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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
首をひねりながら走っているハイネがコケタ。それもズッコケた直後にせり出した岩に顔面ぶつけて動けなくなった。
え?動けなくなったの?なんで?って思うだろ?簡単に説明すると寝違いみたいな症状が出てしまいこれ以上前をまともに見ながら歩くことすらままならないくらい首の筋をやってしまったみたいだ。
ちなみに、俺は医師免許も持ってるから実際に診察した結果というわけだが、ここで強引に戻すとしばらく寝たきり状態になる。これから山をさらに下るのに誰が背負いたいかで揉めるだろう。もちろん、運びたくないほうを掛けてのじゃんけんかなんかを。
本人は少し悲しんでいたが、なんでだろうね?俺は知らない。なんで落ち込んでいるのかさっぱりわからないな。
そして、ゆっくり歩きながら、先ほど俺の名前が”智也”ではなく、”ろもや”になっていたことに大変驚いた様子だった。
「もっと、早く行ってくれよ!!」
とのこと。だけどあの時は結構まじめな会話してたから言い出しにくかったし、いいじゃん。あとで揶揄ってでも教えてあげてるんだからさ。
ハァハァハァハァ。まったくあいつは元気だな。これでも俺はかなりの長生きだがそれでも速いから鍛え方が違うんだろうな。俺なら後数百年くらい頑張ればその境地に辿り着けそうな気がするが、それにしても過去、それも俺の記憶が正常に戻った日の話だけは最後までできなかった。
正確に智也に話す日が来るとしても、今はまだ言えない。俺が何者でもお前はきっと俺を受け入れてくれる。
そう、信じている。あの日あった時から確信があった。お前は俺を必ず信じて送り出してくれるということを。
だからこそ、過去から未来。未来から・・・・
少しだけ昔を振り返るのも悪くはないか。
その星には森あるいは木々に囲まれ鬱蒼と生い茂る場所に飲み込まれた古い遺跡の数々。
砂に飲み込まれ倒壊した遺跡が眠る砂漠地帯。
湖の下や海の底にもちらほらと文化的な建造物。
海上には島とは違う人工物、その廃墟で潮風で錆びつき雨風で侵蝕がひどい遺跡。
そんな場所から遠く離れたその星で唯一大陸内に人工物が存在しない自然豊かな大陸にハイネは戦闘機とともに不時着した。彼が周辺を彷徨った後に理解した。彼は生きるすべはあるが、この場所では元の居場所に帰ることは出来ないと直感で分かってしまう。
「ここから約800km。それ以上か、それ以下か。
そのあたりにまでいけば、カインツにまで戻れる手段があるのだろうが、この機体の修理はこれ以上は難しい。専門的知識の有る無しに関わらず部品がそもそもない」
難しい顔をしながらブツブツと呟く理由には訳がある。彼がここに不時着したのは不可抗力だ。そしてこの星に不時着する時確認した景色には人工物はあれど、管理している光景は見受けられなかった。と言うことはこの星は無人惑星。人もしくはこの星に生命体はいないのかもしれないと思いながら、燃料はあっても操縦が難しくなった機体に無理をいい、この場所に着陸させた。あの上空で見た景色からは想像もつかなかったが、この場所以外にい機体を下ろせるスペースも空港のような滑走路もなさそうだったからである。砂漠地帯に降りればもちろん機体は無事だが、熱波や高温の気温で軽く死ねるだろう。森は論外。海上に不時着使用にも波が荒そうに見えたのだ。
「ポジティブな思考で考えろ・・・・
なことを考える前に戻れる努力を始めるか。機体は4mが最大で上がれるのか。移動速度は50kmが最大。それ以上は空気中の謎物質(空気を取り込みすぎるとエンジンが焼ける可能性が高い。実際不時着する直前にエンジンを噴かした瞬間高温警告が出た)の影響で長く飛ぶのも危険な気がする」
そして、太陽に向かって飛ぶと言う工程を繰り返していたタイミングでふと気づいたことがあった。時々森の中で不自然な盛り土のような物体が見受けられた。もちろん最初は動植物の仕業か何かだろうと思っていたがそれにしては数が多い。10や20ではきかないくらい見受けられた。
わかるかい?もしもこの不思議な盛り土が僕の想像通りならこの大陸にも文明は存在していた。見える範囲では無く地下に存在していたからこそ、地上には存在しておらず、動植物だけの天国のような場所だと僕は錯覚してしまっていた。だからある程度開けた場所で戦闘機を止めておける駐機場を発見した。発見?なぜか駐機場があらわれたんだよ。こう盛り土を調べようと思っていたら急に開けた場所に駐機場だけがニョキニョキと・・・・考えるのは間違っている。考えるな。感じろ!と俺の直感が言っている。いや、言っていた。
もう全ては感じるままに機体をその場所に置いて、盛り土を調べ始めてすぐに分かったことは、高さ1.5m幅2.0m。窪みのような穴が空いていたが中を確認しようとしゃがみ込んだ瞬間、地面が陥没。僕はその場から落ちてしまった。あの時の痛みはたまに夢で再現されてしまうほど痛かった。
そんなに落ちてはいないが、落ちた先が尖ったガラス片がそこらじゅうに落ちていたせいで全てが背中と尻と足に刺さり、泣き喚いて転がろうものなら・・・うっ!思い出さないようにしていたのに思い出してしまった。
それから、見た景色は今でも忘れられない。