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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
あれから、クロが事前警告をオープンチャンネルと緊急チャンネルの同時放送で行ったが、折り返しの連絡も何もなくさらに事態が悪化した。
それはまさにこれから警告射撃を行う直前であった。
『こちらはロクシェルタ王国軍、未確認艦の航行目的と所属を述べよ。こちらはロクシェルタ王国軍』
おいおい、いきなり軍が出しゃばってきたぞ。
「クロ?」
【わかっている。現在マルチタスクで状況を集計しているが、今現在こちらに敵意を向いている側とは反対側に出現。とりあえず、いきなり電子戦闘を仕掛けられて現在撃沈するところでロクシェタルタ王国軍が出現。敵か味方か?これだけ聞けばいいのでは?】
いきなり聞くのはまずいし、上から目線もなんかやばそうだな。
「いきなり聞くのもまずそうだから、クロはとりあえず電子攻撃をしばらく防衛していてくれ。向こうにはこれから話す」
【わかった】
「こちらはゼルセルタ航空宇宙軍所属 特殊特務大隊所属 智也・ルルーシュ・ラングストン 現在貴殿の艦以外から攻撃を仕掛けられている。そちら側からしたら我々を飛び越えた向こう側になってしまうが、貴殿の所属艦か?そうであるなら電子攻撃を中止していただきたい。もし違うのであれば、警告はした。これより撃沈行動に移らせていただく。返答期限は1分後とさせていただく。撃沈後、そちらとの対話をこちらは希望する。
攻撃をするのであれば、応戦は致し方無し。
全砲門電子攻撃を仕掛けている船に向けて最大出力での迎撃準備!」
威圧と言葉にすればいいが、彼らが敵か味方か、はたまた第三勢力の部類なのかはまだ不明だ。だが、俺的には第三勢力の気がするんだよな。
15秒経過。そのくらいで向こうから返信が来た。
『ロクシェタルタ王国軍は、あの船に乗艦しているであろうスパイの引き渡しをお願いしたい。それ以降であれば、撃沈を了承いたします』
「こちらゼルセルタ航空宇宙軍。そのスパイとやらは現在私の艦にて軟禁中。引き渡しには応じる用意があるが、内容によっては引き渡せない場合もある。それは承知していただけるか?どうぞ」
無茶を言っているのはわかっているが、どう出てくるか?
『了解した。方位203 この意味わかるでしょうか?』
「360度 の方位計で基準点から見ての位置ですよね?こちらはこちらの基準点を持っています。仮の基準点もつけれます。どこに位置付ければ?」
『あなた方から見て前方の強い光を出している場所が我々の基準となる中心点です。そこを起点にしてもらえればと思います』
「わかりました。これよりあの艦を無力化して曳航し情報を抜き取りそちらにもデータを渡します」
『ありがとうございます。では、目標地点でお待ちしております』
方位203 不思議だな。その場所には天体が一つだけ浮いている。太陽もなく月もないのに惑星全体が昼と夜を形成しているみたいだ。
相変わらず宇宙には不思議がいっぱいのようだな。
その後問答無用でエンジンと通信用アンテナだけを撃ち抜き航行不能の上、外部に一切電波を送れなくしてから船を曳航した。
『合流できましたね。ここから先はこちらの指示する進入ルートで降下してください。それ以外のルートは現在使用不可ですので一応ほかの船舶には当たらないようになっていますが、念のためです』
「わかりました」
あぁついに来てしまった。彼らの言う母星への降下を指示された。今から通るルートはたぶん降下用のルートなのだろう。ただ、こちらも確かに星に降下する際の決められた手順というものがあるからそれと一緒なのだろう。ルートが設置されていない惑星もあるが。
〔降下シークエンスを実行してください〕
【自動音声ガイダンスのようだな。降下シークエンスに入る、全体を惑星軸に固定し大気摩擦を最大限にカバーできるように設定・・・・設定完了。あとは自動ですべてをカバーする補助輪機構が作動する】
「補助輪て、もうちょっとネーミングセンスを鍛えてほしかった」
子供のような扱いみたいだな
『ここから先はゴーアラウンド・・・・復行して我々は宇宙に戻ります。
貴官の無事を祈ります』
「ありがとう」
で、君たちはいったい誰だったんだ?ロクシェタルタ王国軍とだけ名乗ってなかったか?俺の思い違いか?
【大気圏突入まで残り・・・・0?】
は?
地面というか艦橋で俺が乗っている椅子自体に振動が起こった。なぜカウントダウンがいきなり0とか言い出したのか、これは後でわかったのだが、この星はどうやら大気圏というものがかなり曖昧なようで、昔から初降下する船には手厚い降下ルートを選定してそのルート以外の船舶・軍艦などを排除し、海上に降りれるようにした親切設定をしているそうだ。なかなかにハードな仕様の惑星だな。とは感じた。普通は惑星に降り立つときも脱出するときも大気圏摩擦はかなりの割合発生するほどの仕様のはずだが、ここでは空気がある層と宇宙という定義の間に光と闇を纏う特殊な物質が存在していて、原理としては、星々の光を虫眼鏡のように集約して光を生み出し、光を生み出したことによってオーバーヒートしたのちに光が消えてなくなり闇、つまり夜がくるらしい。
解明したのはずっとはるか昔らしいがな。すごい、原理だった。
・曳航=自立航行できない船舶を牽引し移動させること