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ゼフォリアス人脱出36時間後
クォーツは何をしているかというと、
「んー。やはり綺麗な景色だな。見納めか」
「ですね。しかし、智也とは満足に分かれることができませんでしたね」
「何を言っているんだ?君は。彼がいてくれたからこそ、こちらの敗色濃厚な立場だったのに公国民には事故で処理できる手筈が整えたのだから。違うかね?」
「まぁ、確かに敗色濃厚な現状でしたが。国民の中には疑う者も出ると思いますが?」
「それを知って戻れるものはいないさ。すでにワープ体制が整っていて、あとは我々がこの宙域から離れることこそがベストなのだから。ただし、メインサーバールームのAIにはどういう形で指揮権限を委譲できるようにしたんだ?ゼフォリアス人の血筋を引くものか、ハイネと智也に設定をしたのか?」
「いいや。それは明らかに謎を生むから、智也の遺伝子情報と、俺のエルフとしての苗字。もしくはゼス公国の公爵家一族しか権限が移らないようにしておいた。智也の居た時点から2,000年くらい前に誰かがいた形跡があったらしいから、防衛を兼ねて、智也に確実に権限移行ができるようにしといたよ。それに、どうせお国柄で国民全員がトラップを仕掛けまくったんだろ。あの憎きガルスモ帝国に対してのトラップとして」
「当たり前だろ。まさか後世で我がゼス公国の国民全員がトラップ好きで有名になっているとは思いもよらなかったがな。」
歴史研究者たちもまさかそんなくだらない理由でトラップを仕掛けたとは思わなかっただろうな。
「確かに、敵の侵入を防ぐための仕掛けが、まさか国民全員で仕掛けたのに趣味になっているとは笑えるな」
まぁ、命にかかわる危険なものは軍人が仕掛けたんだけどな。
「ところで、我々がここを離れれば同盟国は侵略の危機なのでは?」
「いや、この星の危険度が高いのでガルスモ帝国も集中していたけど、ゼス惑星の危険度が下がれば侵略も収まるだろう。ほかはもともと侵入されてないに等しかったのだし」
「そうだな確かに。発達した超文明も意外と厄介極まりないな。それはそれとして、ハイネはエルフ星系に戻らなくてよかったのか?」
「今更戻っても仕方ないよ。家を出るとき弟に次期当主の座を託してきたんだから大丈夫だろう。それに次戻ったときはきっと俺のことはデータでしか残ってないよ。それより良かったのか?智也にあの開発中のこの世に一本しかない戦略兵器級プラジェネックを渡して?」
「いいだろう。俺なりの詫びだな、俺たちがまだココにいると思わせるための囮として彼には30時間もいてもらうんだから。」
「そういやそうだな。彼に次ぎあったときそのことを言われたら謝っておくよ。」
「そうしてくれ、それよりそろそろワープの時間だ。故郷の見納めをして艦橋に戻ろう。お前も来いよ」
「わかった、行こう。クォーツ」
いつか、戻ってくるから智也、またどこかで会おうな。
「おう、行こうぜハイネ」
~~~智也
「あいつらが出発してから、かれこれ、28時間かそろそろメインデータのアップデートとインストールが終わるし、あいつらもここを離れているから爆発の影響下もないだろう。そろそろ、帰る準備をしようか」
帰ったら、ここの報告どうしよう。
するしかないよな、やっぱり。報告したところで誰も信じないだろうけど、証拠があるしな。一応メインサーバールームの保管庫に入れてくれていて、生体認証を済ましてあるこの星の超文明の粋を凝らしたと言っていた光刀剣『戦略兵器級プラジェネック』普段は「ラジェソード」って読むのか。名前は好きに呼んでくれって言われたから好きにするけどさ、え~と説明書があったよな。
なになに
『戦略兵器プラジェネック』(通称:ラジェソード)
ゼス惑星謹製の戦略近接武装兵器:光剣
刀剣として起動し、刀身の長さは小さくもできるし大きくもできる。
艦の武装と接続し、戦艦との戦闘時、対艦刀にも適用でき、取り付けができる。とされいたが、開発が滞り実験中の事故が多発したため、中断されており実際には刀として持ち歩くことしかできない。
物を切るときの用途で色が変わる。切れないものはなく、防ぐ方法はプラジェネックのエネルギーしか防ぐことは出来ない。
・プラジェネックとは
プラズマ電流とジェネックというエネルギーの合体エネルギー
・ジェネックジェネレーターについては別紙参照資料で確認を(ZEPQ1386)
ラジェソードは生体認証者しか使用できない
この世にラジェソードは一本しかない
自動修復プログラム・自動回収機能搭載
別紙参照資料ってここにはないんだけど、教えておいてよ。
それに、自動修復、回収ってなんかすごくないか。
まぁくれるっていうのなら、もらっとくけどさぁ。
俺戦争とか戦いって嫌いだからあんまり使わない気がするんだけど、まぁ違う用途で使うか。例えば工作、溶接とかで。使えるのか?威力強そうだけど。
~~~SIDEガルスモ帝国国軍
ゼス惑星の智也の居る地点のちょうど正反対にガルスモ帝国軍が部隊の降下を開始しはじめていた。さすがに全軍が下りることは出来なかったがある程度の揚陸艦が降下を開始し、2時間の距離にたくさんの、それはもう、沢山の艦が近寄ってきていた。
内訳はこうなる。
戦艦級の数は100,000艦
重巡洋艦80,000艦
巡洋艦300,000艦
護衛艦500,000艦
輸送艦120,000艦
計1,100,000艦の大艦隊がゼス惑星に降下するために
どれだけの戦力をここに入れたのか。それだけ重要だったのだろう。
だが、よく思い出してほしい。
ゼスの住民が脱出して、すでに28時間が経っているということに。
智也にしてもそんな大事になっていることすら伏せられていたために、まだどちらにも気づかれていないという最悪な展開であった。
そして、会敵したのだった。
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