船舶はココで造られている。


「おう、どうだうちの弟子達は!コレでようやく独り立ちできる位には鍛えてやったぞ」


 親方は相変わらず、イキイキと仕事をしていた。ストレス無しで毎日1枚は確実に設計図を作り出している。そして3年も描き続けるので、今ではもう・・・・


「ビスマルク部長!予算的には十分潤沢にあるとはいえこれ以上ココで造船するには、場所と人手が!」


 チーちゃんも相変わらずココで頑張ってくれているが、最近の悩みは彼女の下についた部下達の結婚ラッシュ。俺はそれ以上何も言わないし考えない。うん。



「親方、弟子は育ってるんだよね?」


 取れる最善手でさらに言えば信用度が高いと言えば。


「ん?弟子はもう立派に2、3隻を作れる技術を持っとるがどうしたんだ?」


「独立できるのならコチラで手配するので民間下請け会社として外に出てもらい、こちらから指定する船舶の造船してもらう事は出来ませんかね?」


 今でも十分回している人手を割くのは、無謀とも言えるかもしれないが、今なのだろう。構想はあった。このままココで親方の技術の結晶である設計図が未完成で終わるのはいただけないが、この部署では1日に出来上がる船舶の数もしれている。

 いくら自動化になったといっても、大昔のような月単位で造船していたのであれば十分間に合わないほどの物量が要求されている。


 今ならこちらの意見を聞き入れてもらえるくらいの実績があるからこその無茶、行ってみますか。


「ビスマルク。オメェ出来るのか?

 ウチの1番と2番は外に出すのは保留だ。

 聞こえていたな、テメエら!部長から増産要請にこちらの手が回らねぇのがバレちまった。この中で優秀な奴と二番手は、現状残れ。3番手と4番手は外・・・ドワーフの中でも工房に使えそうな場所は俺が見つける。お前らは人を育てつつ、人手を増やせ。

 お前らの弟子がある程度役に立ってきたら、こっちに回せ。1番と2番はそいつらを育てた後、外に出て弟子を育てろ」


 中々の無茶振りで、弟子達は空いた口が塞がらなさそうに、そしてなぜか少しだけ揉めてる。


「どうしたんでしょう、部長?親方は誰を出すのかあみだくじしてますが」

「どうせアレだろ。そこまで優秀だからと贔屓目を掛けるんじゃなくて、満遍なく面倒みてたから順番付けてなかったんだろ。そこに居心地のいいこの場所を離れて、経営込みで造船しろと言う無茶を振ってるからみんな、押し付け合いしてるな。アミダ籤を書いてる親方との対比がすごいな」


「よーし、引け。嫌だといったらじゃんけんで決めさせるぞ。選べ」







「あーー」

「よっしゃーー」

「クッソー!」

「はっ」


 四人の顔が面白かった。見てて思ったが、恨まれないよな?無茶言ってるからな。



「部長!決まりました。コイツらが、外に出ます。場所は俺の親父が経営していた造船所と叔父貴の造船所があるのでコイツらをそこで起業させましょう」


 あぁみんなの目が怖いが、仕方ない。


「わかった。それでお願いします」


 さてさて、コレで毎日2隻が限界のロールアウトが増産できるかな?









「親方!2年ぶりですね!コイツらは俺のとこの弟子です!出来た方のやつら連れてきたんで鍛えてください!」

「親方〜、こっちもこっちも!」


 純然たる自信を持ってやってきた弟子達を迎え入れた開発部署の長老と言えるくらい陣取ってるドワーフの元イッパツ屋で工房主の親方は相変わらず毎日ココで設計図を描き上げ、未だに造船し続けていた。

 弟子達はその後も増え続け、送り出し、貰い受けてを繰り返す事で、戦争から経済的復興を成し遂げたドワーフ族として表彰されるほどになった。そして彼の力で復興させた功績を誰の目にもわかりやすくするために、造船島とも言える大きな大きな見返りで恩返しをした。


 粋な計らいとはきっとこの事だろう。

 ドワーフ達の住む星から程近く資源がほぼない大きな星を一つテラフォーミングして住めるようにし、その場所を船舶専門の造船場として作り上げた。この場所に造船場を構える者こそ、ドワーフ族の中で名誉あるモノづくりの賞を受賞出来ると言う事だった。



 俺に聞くなよ。部長は人族なんだ。ドワーフからしたら名誉かもしれないけど、俺は名誉より金が欲しいからな。それでも親方の弟子達は皆その栄光に名を刻めたらしい。


 彼らは今後こう呼ばれるらしい。



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