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誤字脱字、もし見つかればご報告、よろしくお願いします。
「というわけで、さっさと食い破るぞ」
【対装甲ブレード展開】
「おいおい」
【主砲、出力最大で砲撃する】
そう、今から内部の人間を救助に向かうためには惑星内部に進行するのだ。地表を攻撃してこちらの戦艦が通れるだけの穴を開けながら進む非効率なやり方で。
【文句言っていても仕方がないだろう】
「そうだけどさ」
【惑星内部の地下空間に向かうためのエレベーターその他も全て破壊されていたのなら、もうこの方法しかないのだし、早急に降りないと中の人が死んでしまうからな】
「分かっているが、やることは単調であり根気のいる作業だ」
【だが、慎重にな。でなければ死んでしまう恐れすらあるからな】
「あぁ」
慎重に掘り進めること20分。本来の惑星を掘り進めた場合、地下の圧力関係で大幅に大変なことになっていたはずだが、やはり機械化された星だったのだろう。熱や圧力などではなく、大きな柱が登場した。
それも柱というか、惑星全体が確かにハリボテというか巨大な骨格標本ともいうべき物でできていることが伺えた。
鋼鉄の骨格を円形・・・・円と例えるより丸い球体に骨格を取り付けてその最後の外側に人が立てるようにするための地面を取って付けただけとも言えた。地面の深さはおよそ100km。それが惑星全体に球体のように偽装していたのだ。そして水の循環システムは100km下にあるパイプに繋がって濾過され綺麗な水として再び地上を目指すのだろう。
スゴイ科学文明であり、いつから偽装惑星として存在していたかは定かではないが、確かにココに存在していた。
彼女が亡くなってしまったことで、誰が作成し、誰が計画し、実行したかは不明だが、俺が思うに彼女の一族が行っているのだろう。
そして遠き遥かなる過去にきっとすでに星の死を感じ取りこの方法を取ったのであろう。
そして時が経ったころに寿命が減っていく死病に置かされてしまったのだろう。星の死のさらに数世代、数十世代後なのかは不明だが、その死を免れるための行動だったのだろう。その行動の果てが、分岐してお互いを殺し合う存在にまで昇華してしまったのだろう。今となってはどうなったのか、どちらが正義なのか、定かでないからこの想像もここまでにして、本題に移ろう。
0kmから100kmに存在していたのは、鋼鉄の枠組み。骨格というか、本来ならどの惑星でも同じだが、100から1000kmくらいまでが地殻と呼ばれるものに覆われているはずだが、ココには巨大なダンパーのような物が中心に向かって並んでいる。
上層に有った0kmから100kmには鋼鉄の枠組みが、その下にはダンパーを利用した衝撃吸収材としてその役割を果たしているのかもな。
本来、この下に来るのはマントルやコアになるのだが、黒い鉄球の形をした丸い球がコア部分に存在している。
明らかに人工物。今までの物はその存在を隠すためのカモフラージュだと言えるだろう。
「不思議だ。重力がわずかに下に向かって存在しているから惑星中心に向かって何かを落とせば必ず一番下に向かって落ちて行く。周りの柱に当たっても止まらないようにする工夫がそこらかしこに存在している」
【鋼鉄の骨格は全て丸く加工されており物を置くことが出来ない。ダンパーはもちろん、あの丸い鉄球に到達してもきっと丸いからどこまでも転がっていくだろう。
そしてそんな話を続けていて観察し続けていれば、惑星の中心、底に到着しそうだぞ】
黒い球体。確かに丸くただ、側には僅かな傷が多数ついていることからやはり物が落ちてきていたのであろう。今も球体の上に何か落ちて・・・・落ちて来たな。見に行ってみると、水玉。
「なぁクロ?水玉あるんだけど、どういう事?上に水の循環システム用パイプが張り巡らされていて俺たちが壊したパイプから滴っていた水はまだまだ落下途中だろう?」
【それは分からんが、この辺りの落下物を見ると確かに水の痕跡はおかしいくらいに存在していない。この場所と別の場所にも亀裂が?いやそんなことになるならもっと前から異常が計測されていたはずだ。それ以上に厄介なことは、その水がどこから落ちて来たのかを知ることが今現在不可能だということだ。だから早急にこの場所からの離脱を勧める】
「分かっている。だからこそ、さっさとこの球体に穴を開けて中の救助要請中の者たちを助けて逃げよう!」
【ザックリと調査した結果だけ言うとだな、この中には爆発物が仕掛けれられていて、その爆発を避けるために解除の真っ最中らしい。我々が来ていることすら気づいていなさそうだ】
そうか、気づいていないならこの鉄球だけでも持って運べるか、試算してもらおうと思ったけど、その前にやることはやっている。
艦長席のディスプレイには『計算中』の文字がずっと点滅している。
この席からやれることは全てやった。後相棒を信じて待つのみ。




