420
誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「もちろん明確な目標があって事を成したわけでは、ない事くらい同じエルフとして知ってはいますが、レイ殿いいえ、零殿はこの世界に降り立ちどの様な経緯で我々と行動する意思を見せたかは知っております。
それでもなお、あなた自身で行動する最初の一歩は何を思ってのことでしたか?」
んー、まさかの安易な考えや崇高な考えを言えばいいのかと思ってたら、最初の一歩をどの様な形で踏み出す決意を見せたか、か。
「奥が深いです。お見それしました。そうですね、まずコレを話しておきましょうか。
私自身この世界に何も思い入れが無いのは理解してもらっているかと思います。
ですが、友のいや、同僚ではなく・・・そう!部下の故郷を守るためなら全力で手を貸しましょう。それが例え困難で、道なき道だろうと第一歩にかわりありませんから」
「ホホホホ、なかなかに無茶苦茶な話を聞けて大変楽しくはありますが、無茶は承知で単身戦場に出られましたな。周りが引き留めた時でさえ自分から進んで多くの戦場に」
多くの戦場か。以前から部下や周りにも言っていたが、俺の本業はヘルプでの仕事が多い。あっちで人が足りなければ手伝い、こっちで足りなければ手伝う。それを繰り返していたから皆も同じ様に仕事していて気づかなかったが、相当大変な仕事だったのか?
確かに元々仕事量は多かったが、最終的に1番多い仕事は帰ってからの報告書の書類整理としたから上がってくる報告書に目を通して決算と署名する仕事が多かったから気にも留めてなかったんだろう。
言われて気づくとは我ながら凄いことだ。
「それで、他に聞きたい事はありますか?」
あれから数個の質問に答えつつ新鮮な驚きを何故か自分でしてしまい、笑われる。それでもこの対話がただ聞き取り後世に残すための話作りだと思っていたんだけど、まさか違っていたとはこの時は思いもしなかった。
零がインタビューを受ける数時間前の出来事・・・。
「ヨシッ!見覚えちゃんとあるぞ!成功だ」
誰かはわからないが、喜んでいる男性が1人。
その横では疲れ切った表情で、座席に座り窓の外を眺める女性の姿があった。
仕切りに女性を手招きして、故郷である惑星の説明に彼女はウンザリしていた。
「もうわかったから、落ち着いて。機長さん、向こうとのやり取りはどうかしら?
彼の話では鎖国に近い中立国家だと言ってますが」
『未確認情報ですが、鎖国は数日前に解除。中立国家は事実上消えてなくなり、現在国家運営ではあるものの軍事、警察、消防などの国家運用していたものは廃止され共同で統一運営しているそうです。
それにより、外部からの侵入には手厚い監視と警護が行われており、コチラの武装は全て封印しなければ惑星降下は許可できない様です。
どうされますか?』
・・・。情報が古いかもとは聞いていましたが、ココまで差異が出ては隊長の救出も不可能に近いかもしれませんね。それでも、一族の中でも一目置かれていたという自信にも既に亀裂が入って・・・無さそうですね。聞いてないし。
「分かりました。向こうの言う通りにしてください。但しコチラの目的を明かしてください。その時の対応で、攻撃するかしないかで対応する様にしてください。向こうの出方が見たいですね」
「そんな事をするわけないよ!アイツらの顔は知ってるし声でもわかる。同胞達だよ」
それでも警戒はすべきです。警戒する分だけコチラの生命は守られるんですから。
それにしても彼は一体いつから私達の世界にいたのでしょうか?
『連絡きました!武装はやはり解除或いは封印で頼むと言う事。同乗されている男の一時引渡し。事情説明には引き渡された男では不可能なので、今回コチラに来られた方の中で事情が1番理解されている方が一名だけでいいそうです。
そして追伸ですが、パイロットは機体外に出る事は許可できないそうです』
「分かりました。指示に従ってください。ご指名通り私が事情を説明してきます。最悪彼が戻らなくても仕方がないと言う事で、無視しましょう。帰ってきたければ自力でもなんとかできると言う絶対の信頼は私は持っているので大丈夫です」
そう、彼は不思議体質。体質改善は出来ていないからまた何処かで生きてるでしょう。
『追加情報、引渡し時間は4時間。引き取りする者は、えっ?パイロット・・・私だそうです』
「あぁ、お疲れ様です。頑張って彼の愚痴聞いてあげてください」
彼は不機嫌になるとお酒を飲んでいないのに、絡みまくるからその時だけは嫌。
「それでは行ってらっしゃい。気をつけてね」
「はい!」
そして彼女は機体からタラップを使って降りて行った。
「・・・。早く行けよ。おじいちゃん」
「ちょ!ちょっと待てよ!
君さっきとえらく態度違うじゃん。さっきは【気をつけてね】ってキラッと光る笑顔と共に送り出していたのに今は君の態度が【早く行けよ、ジジイ】って表れてるよ!」