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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
パタパタと階段を駆け降りる音ともにドアが開く音もした。
あの日気づけば居なくなっていた隊長に会いたくて。
あの日ラーメンを食べる約束をして待っていた隊長に。
あの日降り頻る雨の中で伝えたかったこと思いを言えずに後悔した日が何度も思い出し、そしてその彼が今後ろを振り返らなくても、そこに・・・
あなたはなんて声をかけてくれるの?
「ただいま、みんな。久しぶり」
声をかけてくれるのを待っていたのは事実だが、気づいてくれるとは思ってもみなかった。その一言を待ってましたと言わんばかりに抱きしめたかったが、体が震えて動かず、声も震えてよく喋れないほど涙が溢れて来た。
「お、おかえり なs」
私は振り絞って声を上げようとしたが、それを遮ったのは憎い男とまさかの・・・
「おせえんだよ。おかえりなさい」
「ういーす!どうだった?俺が時々体験する奇妙な体験について?」
まさかうちの弟も邪魔してくるとは。
「おぉ、なんか本当に久しぶりに会うのにこの何も変わらない態度。懐かしぃな。体験ってなんの事だ?」
「またまたぁ〜、俺が前に教えた時間も場所も飛び越えちゃう変な体験を毎回しちゃってるって言ったじゃん!覚えてない?」
不安そうな顔。フン!私の会話に割り込んだからいい気味よ。って思えたらいいけど、この隊長の顔。完全に記憶になさそうな表情で分かる。コレは完全に記憶に残って無い。それもここにいてなぜ彼がいるかも理解していなさそうな顔だ。
「え?お前なんでいるの?帰れたのなら帰らんと不味くね?」
ほら。隊長のいらない気遣いが発動してるよ。どう切り返すのかな。
「待って待って、自分は帰るためにここに来たのではなく、隊長がいるこの場所に詳しいから来たんですよ?それをもういらないから帰れとか、泣いちゃいますよ!そんな不思議そうな顔してもダメですって」
その後隊長からの無自覚な気遣いが元でハイネは拗ねてしまった。なので少しだけ傍にどかして、今回私たちの最大の目的である帰還の有無を聞いたら、帰る意思は有ると答えてくれた。ただこのまま全てを放り出して帰るのは不味いから、今すぐにというのは無理と言われた。
こうして短く喋っていても、結構話す内容は濃くなり隊長を待つ人たちもそれなりの人数になって来たので、この後時間をずらして話せる機会を設けることを提案されて了承したので、私たちは先ほどの薬屋さんに戻ることにした。あの場所は警察内部でも主に潜入を生業にしている方達の範囲らしい。今回の重大発表を受けて現在長期的な潜入捜査をしている方達をどうするかをこの後話す会合も控えているので現状維持をどう浸透させるのかが重要だと私たちのそばを離れるときに、隊長は他の人と意見を出しつつ去っていった。
その日の午後に重大情報と銘打ったお知らせが警察広報で伝えられた。現在秘密裏に潜入捜査している捜査官へとの最初の一言がパワーワード過ぎたのか街の人たちも足を止めて広報を聞いていた。
秘密裏に潜入捜査している捜査官は今回の重大情報には一時的に関わらず捜査を続行。仲介役や上司からの別命があるまではそのまま捜査を続行せよ。
と、かなり大胆な行動には出たが、コレには世間も世論も黙って見過ごせないと、猛抗議されていたが、柳に風とばかりに放置を決め込む算段のようだった。
そんなわけで日がな一日隊長が来るまでの間、ハイネという人物は知り合いのところに顔を出してくると言って昼前には消え。弟はお酒を飲みにバーで飲んでいる。私はクラブに居た女性陣たちから休憩室を借りてベットで仮眠を取ることにした。ここ最近何かと忙しかったからすぐに意識を手放した。
そこからさらに数時間、しっかり休息の取れた私たちはようやく隊長とご対面というところまで来た。
「お疲れ、お疲れ〜」
ちょっとした飲み物や軽食を一緒に持ち込んでくれた隊長には心からの感謝を伝えたい!先程まで少し寝ていたせいで少しだけだけど小腹が空いて来たので本当に感謝します!
「それで、少し腹も膨れて来たところで本題だ。現在部隊は、俺がいなくなってからの不備は何かあったか?」
やはり聞いて来た。現状維持でもなんとかできる用意を常にしていたおかげで大丈夫ではあるが、救難信号は来ていたが相互に行き来する技術があの時は無くて、皆んな本気を出して次元の壁を超えてくれた。
しかもこの次元の壁というのがまた厄介極まりない代物だったのがいただけなかった。
超えた先に宇宙空間があれば良かったが、本当に何にも無い空間があったりと想像を絶するほどの失敗から、今の場所に辿り着けた奇跡。
皆が挫折する中でも、頑張ってくれた研究者や開発班には金一封と休暇を上げた。
喜んでいるとは、何故だろうな。自信を持ってNO!と言えてしまえる自分がいる。
そんなこんなでようやく辿り着けた場所で見たものは、世界平和を実現した裏方役。
私は一体どこで間違った?来るのが遅いから、隊長が自由に行動するのを止められなかったのだろうか?
きっとそうなのだろう。私はそう思うことにして現実逃避する事にした。