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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「それで、名前変えるのか?」
「まさかおまえにまで突っ込まれるとは思いもしなかったが、少し黙ろうか?そしてなぜまだ寝れたのか聞いてもいいか?」
全く、ハイネといい弟といい、こいつらは俺が真剣に悩んでいることを平気で掻き回しに来やがる。まだ保留中にしておきたいことなのに。
「えっ!?なにそれ、面白い風習が残ってるんだね?それにしても隊長ってどんだけ厄介ごとを拾ってくるんですか?今回の厄介ごとだけでも大変なのに、次は次回使える偽名まで貰っちゃって、本当に帰還の意思は残してるんですよね?私は隊長が残るっていうなら一緒に残ってあげますよ?」
「申し訳ないが、資産運用の元金どころか利息すら最初の数十年はこちらに来ないぞ?それどころか最悪なくなってでも平和を維持しろと伝えたから、金目当てで残るのもいかがなものかな」
「隊長、私のこと舐めすぎです。別にお金のタメじゃなくて、隊長と一緒にいたいという気持ちの表れですよ?」
「申し訳ないが、彼氏さんのいる君に言われても説得力皆無だからね?」
そんな軽口をお姉さんと言い合っていると、後ろで何かが落ちた音がして振り返ると
「アレ?弟くんに言ってなかったのか?」
「私以前言いましたよ?家族にも合わせたい人がいるって言って一緒に彼氏を家族に合わせた時も弟は、喜んで涙まで流してくれて居たんですが。それに隊長。彼氏じゃなくて婚約者です〜」
「おぉ、婚約者にまで昇華して居たのか。それでもこの弟さんの手のつき方を見るに昔はやったアレ思い出すね」
「ORZってやつですね!」
「そうそう、確か小文字でorzとか書いて遊んでいたよな。まさに今彼がやっている姿勢だけど、目立つな、置いていくか?」
「ダメですよ、大切な、大切な、」
「ね、ねえちゃ」
「荷物持ちなんですから」
あーあ。最後の一言までは弟くんに希望の目があったのに。
今は絶望の表情に変わってる。
そして気絶してない?息してなさそうなんだけど・・・お姉さんは平常運転でなんともなさそうな顔しながら、叩き起こした。
弟は弟で「はっ!」と目を開けながら拡大解釈というかご都合解釈をし始めた。
「今のホラーか夢かな?」
って、そしてその発言をしている耳元である一言。
「婚約者との食事会、忘れてないよね?君は私の弟なんだから、彼にお義兄さんって言ってあげないとダメだよ?」
とトドメさしに言ってる。
感情がこれほど欠落すると人間とは思えない暗い表情を人間が持つということに初めて知った今日この頃。
「ハハハハ、お前ら姉弟は本当に面白いな。コントでもしてるのか?台本あるのか?」
「ねぇよ」
「何言ってるんですか?隊長。真面目な話でしょ?私の結婚の話をしてる場所でこのバカな弟は、彼を親の仇の様に睨むんですよ!鉄拳制裁出来なくて恥ずかしかったんですから。そんな事されても彼は優しそうに微笑んでくれて、笑って許してくれたんですから、心が広いですよね。それに比べてこのバカな弟は、忘れてるなんて本当に酷い。それも意図的に」
彼女の目が当時を思い出して怒りに燃えてるな。それにしても彼女と付き合ってる男はだいぶ公に付き合ってる事で有名だったはずなんだが、意図的に聞き流してたのか?
「俺は認めないからな!」
唐突にそう叫んで、走り去っていった。オイ買った荷物をここに投げ捨てて行くな。お前の姉ちゃんが買った大量の荷物誰が持つんだよ。俺か?嫌だよ。大量の紙袋持つの。
「いっちゃいましたね。すいません。アイツが結婚に反対しているのは知っていました。昔から男の影が近づくたびに、邪魔してきたシスコンですから。
部屋に二人っきりになろうものなら邪魔してくるし、デート中でも尾行してきてましたから。
だから真剣なお付き合いが出来る様になったのは、今の仕事を始めてからですね。彼と同じ職場というわけには行きませんでしたが」
そりゃそうだろうよ。
「周りの嫉妬がすごそうだもんな」
こんな形で俺と一緒に歩いている彼女だが、部隊の中ではどちらかというと事務職ではなく、パイロットという職業であるからだ。
彼女はうちの部隊でも一、二を争うエースパイロットというわけではない。平凡であるがパイロットの資格を持つ若手の人員だった。
基本的にオッサンばっかりの所属部署で紅一点だからこそみんなに可愛がられていた中、急接近したのが専属整備員の彼だった。
やさぐれて、気分が落ち込んでいた彼女に優しく接した事で彼女自身も心を開いて話してくれて、その内デートに行く様になった。
どうして詳しいかというと、彼女の性格的に話しやすい人間を側に置く方が良いと思い、整備員の中でも若い奴を彼女の専属に推した。それと整備員に相談を受けてもいた。
気になる彼女とお近づきになりたいと言っていたから、ちょうど良かったともいうが、しっかり言含めておいた。がっつくのではなく彼女の話を聞くことに徹しろよ!とかな。その甲斐あって二人は恋仲になった。
それでさ、