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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
ーこれからの未来は我々の取るべき行動で決まります。ですから〜』
俺たちとは完全に決別してくれればいいが、してくれないのであれば、お前らだけでやってくれ。こちらには不干渉を通してくれたらこんな余計な手間はしなくて、済むのに。
『皆さんもお察しの通り、今まで長きに渡る政権のおかげで我々は仕事に炙れず、金をもらい、飯を食べ、生活に困らなかった。それは一重に引き際をわきまえた、政治家や軍人たちがいたからこそ成り立っていた仮初の土台で我々は生活していたのです。ですが、その幻想は崩壊しました。彼らは金儲けのために引き際を見誤り、我々の生活基盤そのものすら崩壊しました。それでも私たちは前を向いて未来に向かわなければ、ならない。なんと悲しいことなのでしょうか?
今我々に必要なことはなんなのでしょうか?それは・・・うん?
警報アラートが鳴っ』
それは、いきなり行われた。私たちはもちろん警戒していた。テロ情報もあったので、見張も置いていたがまさか1番テロを起こした時に逃げれない場所で行うと、誰も考えていなかった。
8月31日。この日、新たな指導者が政権交代後、初めて国民たちの前に立ち今後の意気込みを語り始めた時であった。そして事件が起きたのだった。
警戒していた。警戒して警戒して、それでも事件は起きてしまった。死者は数千人に上り、こちらの見張も足を折る骨折などで2人がすぐに任務に就ける状況ではなくなってしまった。
「敵は新勢力ではなく急進派の先駆け。彼らに正義はありません。我々に残された最後の手段は現政権を護衛しこちらの手の内に引き込むこと。ですが、それは逸脱行為で接触行為すら禁じられています」
「こちらの被害は了解した。国に何か影響があるかの確認はどうだ?」
「・・・・」
どう答えれば、いいのか。今新政権はガタガタ。以前の政権集団が早期に選挙をせず、政治家たちが戦争をするかを話し合っている。今の艦隊戦はこちらに不利なのは理解しているだろうが、このテロを未然に防げなかったはずの軍人たちが会議に急遽乗り込み、会議室は混乱の一途を辿っている。
そんな俺に肩を叩き励ますように歩いていく隊長の背には悲壮が漂っている。誰も彼を責めることはできないだろう。俺たちはこの国からしたらスパイなのである。国家転覆や叛乱を企てるものとして処罰される可能性のある者たちの話を誰が聞くものか。それにどこかで噂を流しても、テロリストに仕立てられかけているものたちが気付けばいいが、普通に誰も信用しない者を起用している奴らだ。俺たちの話は聞かないだろう。なら今わかっていることを証拠にテロを未然に防げば儲けものと思い証拠を追っていたが、それは無意味に近い者だったのだろうか。
「俺たちには、この国を救うことも国を守ろうという忠誠心は持ち合わせていない。諦めろ、俺たちに今やれることはやった。それだけは事実だ。国にも報告書を書いて送信してある。それでも国は俺たちの存在を明かすことなく対処できるのならやって見ろと言ってきた。必要な物資はこちらで用意する。気をつけろとまで言ってきた。
お前も見ただろ?レーダーや通信機の数々を。あれは全て本国からの支援物資だ。それを忘れてはいけない。彼らはどうでもいい人間を見殺しにするのではなく、こちらのできる手段で手を貸す許可をくれたんだ。それでも助けられなかったなら後は、彼らの運がなかったと思え」
私には思いやがりも甚だしい。なんでも1人でできるわけにはいかないのだから。
覚えておけと、隊長は続けて言った。
「俺たちは、1人だ。こうして仲間がいても人は1人なんだ。何か大きなことをしたいのなら仲間がいなければ、できない。それを理解して行動しろ。いいな、お前は確かに軍人で、諜報員の1人としてこの場にいるかもしれないが、それがどうした?お前は1人ということを理解しているのなら、仲間を頼ることを忘れるのはいただけない。頼るのを忘れたその時、お前は死んだ。人々を助けるということにも、人生を歩むことにも負けるということだけは学べ、そして理解しろ。いいな」
人は1人では生きてはいけない。もちろん。1人で生きていけるかもしれないが、一生誰とも会わずに生きていけるとしても人恋しい真似は2度とできなくなるのだ。それは、いやだ。なら前へ進めと。そして出会った者たちとの絆だけは大事にしろと言われた。俺に残ったものは仲間と信じられる友しかいないのだから。
この俺と隊長のやりとりをしていたところで別の場所から現れた諜報員が、血相を変えて走り込んできた。
「ゼルセルタ航宙宇宙軍なるものが設立されて我々のことが世間に漏れた可能性もあります」
事態は、待ってくれやしないとはいえ、この展開は読んでいなかった。だが、早くしないと俺たちが逮捕されてしまう。
「なら二手に分かれるぞ。負傷者は、隊長である俺が運ぶ。お前は信念を心の中に抱えているわかるな?
お前の心に思ったことをすればいいんだ。お前にならできるさ」