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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
ハイネ達と合流する直前に手渡された手紙には、コレまでの出来事より何故彼らと引き合わせることができる立場だったかが書いてあった。
あのエルフは、まだ自国すら戦争か中立かの立場すらハッキリさせる前に国を飛び出し、世界を戦場を渡り歩いたことが書いてあった。
そしてその後のことも・・・
今日、船がついた。だが最初に引き合わせるのは誰が良いか悩み、1番物分かりのいい奴を引き合わせたつもりだったんだが、時間とは恐ろしい者だと気付かされた。
人間は獣人は、ドワーフでさえ歳を取るのはエルフより早いとはいえ、みんな既に爺さんに近くなっていた。アレには焦って、レイくんが居ないところで聞いてみたが、流石に50年ぶりに“会えばそうなるだろ!”と怒られた。解せぬ。たかが50年。されど彼らには人生の半分を費やしていたそうだ。ドワーフについては俺の勘違いでもあった。あいつは最初から俺にあった時がおじさんのジジイ寄りだったそうだ。だからこの50年で一気に老けただけらしい。
だが今が最高に脂の乗った仕事ができる歳だとも言われた。半信半疑で世界をレイと共に見て回った。納得できる成果だったとは思わなかったか?
戦場にとんぼ返りした事で友人達から生き生きしていたと言われた時は昔のように無邪気に戯れに行ってみた。
一人腰痛持ちのせいで軽いギックリ腰になったと言われて治療のため後方に下がっていったが。
レイ。君がこの手紙を読んでいるということは俺と会えるタイミングがなかったんだろう。
君と共に駆けた戦場、再び舞い降りた戦場には懐かしさと入れ替わりの激しさを思い知った。幻想では無く、現実だからこそ再び理解した。
この戦争は俺たちが止めると。君が既に最前線で戦争終結のために動いてくれたためにこちらもすぐに対応できた。
最後の戦場は君と共に行けなくて、少しがっかりしたが、領有権をもぎ取るために行動しようとはな。目から鱗だとは言ったものだ。あの出来事で各星系の代表者達が重い腰を上げた。何もない空間までは資源が少しでもあればそこまでが領有権を主張できるとは誰が、思いつくんだよ。
君は本当にすごい事をしたんだ。戦争を終結させるために、国を世界を救うために行動してくれた。
世界は話し合いで解決できる世界を作るのでは無く、軍事力を取り上げるとか、誰にもできない発想だよ。出来たとしても国が乗っ取り乗っ取られるだけだった。それを君って奴は。
世界を平和に導き、解決策を提示するどころか、運用まで持っていってくれた君の手腕に敬意と感謝を込めて、名もなき英雄を代表して御礼申し上げる。
締めくくりが、固い。何故最後にフランクな書き方から変わった?最後まで貫き通せよ。
ん?裏へ、だと?
さぁ待ちに待った帰還の日、久しぶりに会ったハイネっちにお土産渡しといたから早めの開封とお菓子は食べちゃってね。消費期限がやばいんだけど、美味しいエルフの里限定「クチャボッコリ」美味しいよ。ハハハハ
ココで手紙が終わってる。
「おい、ハイネ。お土産貰ってたのか?」
「あぁ、食うのか?マズいぞ。昔のお土産ではそれくらいしか渡せなかったけど、今は文明の発達でもっと美味しいものがあるのにコレを渡してきたんだけど」
一体どんなのを渡したんだよ。ハイネが引いてるんだけど。
まずお姉さんに渡そう。味見は任せよう。
行って来い。
「ハイネ、お土産は先にあの二人に渡して来い。二人が食べたら俺も食べる」
「お、おう。鬼畜な事をするな」
操縦してるやつとその横で事務処理している二人にお土産を食わすハイネ。
まず、箱を開封。緑の、草っぽい葉っぱを丸くなった物にくっ付けてる。
一口、あーんしてるなお姉ちゃん。君は嫌いだよ。察しのいい子は。シスコンは気にせず口を大きく開けてほうばった。
ここまで聞こえてくる噛んだ時、ガチンという音と共に噛み切ったような歯形を見るにお饅頭?緑色の外郭とあんこのような中心部。
悶絶したパイロットの操縦にみんな大慌て。
「ま、マズい!!なんじゃこりゃ!オェェェ」
ハイネの顔がこっちを向き、肩をすくめる。
その後聞いたが、エルフの里にある食べれる葉っぱと食べれる土を捏ねてから、整形して焼き固め、生の薬草を周りにくっ付ける。伝統菓子。マズい事で有名。食中毒になり一時的に製造自体取りやめになった曰く付きのお菓子。まさかのチョイスにハイネは苦笑したそうだ。
エルフの里連中はこのお土産を貰ったら、食べずに投げ捨てるらしい。
その時必ずこう叫ぶ。
「嫌がらせか!」
笑えねえな。
美味しくもないやつを、渡してくるとは。
「でもな原鵺。コレには送る側にはある思いが込められてるんだ」
「なんだよ」
「“無事に生きてこの大地を踏める事を祈って”という願いが込められてる。だから草団子を貰った奴は、エルフの大地をまた踏めるって事さ。何代先かは関係ない。俺たちは長寿だ。だから待てる。首を長くして待つ。という事さ」
壮大な待ちかたになるのに、ご苦労な事だ。
嫌な気持ちにはならないけどな。




