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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。


「さぁ帰るべ帰るべ」


なんか急に言ってみたくなったが、誰も反応なし。むしろ聞かなかったことにしている節すらある。虚しいな。お兄さんは楽しくないぞ、と思ってもみたが彼ら彼女らは反応を返せないだろうな。一応この場にいる者たちは皆、俺の護衛を自負しているのだろうから。


「閣下。今回帰還するために手配した船は軍の専用艦ではなく商船にしました。閣下のご指示通りとも言えますが、本当にあのような船になさるのですか?私どもは感謝を込めて快適な船をご用意できましたのに」


彼らを代表して言ってくれているのは理解している。ありがとう。たとえ声に出せなくてもそう思っていることだけは伝えたい。



「私はこの後の予定もすでに決まってしまっているからな。どうしても商船の方がやり易い仕事になるんだ。相手を威圧する仕事ではないからな」


間違ってはいないぞ。もし軍艦で合流ポイントに近づいても気にしなくはしなかっただろうが、そうではない。軍艦から脱出ポッドを射出させるとその後の報告が必要になってくる。そこに商船で同じことをさせた場合、大っぴらには脱出装置の点検中に誤作動して射出したと報告できるし、お役所には謝って射出したと言って処罰を受けるだけで済まされる。もうどちらがいいかわかるだろう。


商船で十分な理由が他にもあって、これからいく場所はエルフたちの住む星に最も接近することになる。そんな場所にまだ十分な法律もできていない地域に軍艦などで行けば、戦争継続をやはり望んでいると思われる可能性もあった。であるからして、配慮に欠けた軍艦ではいかずに商船で行くことで周りからの要らぬ誤解を弾き飛ばせることができると言うものだ。


「わかりました。閣下の思っておられることで問題に発生にはならないように最新の注意が必要ということですね。ならばこちらも動かなければならないでしょう。


総員、安全確認を怠ることのないように出発だ。閣下は準備は終わっているのでもうしばらくお待ちください」


パタパタという音が廊下に響く。彼の足音には十分警戒心がなかった、彼らは信頼できる人の近くにいるので油断したのだ。

油断していないのはその閣下ただ1人だけになったがな。





ポーンという音がこの広い空間に鳴る。ここは先ほど居た空間からだいぶ離れた場所になる。

何があったかというとだな。俺は知らなかったが、あの場所から直接乗ることのできるのは、軍関係者が軍艦に乗るときくらいで、商船はルールを守って宇宙港惑星内連絡空港という場所の宇宙行きの待合室で待たなければならなかったらしい。


しっかりとこの場所を出る目的と行き先をパスポートを提示して話さなければいけないとはいえ、そこはお偉いさんの一筆が役に立った。この一筆で俺たちは向こうの出国管理者たちに詰め寄られなくなってよかった。その点だけはよかったと思えるほど厳しく見られていたからな。



「はい次!」

「・・・」

「行き先と目的は?」

「(お偉方の一筆をペラッと見せた)」

「・・・。お気をつけて。

行ってよし」


と言われてさらっと行かせてもらいましたよ。この後は空港内の出発カウンターでお昼ご飯を食べて、夜ご飯を食べるか迷って居たところで、俺が乗るべき商船の乗船開始を知らせてきた。



「もうそんな時間か、長いようで短い旅だったな。まさかこんな形であいつの故郷を救えることになるとは思いもしなかったが、救えてよかった。あいつがずっと気にしていたことを終わらせて肩の荷を下ろしたんだ。これから鬼のように働かせる。決定事項だ。溜まった書類の半分はあいつだ」



「あの、何か言われましたか?」


横を振り向くと俺の警護で付き添いの男がそばにいた。俺は独り言を呟いていたのを聞かれたのかと思ったが、そこまで大声で話していなかったのだろう。聞かれても別になんとも思わないが、帰るのは憂鬱だ。理由?帰ってからの仕事を考えると嫌だろ?今まで長期の休みをとっていたのに、休み明けに溜まっている書類仕事。どれだけタワーになっているのか想像できないぞ。



それにしても、この商船かなりでかいのに乗るのは少数らしい。まぁ元々エルフの国はいまだに国交が開かれてはいなくて、そこまで社会的な交流がないから仕方ないと言えば仕方ないのかもな。



『ようこそ、スターズバリュー商船へ

この輸送船はエルフという国交の薄い星への直通便です。皆様の新たな商機を提供できる輸送船として我々の船が活用できたことを大変嬉しく思います。また、我々にできることがあるのならばどんなことでも対応させていただきます。如何様にもご相談を・・・・もちろんお金はいただきますが』





・・・・。なんとも欲望に忠実なことで。だが、それだからこそ今回の無茶も聞いてもらえたのだろう。これから合流する場所にはそれこそ目標になる場所は存在すらしない。まさかそこに船が隠れていたのかと思える光景なのだろうから。だが、俺はまたこの星にこの宇宙に戻ってくる。今度は、遊びに来るんだ。有名人として去るのではなく、名もなき人としてコソッと帰るんだ。



「本当にこのような脱出戦で良いのでしょうか?こちらもそこそこの大金をいただいています。今現在であればまだそこまで強制力のある法律もありません。もう少し性能の良い船も私どもは扱っておりますが・・?」


彼らが心配する理由は理解しているが、こればっかりは譲れない。だって、俺が今から射出されるタイミングは、そのまま彼らの死角に入りそのまま合流ポイントにいるであろうハイネがキャッチしてくれる手筈なのだから、ここで余計なものと一緒に放り込んだところで、このあたりでゴミになる。今なら持ち帰っても問題ないくらいの小ささで持って帰る。使用したゴミは自宅で処分。これ大事。



だが、納得のいかない護衛と商人をどう説得するのかが今は重要だろう。だが、ここは譲れないからな。諦めろ。


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