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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「発進する。目的地はトラウマの星系。1番艦が轟沈した宙域。調査対象は新たなる星系」
この場所のトラウマはさっさと解消して次に進もう。
【了解。目標メルヘLen】
メルへLen?聞き間違えか?
【違うぞ、メルへLenだ】
「メルへLenって何?」
【我々の中では幻、空想上の代物だったはずの鉱石がが多数出てきた。ならばこちらもそれに倣ってメルへLenと言う名前をつけたんだそうだ。名付け親はクリス艦長だ。新たな星系にはまだ名前はついていないが、その中にある惑星には名前をつけたそうだ。それが】
「メルへLen」
【メルヘンチックなほどのファンタジー系の鉱石が多数出てきているからこそだな。ヒヒイロカネ。オリハルコン。】
コレほどの異常な事態に何故最初から鉱石が取れるんだ?普通に考えたら何千年何万年掛かるような代物のはずだ。だが直ぐに鉱石が取れた。それに星が直ぐにできて空気があるような事を言っていた。
小さな石がぶつかり合い、集まりまた壊れを繰り返す。それが何千何万回繰り返すことでようやく惑星が出来るかもしれない。それほどの年月がかかりそうなものが、数日どころか時間をかけずに鉱石が判別できてしかも原料の取り出しから装甲を作れる程のものができた。可笑しいのものだ。
んー?
コレは何かあるな。トリックじゃない。手品にしては装甲が溶けるほどの高音なんて浴びせて驚かせる事はありえない。だとしたらこの星系は何かあるな、絶対。注意して進もう。
最初に向かうのは、メルへLenと呼ばれる場所。ただしそこに行きつくまでの道のりは過酷そのものだった。まず最初にヌメヌメする空間を飛び越えられないせいで、航行するのはかなり大変だ。推進部分にはすでに纏わりついてきている。こんな空間をあと二時間も航行しなくちゃいけないとか憂鬱だ。
【帰りたい】
おい、クロよ。君が言うな、俺も帰りたくなってくるだろ。目指す惑星は目と鼻の先。そう思いたかったが、ここにいるだけで気持ち悪い。ねばつくのは納豆までにしてほしい。
「うわ~あの粘着系物質。お前が放ってくれたミサイルで持って行ってくれるのはいいけどさ、糸引きながら離れるのやめてくれ。納豆しばらく食べれないようなほどの糸引いてる」
そうなのだよ。今絶賛現実逃避中だったところに更に不快現象で鳥肌すら立っている。
【これで砲撃すれば改善がみられる可能性は?】
「落ち着け、急におかしなことを言うな。どうした?」
【せっかく磨き上げた新造船艦に最初に傷をつけるのは戦闘がいいと思っていたのに、最初に傷をつけられたのは、粘着性の液体が所持していたであろう小惑星かゴミでエンジン推進部が傷だらけなんだよ!わかってくれるか?もうバリバリと音がして後方視点のカメラで確認したからよくわかるんだよ、傷がね、傷がー】
荒れてるなー。ただ開発班によると小さな傷とか細かな衝突痕などは幻想鉱石の特殊性でもとに復旧するようになっているからそこまで落胆しなくてもいいんだろうが、気分もあるんだろうな。確かに新品を壊されるか傷をつけられたらやるせない思いをするだろうけどさ、クロ。お前は艦の一部として機能しているAIなんだからそこはあきらめろよ。
【ん?ようやく抜けるようだな。全くレーダーや索敵システムをすり抜けて襲来した意味不明な物質に巻き込まれるのはこれで二度目か?】
落ち着けよクロ。急に自分で動けるようになったからって、そんなんじゃこちらもおちおち寝てられん。
「二度目か?何回かあった気もするが」
【もういい、私は修繕に行くぞ!この体になって初の船外活動だ!邪魔するなよ。最悪自力で戻れるだけの手は打ってあるし、最悪の場合体を放棄しても大丈夫なようになっている】
「ズカズカという音が聞こえてきて静かになった艦橋で一人緑茶を飲む。最高に気分がいい」
俺は気になっていた曲を聴きながら、溜まっていたドラマ、映画、アニメを見ながら静かな空間を星・・・は見れないが静かに過ごしていた。突然そんなまったりとした空間がなくなる。
いつものことだが、我々が観測していた惑星がはるかに遠くにあるとなぜ考えていたか、なんでかわかるかね?
目標がかなり小さく見た時の倍率などの計算で行っていたからだ。掃除を終えて戻ってきたときに教えられた。メルへLenと呼ばれる惑星は惑星ではなく小惑星ですらない。小さな星だということ。艦を下すどころか船外活動を自主的に行っていたクロがいうには謎の液体の中から出てきたゴミや小惑星を肉眼観測で見てみたらそれは石ころだったそうだ。平面で描かれていて石ころに絵が描いてあってうまい具合に色や射角で立体に見えるようなものだったらしい。メルへLenはここにきて新たな視点からの再観測を行ってみたところ確かに存在しているし、小惑星や石ころ、そしてゴミではなく惑星大であることを教えられた。
だが、待ってほしい。惑星規模であり、実際には惑星でも小惑星でもない星とたとえたということに。つまりだ、今ようやく見えてきた惑星のようなものは、見方を変えれば石ころに絵をかいてそれを宇宙に浮かべていたところに違うやつが惑星だと近寄ってきたみたいらしい。ちょうど今の俺のように!




