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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。

「うーむ。コレはアレだね、やってしまったというやつだろう。

 レイくん申し訳ないが君がたまたま無事だったというわけではなく、他の人間も無事だったからここで実証実験の終了を宣言しようかと思っていたんだがな。仕方がない、もうしばらく続けることにしよう。


 ・・・そう落ち込まないでほしい。君が悪いわけでもなく彼が悪いわけでも無い。

 むしろ感謝するよ。正式配備する前に分かったことで気をつけないといけない人がいると分かったのだから。

 あとはこちらで調整しておくから彼と共に君が帰るべき星に帰還するためのお土産や何かを用意してくるといいよ。この星はそういう土産系に力を入れているからな」


「そんな、ありがとうございます」


 そう言ってくれるだけでありがたいと感じるのにさらに続けて研究者からこんな言葉を言われるとはな。


「君がどれだけ私たちに贈り物をくれたか分かっているかい?

 私たちだけであれば、戦争を終わらせるだけならきっと武力で従えたら終了していたかも知れない。

 だけどそうではなかった。たった一人で戦う者、国の中枢で戦う者、長として周りに理解を求めようとしていた者、君が現れた事で戦争を終わらせると確信が持てた者。


 一人一人の力じゃとてもでは無いが成功なんてしなかっただろう。それを君が実践してくれたんだ。君がいまだに表舞台に出たく無いと言ってくれているから我々は一つにまとまっていると思う。



 そして君は世界を救った英雄として帰るのではなく、隠された英雄。影に徹した英雄として世界中に知らせずにひっそりと帰りなさい。


 酷いようだが、違うからな。また来る時、銅像なんか立っていて欲しく無いだろう、君は?」


 あぁそうだな。確かにそれは嫌だな。


「なら人知れず去ることにしよう」


 それで世界平和が保たれるならそれでいいさ。寂しくはあるがな。


「だが君が戻って来た時に、また偽名がいると思わないか?」


 は?何だ突然。


「何言ってんだ?このオッサンは?」


 何を言っているのか理解に苦しみます。どういうことでしょうか?


 ・・・言ってること逆でやったかも。まぁいいや。



「ハハハハ、いきなりはそうだね。君が最後の戦いだということで、惑星に降下する作戦で宇宙から地上に降り立つときに一緒に行き、君たちが帰還する時、撃墜判定を受けて大破し撃沈した戦艦があったのを覚えているかい?」


 あぁ、俺を運んでくれた艦か。


「覚えている。あの時は、敵に捕まるのを恐れて、誰も名乗らず行動したから、爆散した艦の名も乗組員の名も知らないんだ」


 あの時は本当に助かった。今でもたまに酒を飲む時は献杯してるくらい危機的な状況だったし。


「知ってるんだな?」



「あぁ知っている。それ以上に、彼らには家族がいる。そんな乗組員の中で一人だけ家族も親族も居ない者がいてな。

 死亡宣告を持って行く先がなかったんだ。彼が任務について行動開始後に別の星で交戦中の兄が死亡していたことが分かった。そこでな、君に相談なんだが、エルフの中で一人対応できる者がいるんだ。彼を使って特定の人物を1から作ることにした。

 だからある程度の年齢まではエルフの星で家族か親族と一緒に暮らしたということにしておけば良いだろう。


 だがすぐに準備はできない。内々に進める仕事になるからだ。

 彼らはエルフの中でも特殊な方々でな。伝承を代々受け継ぐ家系なんだ」



「家系?伝承?」


 それだけで食っていけると?



「もちろん、一族の選ばれたものだけが伝承者を名乗れるが、ある程度の触りは皆で一緒に覚えるのだ。その一族の選ばれなかった家族に託そう。彼らの中で結婚する者が人間であれば良い。君も人間だから、そうだなハーフエルフとか名乗れる位置付けなら、寿命も誤魔化せるだろう」


「だが、今すぐ帰還してまたここに戻って来るのは何千年後とかになるかもしれ無いんだぞ。申し訳なくなるじゃないか」


 基本バカンス気分でここに来れたらいいな、だからな。それでもまた来るとなると次の長期休暇は一体いつになるのか。


「だからエルフなのさ。彼らの寿命の長さできみがいつか戻ってきても、焦らず対応してくれるだろうから、気にしなくていいよ。それに先ほど伝えた戦死した家族のいない彼らの資産は全てきみに継承される手続きを取っておく。勿論資産運用は任せておいてくれ。国家予算並みに金に困らないバカンスにしてやるから」


「分かった分かりました。そこまであなたが言うならそうしておいてください。またいつか戻って来る日が来たら連絡しましょう」


 至れり尽くせり・・・にしては出来過ぎではないか?俺が顔を合わせただけの、艦の乗組員。その中の一人が持つ資産を俺に?おかしくね?


「疑問なんだろ?どうしてきみに資産を渡すのかと言う理由が」


「うん」


 教えてちょーだい。





「アイツは、アイツらは!資産家の息子たちで、彼らの出身惑星全域の実に40%が彼らの企業だったんだよ。その会社は全て売却してもお金がすごいことになるし、変な輩が寄って来る前にきみに相続してもらう手続きはもうした。だから申し訳ないけど、これは事後報告ってやつで対応よろしく!」



 はい、無茶振りなお願いが来ました。彼らは泣き落とししようとしたけど、最後は面倒くさいと言って丸投げしてきた。

 もう知らん。後はまた次来た時、好きなようにやるさ。



 そして丸投げ宣言した研究者謙伝言係は俺の元を去っていった。


 睡眠カプセルには今だに呆然としてる弟くんを残して・・・。

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