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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。


彼は俺にそう言ってから背を向けて歩き始めた。俺はまた彼らの墓標を眺める。そして、彼らに思いを馳せる。そして、独り言を呟く。



はぁ、全く俺の知っているお前らは真面目でカッコよくて、すごい連中だと思っていたんだぞ。それなのにプライベートではこんなにルーズな奴やちょっと趣味に走っちゃった人も居たと・・・会いたかったな。それにもっと喋っていたかったよ。死んじゃえばもう何もわからないじゃないか。


俺は、明日この星を飛び出すよ。お前らが戦い勝ち抜いた平和という希望は、俺がこうあるべきだという目標にしておいた。これからはこの世界の人たちが、頑張る番だよ。俺は部外者、友の故郷のために力を貸すだけのつもりが大舞台に連れてこられた哀れなウサギを道化を演じたに過ぎない。


それでも、お前らはそんな道化になってでも前に進んでいた俺に力を貸してくれた。


ホラ話や夢物語だと一蹴されてもおかしくない話をクソ真面目に聞いて、実行に移そうとしたらそれを叶えてくれるために集結した。そんなお前たちの思いを無駄にしたくなくて、2度と戦争をしたくないがそれを周りが許さないかもしれないから、それなら強い組織よりみんなで監視しながら違う組織に一新させておいたよ。


軍人という一括りの職業は無くなったよ。

だから、君たちのように戦場で死ねと言える立場の者たちは、組織内には存在しなくなる。


警察官という一括りの職業は統合された。

これで彼らは、惑星を脱出して宇宙に逃げても別の惑星に逃げても追える権限を持つことになった。


消防士はこの統一組織に1番相応しくないと言われていた。

だが、俺は絶対に必要だと思った。軍人も警官も手をこまねいた消火活動や救助活動に組織を超えて手伝うのではなく、部署を越えるだけだからそこまでの圧は無いし、君たちを救出するのは専門家だけだと言われ断念せざるを得なかったが、俺は改革にも着手したぞ。ちゃんと全員に消火活動の研修と訓練、救助活動の研修と訓練の義務化をしておいた。


君たちが、助けられなかったと嘆いていたが、これから先の未来では分業はあるかもしれないが、的確な指示のもと動かせる人員が増えたと思う。これでダメなら仕方がないが、この統一組織にして不平不満は聞こえるが、他部署の訓練参加や研修にはみんな意欲的に参加しているから、思った以上に気になっていたんだろうね。



だから君たちは故郷で新たな場所で見守っていてほしい。俺たちの成した平和への礎は確かにこの場所からも見えると思えるから。



だから、君たちの勇姿は覚えておくよ。俺が知らなくても君たちを知っている者たちもきっと・・・・



「じゃあな、世界を救った英雄たちよ。俺は故郷に一足先に戻らせてもらうよ」


今度こそ、振り返らずにこの場を立ち去ろうと歩き始めた。




だが、ふと後ろから声が聞こえた。

ただの空耳だと思いたかったが、それにしては鮮明に呼ばれた気がしたので、後ろを振り返った。

そして・・・。










「英雄は、お前だろ!だからこの世界をこの宇宙を救ってくれて、ありがとう!」

「じゃあな、じゃねえよ!さよならってことだよ!お前はまたこの星をこの宇宙に来てくれよ!」

「ありがとな〜、それと俺のは拗れてるんじゃない。ポエムだよ、ポエム。最高のポエムだろ〜!」

「黙れ、ポエムじゃなくて、痛い奴がやる発想なんだよ。少しは死んでまともになってるかと思ったのに、無駄じゃねけか」

「はは、じじい。最後に方言が出ちゃってる。・・・レイ!君の本当の名じゃないことくらい知っていたが、俺の名前をやるんだ。次にこの宇宙に来るまでに死ぬんじゃねえぞ!俺の俺と兄貴の資産はお前に渡したんだ。良い人生と楽しい生活を願ってるぞ!」

「くるぶし、くるぶし、私のくるぶし、どこ行ったの・・・」

「お前、もう死んだから義足じゃなくて生足だろ?」

「こいつは半生を義足なんだ。もう体の一部だから諦めろ。それとさっき犬がお前の足齧っていたから持ってかれたんだろ。諦めろ」

「はははははは、お前ら死んだんだぜ、もう少し別れに相応しい話題にしろよ!全くな。


おーい、ありがとな。俺はこの宇宙を飛び回るのが大好きだったが、お前に会えたことで艦と運命を共にする栄誉と最後の戦いで死んだ栄誉をどっちも貰ったんだ。だから、こう言わせてもらうよ。

無事の航海と帰還を祈っている」


「「「「「「「「無事の帰還とまた来いよ!」」」」」」」」




笑い合って肩を抱き合おっさんズ、足がない足がないと騒ぐ彼女とポエム川柳大会開くと言う騒ぐバカと達観したイケメン。そしてそんな彼らを横目で見ながら俺に手を振る将校の制服を着た3人の将官。

彼らが雲から差し込む光と共に消えていく様を見ながら、もう一度だけ言葉にする。




「じゃあな。戦友たち。俺はお前らと一緒に戦えて楽しかったぜ。あばよ」



今度こそ振り返らずにそのばを立ち去ったが、墓標のある方角からはずっと笑い声や手を叩いて笑い転げている男女の声が響いているような気がした。


そんな彼らの墓標から立ち去り、次の日を新鮮な気分で迎えたレイは、今日この日に星を旅立つとは思えないほど静かにそして何事もないように宇宙船に乗り込んで行った。


笑って送り出してくれたのは、昨日別れを告げて見送ってくれた戦友であり英雄の仲間たちだった。





そして、原鵺は宇宙に再び上がる。自分の故郷を目指して、合流ポイントに向かって移動を開始した。




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