312
誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
【緊急警報。装甲を突き破って何かが飛来!確認したが軍の記録データに一致する物無し!至急退避を!ってそれは無理か。どうする智也?】
「急に冷静になられてもこちらが困るが、はてさてどうしたものか」
__まずは、何が飛来したかを調査するべきか?
『・・・ザ、ザザ』
ン?
『聞こえてるわ、ね』
『先ほど二個ほど艦の装甲をつき破って飛来した丸い物質があると思うけど、転移ポートよ。直径で決められていて、任意に転移できる範囲が決められる機能付きよ!それをあなたが使用できる範囲の両端に置き、丸い転移ポートに同時にタッチして自分の頭上に両方の手をAの頂点みたいに手を合わせて!そうすればその範囲が転移されるそうよ!使い方はわかったわね?いい、数秒しか脱出できる時間は無いみたいだからこちらの指定する時間しか使えないから早く移動して!チャンスは一度よ!』
急に情報量が大量に来たが、そう言うことか。だが、
「クロ、お前は」
【先ほども言っただろ。すでにデータのバックアップは終了したが、そうだな。今回のエンジンが使用できなくなったり装甲がやられた原因だけでも調査した分と現物を持って行ってくれ】
「お前は行けないのか?」
【すでに立ち上げ寸前のバックアップさせた物が向こうに存在している。向こうで会おう、親友よ】
お前、それはこの場で死ぬことを意味するんだぞ?一緒に行けないのか?俺は未練たらたらになってしまうじゃ無いか。
一緒に行こうと叫べば叫ぶだけ時間は消費してしまう。子供ではなく俺は軍人でもあるからキッチリ踏ん切り付けて向かうさ。
「わかった。相棒、準備してくれ。俺はその間に少しだけ感傷に浸らせてくれ」
【仕方がないが良いだろう。5分だけだからな】
5分。もっと時間があれば色々行けるが仕方ない。
艦長室。
この場所は最初こそ使っていたけど、人が集まりみんながいると艦橋の方が落ち着くからと航海日誌書く時とか専用チャンネルで話さないといけない通信とかにしか使わなくなってしまったな。今じゃ艦橋で寝泊まりしてるし。
艦橋。
艦で一番重要なコントロール系統が詰まった場所。本来は仕事で皆がここに集まるのだが、だいたい副長でもあるクロ自身がAIということもあってメインクルーメンバーっていうのは付属品みたいな扱いの時も多々あったからな。俺も艦長席を私物化して艦長席兼ベット仕様に変更してやったからな。一番最初に見れる景色が多いからこそこの席も最高だった。
大浴場。
普通宇宙船についている船にはシャワータイプが標準でありそれが最高級に近いものもある。豪華客船でも大浴場はさらにグレードの高い人たちしか使用できない。
ここは軍艦。大浴場なんて勿体無いと思われるだろうが、水循環システムが効率的に動いていて質も高いため風呂の湯船を濾過して循環して使用できるようになっている優れものだった。次の艦船にもこのシステムのさらに性能を良くしたものを使っていると聞いている。
さらにさらに、大浴場は艦の中心部に設置されているが、周囲を宇宙空間もしくは任意の景色を映すことで閉鎖空間を使用して風呂に入っていると言う気分をどこか遠くへ追いやってくれる『蒼空御殿』と言う名で経営していた。
そう、経営していたなのだ。掃除しようにも機械で掃除すると少しだけ滑りが取れないので料金取って風呂に入り、運営費として掃除できる人を艦内から雇って掃除していた。特典は、一番風呂セット・最後の人セットという特典が一人一枚だけ選んで渡されていたから人気のバイトだったらしい。俺はそんなことせずに艦長権限という枠組みでたまに一番風呂とかラストとかに入っていたし、女子風呂男子風呂は1日1日午前と午後で交互に分かれてたからな。部屋にシャワーがあっても結局みんなこの風呂を利用していたから、運営費が支出より収入の方が多かったことで風呂がどんどん充実して入ったらしい。
楽しかったな。またみんなで入りたいよ。
食堂。
みんなで食事する場所、一人で黙々食べる時もあるし、カップルで食べる者。利用者はいろいろいたが、ここの野菜だけは惑星で買うタイプと艦内で育てているタイプの2種類で運用していた。艦内の方で育てた野菜が人気だったのは不明だった。惑星内で買う方が高いからそっちから食べて欲しかったにあんまり食べる人いなかったな。消費は毎回俺とか俺に付き合わされていた人たちで食べてて、艦内の野菜は食べてないから美味しいのだけは覚えている。次回からは買わないし買わせない。どんなに経済状況を説かれても輸入のための倉庫を又貸しして利益出すぞ!って脅してでも買わない。
そして食堂で俺の一番のお気に入りは、パフェだった。種類も豊富で食べても食べても制覇できない。毎回2、3種類増えてるからな。不思議だった。「今週のパフェ制覇者一覧」には女性陣が名を連ねていた。どうやって食べたんだか、永遠の謎だな。
そして最後に行ける場所といえば、探索室。
この場所が俺のアイデンティティであり、存在意義だ。
俺の記憶が失くなってしまってどうしようかと思っていたら、俺を知っている人たちがこの艦に乗るために手配を完了してくれていた。俺も最初は自分で見つけようと思って行動したけど、俺のことを知っている人たちも協力して参加してくれている。そんな彼らと共に自分探し・・・・・はちょっとかな。記憶を探す旅と共に夢だったであろう居住可能惑星探索に出かけられる夢ができたと感謝ですな。
最近はちょっと任務とか仕事で本業戻れていないけど、船も新しくするんだ。本業の探索、再開しよう!
楽しかった、探索。大変だった、任務。最悪だった、戦争。感傷にひたらさせられる、災害。艦壊される、幻の鉱石飛来の新星系。
いつか振り返ったらドタバタな最後だったんだろうな。
【気は済んだか?後数秒で転移開始だ。準備しろ】
こいつと会えて本当によかった。また向こうで会えるとしても、こっちのお前はここまでなら、
「今までありがとな、クロ。また向こうでな」
【あぁ、転移させるぞ。また向こうでな。智也】
【転移】
「転移!」




