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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
そうか、気づいていないならこの鉄球だけでも持って運べるか、試算してもらおうと思ったけど、その前にやることはやっている。
艦長席のディスプレイには『計算中』の文字がずっと点滅している。
この席からやれることは全てやった。後はあいぼうを信じて待つのみ。
【計算終了。この上に存在している緊急ハッチを開放して早期にこの場所からの離脱を。さもなくば、この星は爆散する運命です。我々は星と運命を共にすることを一切望みません。大至急、緊急ハッチの開放とハッチの拡大に取り掛かってください!!】
「え、ハッチの開放は良いけど、拡大って俺でも出来r」
【早く!】
「わ、分かったって!」
急ぐ俺。差し迫った時間はあとわずかだということがクロの緊張した喋りで物語っていた。
そんなに悠長に待っている時間が無い所を見るに本当に時間が無いのだろう。差し迫った状況に焦りが生まれるが、そんな焦り以上の速さでクロが何か対策を整えていそうですでに怖い。
ハッチ開放の緊急手順は簡単にはいかなかった。やはり腐っても王族の所有する建造物、謎のハッチコードや認証コードを探して打ち込むのに少々の時間を有した。もちろん降下している時よりは早く入力してハッチ開放とこの場所の爆発が避けて取れないことを伝えると大至急撤収を始めた。
そして180分後、惑星がその姿を二度と晒せないくらいに爆散した。・・・・周囲の空間には一切の影響を及ぼすことは無いだろう。かの星の鋼鉄製の骨格やダンパーは近々、この惑星の太陽に全て吸収されるそうだ。20日くらいで全てが重力に引かれて溶けて消えて行くそうだということだった。
こうして、始まった侵略戦争と防衛に徹した惑星同盟国家側のなんの利益も無い戦争に終わりが見えた。
但し、一つ訂正が入った。
『玉王政国家 卜刺』
この国に対して侵略時においての損害等の賠償金が請求できたことで多少なりとも防衛費と人件費・武器弾薬燃料代と少し利益が出る程度の金銭を要求したそうだ。
もちろん彼らは一括払いを行い、謝罪もしてきた。
二度とこの宙域に近づくことは無いと確約までされた。
彼らの目的は、民の繁栄とその生活の向上のための広がるための侵略戦争。負ければ違う方向に網を張ればいい。そうして彼らの版図は広大な土地になってきているそうだ。もちろん、一切近づくなかれではなく、ある程度の情報交換を目的とした商人の通行は許可された。
これを密約協定・通商条約ともに締結したのが、
俺。
戦争を止めるためすべての戦場を仕切っていたのも、
俺。
正直利益も何も無いと思っていたが、上層部はこの結果に大満足だとして、新たな新造戦艦の作成を許可してくれた。
もちろん、本音と建て前は別になるが。
本音は、もっと早く言えよ。
ということ。
建前は、コレで堂々と製作できるね。
ということ。
さて、本部に立ち寄って民間人と救助した組織犯罪対策対応部隊を降ろしてからの、小惑星ドックに向かうとしましょうかね。
当初の目的以上の時間を費やしてしまったようだが、
トホホ。
「帰るか」
【そうだな。我々の帰還を待っていてくれている者たちが居るというのは、これほどまでに気持ちがいいものなのだな】
「そこで気持ちと言えてしまえるほど、お前に感情が付いてきたということだな」
【そうなのかもしれないな。
それでも、まずは安全第一で帰投しよう。本部経由でな】
「ハハ、そうだったな。安全第一でだな」
そうして、この無意味な戦争を終結して惑星同盟国家の宙域に戻ることにしたのだったが、またしても事件が発生してしまう。それを彼はまだ知らない。
「どうしてええ何でだあああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああaaa……」
【急にどうした?】
智也が急に吠えた。
明らかなるストレスの結果だということは目に見えているが。
「なんで減らないの?どうして減らないの?書いても書いても減らない書類なんかいらない。きっとバグってるんだ。こんなパソコン捨ててしまえ」
モノの見事に混乱をきたして要ることだけは明白だった。
遡ること1時間前・・・・・
『我々参謀本部としても今回の事象に対して早急な対応が必要であり、貴殿に対して全ての対応を一任したからこそ理解・・・了解はしていたが、これは余りにも酷いようでな。こちらで抑えようとも思ったのだが、それ以上に厄介ごとが出てきてしまっているのでな。少しばかり書類にサインと顛末書を求めさせてもらってもよろしいだろうか?』
そう、智也は戦争の早期終結を行い、一国に対しては賠償金を引き出せるほどの交渉術を見せて上層部の交渉担当に全てを一任した。
そして、もう1つがかなり厄介なものになってしまった。




